上 下
2 / 70

入学式2

しおりを挟む


「あれ?ルピナス?」
「ナズナお兄ちゃん!?」

懐かしい声がして振り替えると、やっぱりそうだった。
ナズナお兄ちゃんは、私の幼なじみ。
1つ年上で、中学に入って少しした頃から余り逢わなくなったけど、この学校に入学していたからなのかと納得した。
優しくて、爽やかで、絵に描いたような王子様みたいな人だ。
ボブに近い白っぽい銀髪が雪のように光り、氷のように真っ白の瞳がこちらを見つめる。
学校の制服もよく似合っている。金色のネクタイピンが眩しい。

「え?ひょっとしてルピナスもこの学校に通うの!?」
「うん。志望校受かったのに残念」
「僕は再会出来てとっても嬉しいけどね」 
「エへへ、私も知り合いがいて嬉しい!」

気になった事を聞いてみる。
「でも、この学校は何か凄い能力がないとダメなんじゃないの?」
そう。私にはそういった能力が何も無い。
すると、お兄ちゃんは下を向いた。
「確かにそうだね。でも、ルピナスはもう・・・」
「お兄ちゃん?」
何だか落ち込んでる?
「いや、何でもない」
「そ、そう?」
なんだか、急に冷たい風を吸ったような気がしたけど、気のせいかな?

気を取り直して、もう1つ気になった事を聞いてみる。
「・・・じゃあナズナお兄ちゃんにも能力が?」
「ん、・・・僕はこれ」 
そう言うとナズナお兄ちゃんは軽く右手をかざした。くるりと手で円をかくように回し、手を戻すと、手のひらには白い光の玉が現れた。光が霧のように消えていくと・・・氷の結晶が出来ていた。朝日を浴びてキラキラと輝いている。
「うわぁ!凄い!綺麗だね!」 
「あ、うん。ありがとう」
感動した!・・・って、氷の結晶が何だかどんどん増えていくような・・・わ、私の近くにも出来てる!?
「ちょっ!ちょっとお兄ちゃん、寒い!」
「ご、ゴメン!ちょっとやりすぎたね。大丈夫?」
「う、うん、大丈夫!」
ううっ!何だか首が冷たいっ


「ナズナ、おはよう」
ポンと後ろから肩を叩かれてお兄ちゃんは嫌そうに振り向く。
「イベリス・・・。おはよう、どうして今日は早いんだ?いつもギリギリのクセに」
「いや、ボクの能力知ってるでしょ?キミに逢うためだよ。可愛い新入生ちゃん♪」
イベリスさんはするりとこちらに向かい、にっこりと笑う。
「は、はぁ・・・?」
「うわぁクール!ボクはイベリス。ナズナの友達。よろしくねルピナスちゃん」
イベリスさんは私の手を取ってきた。握手かと思ったら手の甲にキスされそうだったので、急いで手を引き戻す。
「あの、止めて下さい。あと何で名前?」
「う、うん。ボクの能力は予知なんだ。なるほど。 趣味はガーデニングか・・・素敵だね」
「あ、はい、どうも。・・・って!いや、あなた個人情報保護法って知ってますか!?」
「・・・キミ、面白いね。その呼び方も能力も興味あるなぁ。なるほど~あの人のお気に入りか・・,」
「はぁ?ガーデニングの能力って意味わかんないんですけど!勝手な事言って勝手に納得しないで下さいよ!」
全く意味がわからない!なんなのこの人!?
外見だけは本当に美形でさらさらの長髪はアジサイのような青。腰まであるのに逆に綺麗で似合ってる。にんじんのような橙色の瞳は銅みたいに綺麗だ。
「そういう意味じゃないけど・・・。キミ、気が強いね!そういう娘、嫌いじゃないよ?」
また手を伸ばしてきて、触られそうになりまた拒否する。
「あの、どうでもいいけど触らないで下さい」 
「ど、どうでもいい!?き、キミ本当に面白い娘だね・・・」 
イベリスはショックを受けるが、なんとか笑顔で笑う。
「イベリス、ルピナスを他の人と一緒にしないで・・・」
ナズナの指先から白い光が溢れ、冷気がイベリスに吹き出される。
「うわぁ!ナズナ冷たいっ!ゴメンって!」
「おはようイベリス、早いね!一緒に行こう!」 
女の人がイベリスさんを見つけて腕に絡み付く 
「おはよう。今日も可愛いね。あ、メイク変えた?」
「もう、すぐ気づく~!・・・で、何?この子、新入生?」
私を見てさっきまで笑っていた彼女の笑顔が凍りつく。
に、睨まれたよ・・・
「ナズナの幼なじみだっていうからご挨拶してただけ。女の子は笑顔が一番だよ?」
「やだもう!一緒に行こう!」
女の子は照れなから笑う。こ・・・怖いよね、女子って。私もだけどさ・・・
「そうだね。じゃあねルピナスちゃん。購買はアッチだよ。キミと戦うの楽しみにしてるね」
「イベリス・・・?行くよ?」
「ゴメンって!行くから!」
なんだか2人の周り、どんどん女の子が増えていってる。2人とも美形だもんな・・・

