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そうだな。
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ある日屋敷に帰ってくると、屋敷全体に重苦しい雰囲気が漂っているのに気づいた。
ロジーに聞くと、リーシュが帰ってくるなりあの部屋に閉じこもっているらしい。確かにあの部屋にいる事が多くなったのには気づいていたが、相当ヤバそうだ。
でも食事はちゃんと取るようになったし、睡眠もしっかり取っている筈だ。どうしてそんなにも落ちこむのかわからない。一体何があったんだ?
その夜、ロジーに何故かメニューを書いてリーシュが選ぶようにしては?と提案されたがリーシュも嫌がったらしいとユージュアルに却下された。ロジーにどうしたと聞いても困った笑顔を見せるだけだった。
にんじんのお粥を作って数日が経つ今も、全くリーシュに逢っていない。屋敷ならまだしも学校でさえ逢っていない。いくら通学を別にしたとはいえ、廊下ですれ違うことさえ無い。
昼休みは中庭にさえ来ない。どうやらエンス先輩と食べているらしい。先輩に一緒に中庭へ呼んだが断られてしまった。何だか避けられている様で面白くない。
「今回、先輩なんて?」
ビトリーがオレンジのパックジュースを咥えて聞いてきた。
「雨だから外に出ない」
「たははっ。心の中は雨ってか?」
「で、今に降り出すわ。ご愁傷様。だとさ」
「こえ~!」
ビトリーは笑いながら怯えた。
「・・・昨日は暑いから」
「だったな。今、冬だよな?テキトーに返してんなぁ先輩。リーシュに送っても返事無いんだろ?」
「あぁ」
「・・・」
「何だよ」
普段お喋りな奴が黙るのは気になる。
「いやー。イラついてるなぁーと思って」
「別に」
「お前、ホントわかりやすいなぁ」
小さく笑いながらずずっと音がし、飲み終わったオレンジジュースのパックを口元から離した。
「は?」
「イラついてるとお前口数が減るんだよ」
ビトリーはこちらを見ずに答えた。
「・・・!」
「どーせ誰かさんに会うなって言われてんだろ?弁当は?」
「ロジーに渡してる」
「なるほど~。飯は食ってもいいけど、赤の他人としてすごせ、か。生殺しだろうな」
「アイツ、人懐っこいから」
「・・・・・・」
ビトリーは手を止めてじっとこっちを見た。何言ってんだ?とでも言いたそうだ。
「何だよ。その顔は!」
「・・・お前も案外鈍いヤツだったんだなぁ」
「はぁ?」
「いや、オレは味方だからな。負けんなよ!」
バシッと肩を叩かれた。結構マジだった。
「誰にだよ!」
「・・・きっと泣いてるから雨なんだろな」
「何だよ?」
「いや、別に」
ポツリと溢れた言葉は俺には届かなかった。
最近みんなそうだ。俺に隠し事でもしてるみたいにしている。ニヤニヤしながらも見守られているようで気持ちが悪い。
そのせいか?最近イライラしっぱなしだ。
昼食後から体調を崩したようで5限目が終わり、保健室へ向かう途中、移動教室であろう3年何人かとぶつかった。よろけた俺はバランスを崩して尻もちをついて転んだ。
「あー大丈夫ー?」
「んだよ男かよ!かわいい女子なら喜んでお姫様抱っこして保健室連れてったのに~」
「あの1年のお嬢様とかなー」
「スキップして連れて行くわ!」
「何処に連れて行く気だよ!」
「アハハハハハ!!」
低俗な思考に下品な会話、耳障りな笑い声が頭に響く。
「俺、保健室に行くとこなんすよ。でも、救急車呼んだ方が早そうなんで、相手してくれます?先輩」
「はあ!?意味わかんねー!」
「じゃー、人目につくのも俺が困るだけだから、裏庭行きましょーって言ったらわかってくれますー?」
「何だよ!その腹たつ喋り方は!!」
「ボコられてーみたいだなぁ!?」
「早くー行きますよー?」
「オイ!待てよ!」
「ここなら人目につかないかなー。ちょーっとストレス発散させてもらいますねー?」
「はっ!この人数を相手にやり合う気か?」
「ストレス発散させてもらうのはコッチの方!
