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入学式8
しおりを挟む「さて、お姉ちゃん、いちばんなかよくなりたい人は?」
「そ、そんなのまだ決められないよ!」
「そっか。いつでもそうだんしてね」
「う、うん」
入試前日の夢の中で倒れそうになった私を支えてくれたあの人・・・なんて言えない・・・!夢の中で会ったなんてお伽噺じゃないんだから!でも、とても温かくて安心したのを思い出した。 なんか、思い出したら顔が熱くなってきた!!
「うふふ~」
「え?な、何カスミちゃん!?」
なんか見透かされているような笑みだ。
「なんでもない。みつかるといいね!」
「な、何が!?」
「・・・?いっしょうなかよしな人」
カスミちゃんはコテンと首を傾げた後にっこりと笑った。
「あ、うん。そだね」
な、何かバレてない?カスミおそろしい子!!・・・って感じだよ!
「さて、夕飯だよ~!」
カエデ君の呼びかけにみんなが1階の寮の食堂に集まる。
「待ってました!」
アスターが早い。
「仲良くなるにはお好み焼きだと思ってね。ホットプレート出したからみんなで焼こう」
「カスミもちょっと手伝った!お好みっお好みっ ♪」
「カエデ、イカある?」
「もちろんモミジ。タコもある」
「あ、そう・・・」
カエデは当然のように答える。モミジは別にタコは聞いていないように興味を失った。
「チーズあるか!?」
「き、キノコありますか・・・?」
アスターやボタンが聞く。2人の好物だ。
「はいはい。みんなが好きないつものトッピングもあるからね」
「流石カエデ!!」
アスターは待ちきれなさそうだが、カスミが口を開く。
「・・・でも、まだみんなそろってない」
『え?』
カスミの言葉に何人もが振り返る。 顔を見渡すが、全員いる。
その時、ドアが開いてボロボロの人間が顔を出した。
「・・・す、すまん。これから世話になる」
そう言って食堂の入り口付近でバタンと倒れた。
「ポトス君!?」
購買でアスターと一緒にルピナスに学校について教えてくれた1人だ。
「お前Sクラスだろ?寮が違うぞ」
「その声はアスターか?き、聞かないでくれ・・・」
ポトスは顔も上げられないようにうつ伏せのままでどこか震えていた。
「あ~、あのヤバい先ぱ
「言うな!!」
「モゴモゴ!!」
ポトスはヤマブキの口を大急ぎで塞いだ。
「ポトス君はZクラスに移動だってさ」 カスミが慣れた様子で暖まったホットプレートに油を引きながあっさりと告げる。
「いつからですか?」
「パパがもどるとき言ってた~」
ボタンが訪ねて、またカスミが答える。
「俺様、何かしたのか・・・?」
ポトスは可哀想なくらいにガクガク震えている。
「ま、まぁまぁ、これから仲良くやって行こう!ね、ポトス君」
「・・・お、おぅ。よろしく・・・」
カスミがクッキングペーパーで油を吸った後ニコリと笑った。
「まぁ、Zクラスでもがんばれバカキング!・・・ってさ」
「誰がんな事言った!!」
ポトスはカスミに掴みかかりそうな勢いで大声を出した。
「・・・?パパ」
「あのくそセンコー!!」
カスミは小首を傾げながら答え、気にせず生地を焼き出す。意味がわかっていなさそうだ。
そんなこんなで4月はあっという間にすぎていった。私の能力はまだ不明。先生はいつの間にか気づいてるみたいだけど、教えてはくれなさそうだ。
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