能力持ちの全寮学校に入学しましたが、私は普通の一般人。とりあえず平穏にすごしたいんですけど!?

近藤蜜柑

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入学式 3

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「なっ!!この俺様が悪いと言うのか!?」
「当たり前だろ!」 
ああもう!火に油を注がないで!巻き込まれたくないのに!!もう、私が止める!!
「ち、ちょっと!いい加減にやめ
「オイ!手を出すな!!」
「きゃっ!」
『!!』
「だ、大丈夫か?」
「あ、はい。指をちょっと切っちゃっただけですから・・・」

ピキッ
「うおっ!!」
体格の良い彼が叫び声のような驚いた声をあげる。 彼はレンガのような逆立った橙色の短髪にベージュがかった灰色の瞳だ。
「な、何だよ!」
びっくりした・・・!
「いや、何でもない。驚いたせいかヒヤリとした。・・・それより悪かったな」
「大丈夫です。紙で指切っちゃった時と変わらないです」
だいぶ驚かせちゃったみたいだ。私が悪いのに。一応絆創膏貼っとこう。すると体格の良い彼が
「俺がやる!細かい作業は得意だ」
そう言って貼ってくれた。意外と器用で綺麗だ。本当は優しいのかな?
あ、そうだ!カバンを探すと他にもイイもの見つけたんだ!
「あ、あの!コレどうぞ?」
「チョコレートか?」
「はい。お腹を満たすには難しいけど、良かったら」
「わ、悪い・・・」
良かった。なんとか落ち着いてくれたみたい。お腹すくとイライラするもんね。
「あ、ズルい!オレも欲しい!」
「え?えっと、キャンディならあるかな?」 
チョコはもうないし、その他にも食べ物は無い。ポケットを探すとキャンディがいくつか見つかった。
「な、図々しいぞ!」
「一人占めして良いなんて言ってません!」
「お、おう・・・」
すぐケンカする!
「へへっ、ありがとな!!」
「もう、あなたも取りすぎ」
「あなたじゃない!オレの名前はアスター!能力は炎だ」
「ハイハイ。アスター君」
りんごとオレンジのキャンディを頬張る彼は子供みたいで、何だか幼稚園の先生にでもなった気分だ。
「お、俺様はポトスだ!能力は暗器」
「暗記?」
「さっき自分で見ただろ!?くないや手裏剣、ナイフとかだ」
「なるほど。よろしくお願いします」 「あ、制服だったな。名前は?」
購買にいたアスター君が思い出してくれた。良かった・・・。
「ルピナスです」
「ルピナスな!じゃあ、オレと同じクラスだな!!」
アスター君が制服を出してきてくれた。 焦げ茶色のカッターシャツに白黒のチェックのプリーツスカート。ブレザーは落ち着いたビリジアン。 靴下やクツ、カバンは自由だし、2人は同じ白黒チェックのズボンだ。 後は・・・白いリボンと、ブローチの白いクローバー?

「白クローバー?ケッ!Zクラスかお前」
なんだか見下された?ポトス君はネクタイピンに金色のクローバーが光ってる。
「Zクラスって?」
「あぁ、この学校のクラスは能力で分けられている」
ポトス君は自慢気。
「人数が少ないから、学年は授業を同時に受けるんだぜ!」
アスター君は楽しそうだ。
「Zクラスの新入生とZクラスの先輩が同時に授業を受けるという意味だ。珍しいぞ。」
「飛び級してる奴も多いし、学年は関係ないな~」
「へ~」
「そして俺様はSクラスだ!」
「そのSとかZクラスって?どうやって分かれてるの?」
「能力がどれだけ植物に影響を与えるかだ」
ポトス君は威張りながらもしっかり教えてくれる。
「Sクラス、Cクラス、Zクラスの順でかんたんに言うと、Sクラスがエリート。Zクラスは落ちこぼれだ!」
「ムッ!」
あぁもう!すぐ火花散らして!この2人は仲悪いなあ!
「な、なるほど~!」
「じゃ、着替えろよ」
「え?何処で?」
「ん?此処じゃダメなのか?」

「え?」
「あ!?」
「ん?」
私も、ポトス君も固まると、アスター君は不思議そうにした。

いや、いくらなんでもここは購買!人目にもつくし、ちょっと、イヤかなり恥ずかしすぎるんだけど!?更衣室ないならせめてお手洗いとか・・・!
「いや、さすがにカッターシャツもあるし、こんなところでは・・・!」
「おまっ!何言って!常識がな・・・!どっち!・・・だ!?」
「うわっ!ポトス君たら顔が真っ赤!大丈夫?」
「い、今!近寄・・・な!大丈夫・・・から!!」
「あ、うん?」
ポトス君は更に顔が真っ赤。いや、流石にこんなところでは着替えないよ?
「俺様、は・・・もう、行く!!ちゃんと・・・!更衣室へ・・・!あん、案内・・・!しろ!馬鹿!!」

「あ一走って行っちゃったよ・・・」
女の子に免疫無いとか?
「あ~、オレの炎でカーテン作れるけど、燃えるとヤバいもんな!じゃあ、更衣室行ってこいよ。この隣だから」
「いや、隣なら言ってよ!」
「面倒だろ?」
「恥ずかしいから!!」
「そうなのか?ふ~ん」
アスター君は不思議そうにしてる。何で怒られたのかわかってないや・・・

・・・ポトス君は俺様で自分勝手。ちょっと照れ屋過ぎて女の子苦手みたいだし アスター君も悪い人じゃないけど、ちょっと天然というか、常識が無い。
女の子として意識され過ぎるのも困るし、されなさ過ぎるのも困るんだなぁ・・・
「はぁ・・・」
何だか私、ため息ばかりついてないかな?いけないいけない!ため息つくと幸せが逃げるってお婆ちゃんがよく言ってた!

制服に着替えてから教室へ行き、その後休育館に行く。




横に一列で並ぶみたい。あいうえお順とか背の順でもなく早いもの順みたいだ。変わってるなぁ・・・。

「うわっ!」
何も無いのにぶつかった? 
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