そこで俺の意識は途切れた。フワフワと踊っているみたいだ。気持ちいい。
朦朧とした意識の中、ビトリーが俺の肩を掴んでいた。
「オイ、やめろシャズ、死んじまう!!」
「ん?あぁ・・・、そうだな」
シャズは虚な目で、怯えていそうな表情をして笑ったので、ビトリーは全身が凍りつきそうになった。長い付き合いだが、こんな顔をしたシャズは初めて見た。自分の知っている幼馴染のシャズではないか気がした。
周りにはボロボロの3年生が転がって、俺はシャズがその1人の胸ぐらを掴んでいた手を離した。既にぐったりしている。ソイツを支えて怯えながら3年は何とか歩いて帰っていった。
「い、一体どうしたんだ?」
「ムカついたからボコった。後は覚えてない」
「・・・つ、ついにキレたか。ケンカする時意識飛ばすのなんとかしろよ!お前がブチ切れる前の疑問増えるのも、やたら伸ばす喋り方とかも煽ってんだよ!!」
「悪い・・・」
「はぁー」
落ち着いたシャズは謝った。ため息を吐かずにいられない。溜め込みすぎると一気に手がつけられなくなる。悪い癖だ。さっき自分も煽ってしまっていた事に少なからず反省する。
滅多に無く、まさかここまで溜め込んでいるとは思っていなかった。自分が来なかったらと思うとゾッとする。
「言いたいことがあるなら言え!やりたいことがあるならやれ!我慢するな!!そう教わっただろ!」
こういう不満は定期的に吐き出してしまう事が大切だ。
シャズは物分かりが良すぎてしまう。不満に思っていても、それを良しとしてしまう。その不満は一つ一つは小さくても、溜め込むと大きな感情となり爆発してしまう。
「あぁ、そうだったな」
「これだけやられたら仕返しするほどバカじゃないだろ」
「どうでもいいわ。このまま帰る」
「ああ。カバン持ってきた」
「悪りぃ。あん時と同じだな」
「あん時?」
「あぁ、リーシュに逢った時」
「・・・あん時はお前自分でカバン持って行っただろ!人を小間使いにすんなよ!」
ビトリーは下を向いて震えてる拳で俺を小突いた後、力いっぱい抱きしめられた。
あの時とは状況が何もかも変わってしまった。
「何だよ。俺はこういう趣味ねーよ」
「オレだって違う・・・」
何とか親友を引き止めようと、震える身体を必死に保ち、シャズを抱きしめながらビトリーは決意を固めていた。
ロジーに聞くと、リーシュが帰ってくるなりあの部屋に閉じこもっているらしい。確かにあの部屋にいる事が多くなったのには気づいていたが、相当ヤバそうだ。
でも食事はちゃんと取るようになったし、睡眠もしっかり取っている筈だ。どうしてそんなにも落ちこむのかわからない。一体何があったんだ?
その夜、ロジーに何故かメニューを書いてリーシュが選ぶようにしては?と提案されたがリーシュも嫌がったらしいとユージュアルに却下された。ロジーにどうしたと聞いても困った笑顔を見せるだけだった。
にんじんのお粥を作って数日が経つ今も、全くリーシュに逢っていない。屋敷ならまだしも学校でさえ逢っていない。いくら通学を別にしたとはいえ、廊下ですれ違うことさえ無い。
昼休みは中庭にさえ来ない。どうやらエンス先輩と食べているらしい。先輩に一緒に中庭へ呼んだが断られてしまった。何だか避けられている様で面白くない。
「今回、先輩なんて?」
ビトリーがオレンジのパックジュースを咥えて聞いてきた。
「雨だから外に出ない」
「たははっ。心の中は雨ってか?」
「で、今に降り出すわ。ご愁傷様。だとさ」
「こえ~!」
ビトリーは笑いながら怯えた。
「・・・昨日は暑いから」
「だったな。今、冬だよな?テキトーに返してんなぁ先輩。リーシュに送っても返事無いんだろ?」
「あぁ」
「・・・」
「何だよ」
普段お喋りな奴が黙るのは気になる。
「いやー。イラついてるなぁーと思って」
「別に」
「お前、ホントわかりやすいなぁ」