イベリスさん。予知能力は凄いけど、いきなり名前知ってたり、趣味当てられたり、意味わかんない事言われたし、美形だけどチャラいし、不思議っていうよりは変な人だ。
ナズナお兄ちゃんとは仲良いみたいだったけど、あ一いう軽い人嫌いじゃなかったっけ?
ま、いいか。購買に行こう。 

・・・ん?他の花は元気なのに、このプリムラの花だけが固まってる?どうしたんだろう?不思議・・・・・・





「さて、ここが購買かな?」 
にしても、この学校は本当に緑が多い!それに、季節を無視してる気がする。いや、実際には無視じゃないけど、校門では桜が満開で、ここはひまわりが咲いてるし、荷物を運んでもらった寮はイチョウが黄金色だし、あっちではポインセチアがイキイキしてる。四季が関係ないんだろうか?そのわりに気温は変わるみたいだけど、本当にこの学校は不思議・・・いや、変だ!

「なぁ!パンこれだけしかないのか!?」
「まだ学校始まってないんだ。文句言うなよな!」
「何だと!?誰に向かって口を聞いている!!」
「常識を知らない横柄な奴に!」
「な!言わせておけば!!」
「何だよ!やんのか!?受けてたつぜキング!」 
あーケンカかな?体格の良い男子生徒が購買にいる男子生徒に向かって怒ってる。
炎と刃物が飛び交っていて危ないし、ちょっと離れていよう。でも、制服買いたいのにタイミング悪いなぁ。どうしよう・・・
「ん?」
あ、購買の人と目が合っちゃった・・・
。鳥居のような赤い髪に朱肉のような赤い瞳は炎の能力持ちだとわかりやすい・・・

「おい、お前新入生か?制服買いにきたんだろ?」
「え、あ、はい。でも、ケンカが終わってからで良いですよ?」
「そうか?悪いな。危ないから離れてろ。オイ!その娘の為にも落ち着け」
「なっ!!この俺様が悪いと言うのか!?」 
「当たり前だろ!」
ああもう!火に油を注がないで!巻き込まれたくないのに!!もう、私が止める!!
「ち、ちょっと!いい加減にやめ
「オイ!手を出すな」
「きゃっ!!」
『!!』
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

生まれ変わっても一緒にはならない

小鳥遊郁
恋愛
カイルとは幼なじみで夫婦になるのだと言われて育った。 十六歳の誕生日にカイルのアパートに訪ねると、カイルは別の女性といた。 カイルにとって私は婚約者ではなく、学費や生活費を援助してもらっている家の娘に過ぎなかった。カイルに無一文でアパートから追い出された私は、家に帰ることもできず寒いアパートの廊下に座り続けた結果、高熱で死んでしまった。 輪廻転生。 私は生まれ変わった。そして十歳の誕生日に、前の人生を思い出す。

助けてください!エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません

和泉杏咲
恋愛
両片思いの2人。「年下上司なんてありえない!」 「できない年上部下なんてまっぴらだ」そんな2人は、どうやって結ばれる? 「年下上司なんてありえない!」 「こっちこそ、できない年上の部下なんてまっぴらだ」 思えば、私とあいつは初対面から相性最悪だった! 人材業界へと転職した高井綾香。 そこで彼女を待ち受けていたのは、エリート街道まっしぐらの上司、加藤涼介からの厳しい言葉の数々。 綾香は年下の涼介に対し、常に反発を繰り返していた。 ところが、ある時自分のミスを助けてくれた涼介が気になるように……? 「あの……私なんで、壁ドンされてるんですか?」 「ほら、やってみなよ、体で俺を誘惑するんだよね?」 「はあ!?誘惑!?」 「取引先を陥落させた技、僕にやってみなよ」

幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。

秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚 13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。 歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。 そしてエリーゼは大人へと成長していく。 ※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。 小説家になろう様にも掲載しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...