能力持ちの全寮学校に入学しましたが、私は普通の一般人。とりあえず平穏にすごしたいんですけど!?

近藤蜜柑

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7月海2

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「あ、ルピナス、どんなのにしたいとかある?」
モミジはにっこり笑う。既にウキウキらしい。
「え?まだ決めてな
ルピナスが言いかけたところへ
「じゃ、青にしない?きっと似
「ダメです!紫に決まって
「いや、赤にしろ
「黄色似合
「水色がおす
「灰色も似合う」
モミジもボタンもアスターもヤマブキもカエデもポトスも色を指定してきた。
「な、何か恐い。色に意味あるの?」
『べ、別に?』
「・・・・・・?」
みんな口をそろえて眼を反らした。ルピナスはわけがわからない。
「モノトーンでも構わないがな」
「先生まで?」
「ピンクが良いよ。あと、茶色なら平和だね~」
「あははっ!それは困るよ」
ヒイラギは1人平和に笑っている。
カスミちゃんまで・・・
「うん、わかった」

「モミジ、着いていかなくて大丈夫?」
カエデは心配そうだ。
「大丈夫よ!カエデは人混みだと酔うでしょ?」
「うん、そうだね・・・」
カエデは1人微笑む。モミジは不思議そうだ。
「いつも人混みの買い物は別々に行くのにどうしたの?」
「ううん、なんでもない。カスミ、お守りは頼んだぞ!」
「うん、まかせて!」
カエデはしゃがんでカスミの肩を軽く掴み、カスミはグッとでも効果音がしそうに両手をぐーで握った。
「何でカスミちゃんなのよ!」




そして休日にショッピングモールにやって来た。
「ルピナスはこういうの似合うわよ!」
モミジが一着の水着を取り、掲げてきた。
「うっ!し、ショッキングピンク?ちょっとそれは・・・」
「じゃあ、鏡の前で一回当ててみなさい!」
「ううっ、うん・・・」
「あ、素敵です!」
ボタンが手を合わせて微笑む。ルピナスも顔が綻んだ。
「うん。可愛いかも!」
「ルピナスには色がはっきりしてる眩しい色が似合うわよ!アクセサリーはシルバーの光り物が良いわ」
モミジが近くにあったシルバーアクセを合わせる。
「わ、凄い!」
ただ、色は気に入ったがこの水着は・・・
「マゼンダって言うピンクよ!後、コレなんかど
「・・・あの、体型カバーを上半身にしたい!水着だと特に!」
「あ~ルピナスは控えめだものね」
「ほっといて!!」
モミジの視線を感じてルピナスは上半身の気になる場所を隠す。
「ひかえめ?背ならボタンお姉ちゃんのがちっちゃもがっ!!」
「カスミちゃんやめて!」
ルピナスは慌ててカスミの口を塞いだ。
「アタシ、ゴールデンウィークに見てるから気にしなくていいわよ?」
「え!?」
驚いたボタンが赤くなる。
「へ、変な言い方やめてよモミジちゃん!!」
「サイズはコショコショでしょ?」
「何で知ってるの!?下着姿も見せてないのに!」
「やっぱり」
「あう・・・」
カマをかけられてまんまとはまってしまった。確かに、あの時は数着ほどモミジの服を着たのだ。自分との違いで大体分かるのだろう
「なら、コレなんかどう?細かい総柄だし、フリルいっぱいでカバー出来るわよ」
「あ、可愛い!ドット柄か~でも、この水着、色のバリエーションが多いね」
「おすすめは青よ!青」
「ダメです!紫です!」
モミジもボタンも何故か色選びに力が入っている。
「えっと・・・ピンクにするね・・・」
あ、それだと、他の色が一色入るな・・・。どの色にしよう・・・
あ、この浮き輪可愛い!



「ボタンはこれね!シンプルなデザインにくすみカラー!」
モミジはボタンに紫の水着を掲げた。
「やはり、わたくしのような暗い人間にはこういうくすみが
「勝手に解釈して落ち込まないの!淡くてくすんだ色が似合うのよ!グレーとかシャーベットとか!」
ルピナスもボタンに当てられた色にテンションが上がった。
「うん!とってもオシャレだよ!」
「そ、そうですか?」
「ボタンは紫だし、紫陽花みたいな色が良いわ。だからこれなの」
「はい!あと、このブレスレットに合うと良いんですが・・・」
ボタンはおずおずと左手首を出す。
「あら、当日に合わせたい物を持ってくるなんて頭良いわね!流石~」
「あ、たしかに!買い物がしやすくなるし、イメージもしやすいよね!」
ルピナスも同意する。そんな経験がある。
「その通り!」
モミジは終止楽しそうだ。

「そういえばボタンってちょっと前に海行ったんじゃなかった?」
モミジは気になっていた事を聞いた。ボタンは赤くなりながら小さな声で口を開いた。
「・・・は、羽織っていたラッシュガードと一緒に流されてしまって・・・」
『え!?』
それは大変だルピナスとモミジは同時に驚いた。
「え?え?え~?」
カスミはわかっていないようにマネする
「き、去年と同じ水着を持っていったんですが、ちょっと小さくなっていていて・・・」
「あ~」
モミジはボタンの身体を見た。
「う、海に入らないならと思っていましたが、 誘惑に負けてしまい」
「だ、大丈夫だったの!?」
ルピナスは心配だ。
「プライベートビーチでしたし、スミレも助けてくれましたし、紳士な方でしたから
「紳士・・・?」
モミジはピクリと耳を動かした。
「あ、えっと・・・ラッシュガードと水着はスミレとその人が見つけてくれました。 でも、手袋が見つからず、 大切な物だったので泣いていたら・・・こちらを頂きました」
レースのブレスレットね。
ラベンダーのような薄い色はたしかにボタンによく似合っている。

「で、その紳士な方って彼氏?」
モミジがニヤニヤ笑う。
「か・・・!友達です!!」
「何言ってるのブレスレットでしょ?」
「でしょ?」
「も、モミジちゃん!カスミちゃん!」
モミジはボタンをつつき、カスミもマネする。ルピナスは聞きたいが止めるべきなのかわからずオロオロしている。
「あ・・・たしかに頂いた時に「これしか無かったからだからね?」と念を押されましたけど、何か意味が?」
「・・・うん、罪深いって意味よ」
モミジはわかっていないボタンに誤魔化した。
「罪深い?」
「ハイハイ。ならこっちね。試着してきて!」
「はい・・・」
モミジは総レースのシンプルな水着を渡した。
ルピナスも流石に腕輪の意味を知っていたのでボタンが試着室に入った後にモミジをひっぱった
「ちょっとモミジちゃん、いいの?」
「何よ、手錠だとわかってもこう言っておけばボタンなら納得するわ」
「そうだと思うけど・・・」
モミジは応援したり、からかうのは好きだが惚気られるのは苦手だ。なんとなく邪魔したくなるのだ。
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