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6月体育祭7
しおりを挟むさて、ボタンちゃんと2階の食堂に来たら、クラスのみんなが固まっていた。
「お腹いっぱいだからぼくは席とりながら寝てるね~」
あ、ヤマブキ君眠そう・・・
「そりゃ3つもホットドッグ食べたら腹一杯だろうな!」
「全部違う味だもん。そりゃ食べるでしょ?」
「全く、神聖な勝負の場で食べ歩きを始めるなお前は!」
アスターやポトスがヤマブキを怒る。負けず嫌いで運動が得意な2人だ。悪びれていないヤマブキにカエデが反省している。
「・・・うん。先生に頼まれて作ったんだけど、ちょっと張り切りすぎたね」
「プレーンと、チリとハニーチーズ。最高だった・・・」
「ハニーチーズ?」
ルピナスは気になって聴いてみたらカエデが教えてくれた。
「蜂蜜とチーズだよ。俺のオリジナル」
「甘じょっぱ・・・良かった・・・!」
ヤマブキは親指をグッと建てた。
「う、旨そう・・・」
「そうか?」
アスターは気になっているがポトスは引いている。
「ピザでもよくあるよね!大好き!」
「そうなの?なら、今晩はピザ作るよ」
「ありがとうカエデ君!」
今晩はピザか!楽しみ~!
「・・・・・・!」
「痛っ!何モミジ?」
向かいに座ったモミジが机の下でカエデの足の脛を蹴ったからだ。モミジはそっぽを向いた。
「何でもない!」
「・・・にしても、今日の食堂のメニューは凄いね・・・」
いつも食堂のメニューはいくつかあって選択形式だけど・・・それは今日も変わりないけど・・・
カツ丼に豚カツにカツサンド、ヒレカツ、牛カツ、ハムカツ、メンチカツ。
「カツだらけ・・・」
「毎年体育祭はこうだな!」
アスターは楽しそうにカツ丼を選らんだ。
ルピナスは席に戻った後、疑問に思って聞いてみた。
「みんな家族と過ごさないの?」
『・・・・・・・・・・・・』
皆が複雑そうな顔をして黙ってしまった。
「あれ?何か変な事言った!?」
「皆が皆家庭が上手くいくわけじゃないからな」
「能力を怖がって家族と上手くいかない家庭がほとんどなんです」
ポトスとボタンが口を開く。
「俺とモミジは施設育ちだし」
「仲の良い家庭の方が珍しいんだよ」
カエデやヒイラギも教えてくれた。ヤマブキは補足する。
「能力持ちは親から子にって遺伝は低い。祖父祖母からなら遺伝は高いけどね」
「そっか・・・。ごめんなさい」
「別に謝ってほしいわけじゃないわよ。アンタ悪くないし、これから知っていけばいいわ」
謝るルピナスにモミジがフォローしてくれた。
「能力って大変なんだね・・・」
ルピナスがため息をつくとアスターが苦笑いした。
「他人事みたいだな。お前も能力持ちだろ?」
「うん。でも、まだ何の能力かわからないし不安かも・・・」
「先生も言ってただろ?上手い食い合わせを見極めろって!」
「言ってないわよ!」
「上手く付き合って正しく使え・・・だろ」
アスターのボケにモミジが突っ込みポトスが訂正する。
「それだ!」
「お腹すいてたんだねアスター・・・」
「おぅ!オレはカツ丼食ってる!!」
「見たらわかる」
ヒイラギとカエデがフォローしながら頭を抱える。
「でも、なんとなく能力わかる気がする・・・」
アスターは最後の一口を頬被りながらルピナスをジッと見る。
「そうですわね」
「えぇ、ルピナスって・・・」
ボタンやモミジ、他の皆も一斉にジッとルピナス見る。
「え、何?」
ルピナスも残り少なくなったどんぶりを持ち上げようとしていた手を離す。
『タラシだよね・ですよね・だよな』
皆は口々に溢した。
「た、タラシ?」
「・・・そう。人タラシ」
ヤマブキが口を開いた。
「ヤマブキ君?」
「うん。きっと借り物競争で凄い戦いになるよ」
「凄い戦い・・・?」
「うん。戦になる・・・」
「カスミみたいな事言うな!」
アスターは怒り気味だ。
「い、戦・・・。前にもヤマブキ君そんな事言ってたけど、ならないと思うよ?」
「いや、なる・・・」
「なると思うけどカスミみたいな言い方するな!」
「アスターは占いとか嫌いだからね」
ヒイラギが苦笑いし、ルピナスは笑う。
「あ~、嫌いそう。自分の道は
「自分で切り開く!!」
冗談だったのに言いそうと思ったらホントに言ったよ・・・
借り物競争は午後の最初だ。
「みんな、お腹いっぱい?なら、よーいスタート!!」
プァー!
よし、スタートは悪くない!
えっと、私の借りてくるものは、えっと、眼鏡か・・・。フクジュ先生あたりに借りれないかな?
生徒の眼鏡率って低いんだよね・・・ボタンちゃんとか似合いそうなのに・・・
客席まで言って大きく声をあげようと
「あの、めが
「はいルピナス」
焦り?何それ?というような顔でにっこりと差し出された。
「え?ナズナ・・・お兄ちゃん?」
「うん。眼鏡でしょう?」
確かに、差し出されたのは眼鏡だ。
「・・・えと、まだ全部言い終わってないよ?」
「イベリスに予知させたんだ」
「あ、ありがとう・・・?」
とりあえず眼鏡を受け取った。
イベリスさんがヤバい事になってるし、何か大変な事になってない?フクジュ先生がみんなにもみくちゃにされている。眼鏡のヒイラギ君はバリアしてるんだろうな・・・
他にもみんなで眼鏡の奪い合いしてない?
あ・・・。なんとなくだけど、私の能力わかったかも・・・。私の周りってみんなが私に好意的で、意地悪されたりとか無いし、いろんな人に助けてもらっているんだよね・・・。
・・・・・・うん。今度から関わる人には気をつけよう・・・
「次行くよ~!よーい!」
ブァー
あ、カスミちゃんも借り物競争だったね!
紙を拾って、ちょっと考えてから一直線に走っていく
ん?フクジュ先生?眼鏡をなんとか返してもらったみたい
先生は、カスミちゃんに手を引かれながらヨタヨタ連れられてる。あれじゃどっちが保護者かわからないよ・・・?
「はい!確認しますね!」
あ、Cクラスのオリーブ先生だ
「えっと・・・カスミちゃんの紙は、大切な人?」
「うん、パパ。カスミの大切な人!」
「そっか。はいOKですよ!」
「やったぁ!カスミも1位!」
先生はまた眼鏡を落としたみたい。ゴールの瞬間倒れて気絶してる?もう!こんなにキュンな場面なのに、普段ドSなクセに・・・不運だ!
借り物競争の得点が追加された。
Zクラス1位3点合計7点
Sクラス2位2点合計6点
Cクラス3位1点合計5点
借り物競争の後、クラスの応援席に戻ろうとしたけど、喉乾いて、購買に飲み物を買いに来た。
いちご牛乳あるかな?いや、お茶にしようかな?
購買の裏で男性が困っている。
「あの、何かお困りですか?」
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