小さく笑いながらずずっと音がし、飲み終わったオレンジジュースのパックを口元から離した。
「は?」
「イラついてるとお前口数が減るんだよ」
ビトリーはこちらを見ずに答えた。
「・・・!」
「どーせ誰かさんに会うなって言われてんだろ?弁当は?」
「ロジーに渡してる」
「なるほど~。飯は食ってもいいけど、赤の他人としてすごせ、か。生殺しだろうな」
「アイツ、人懐っこいから」
「・・・・・・」
ビトリーは手を止めてじっとこっちを見た。何言ってんだ?とでも言いたそうだ。
「何だよ。その顔は!」
「・・・お前も案外鈍いヤツだったんだなぁ」
「はぁ?」
「いや、オレは味方だからな。負けんなよ!」
バシッと肩を叩かれた。結構マジだった。
「誰にだよ!」
「・・・きっと泣いてるから雨なんだろな」
「何だよ?」
「いや、別に」
ポツリと溢れた言葉は俺には届かなかった。
最近みんなそうだ。俺に隠し事でもしてるみたいにしている。ニヤニヤしながらも見守られているようで気持ちが悪い。
そのせいか?最近イライラしっぱなしだ。
昼食後から体調を崩したようで5限目が終わり、保健室へ向かう途中、移動教室であろう3年何人かとぶつかった。よろけた俺はバランスを崩して尻もちをついて転んだ。
「あー大丈夫ー?」
「んだよ男かよ!かわいい女子なら喜んでお姫様抱っこして保健室連れてったのに~」
「あの1年のお嬢様とかなー」
「スキップして連れて行くわ!」
「何処に連れて行く気だよ!」
「アハハハハハ!!」
低俗な思考に下品な会話、耳障りな笑い声が頭に響く。
「俺、保健室に行くとこなんすよ。でも、救急車呼んだ方が早そうなんで、相手してくれます?先輩」
「はあ!?意味わかんねー!」
「じゃー、人目につくのも俺が困るだけだから、裏庭行きましょーって言ったらわかってくれますー?」
「何だよ!その腹たつ喋り方は!!」
「ボコられてーみたいだなぁ!?」
「早くー行きますよー?」
「オイ!待てよ!」
「ここなら人目につかないかなー。ちょーっとストレス発散させてもらいますねー?」
「はっ!この人数を相手にやり合う気か?」
「ストレス発散させてもらうのはコッチの方!
そこで俺の意識は途切れた。フワフワと踊っているみたいだ。気持ちいい。
朦朧とした意識の中、ビトリーが俺の肩を掴んでいた。
「オイ、やめろシャズ、死んじまう!!」
「ん?あぁ・・・、そうだな」
シャズは虚な目で、怯えていそうな表情をして笑ったので、ビトリーは全身が凍りつきそうになった。長い付き合いだが、こんな顔をしたシャズは初めて見た。自分の知っている幼馴染のシャズではないか気がした。
周りにはボロボロの3年生が転がって、俺はシャズがその1人の胸ぐらを掴んでいた手を離した。既にぐったりしている。ソイツを支えて怯えながら3年は何とか歩いて帰っていった。
「い、一体どうしたんだ?」
「ムカついたからボコった。後は覚えてない」
「・・・つ、ついにキレたか。ケンカする時意識飛ばすのなんとかしろよ!お前がブチ切れる前の疑問増えるのも、やたら伸ばす喋り方とかも煽ってんだよ!!」
「悪い・・・」
「はぁー」
落ち着いたシャズは謝った。ため息を吐かずにいられない。溜め込みすぎると一気に手がつけられなくなる。悪い癖だ。さっき自分も煽ってしまっていた事に少なからず反省する。
滅多に無く、まさかここまで溜め込んでいるとは思っていなかった。自分が来なかったらと思うとゾッとする。
「言いたいことがあるなら言え!やりたいことがあるならやれ!我慢するな!!そう教わっただろ!」
こういう不満は定期的に吐き出してしまう事が大切だ。
シャズは物分かりが良すぎてしまう。不満に思っていても、それを良しとしてしまう。その不満は一つ一つは小さくても、溜め込むと大きな感情となり爆発してしまう。
「あぁ、そうだったな」
「これだけやられたら仕返しするほどバカじゃないだろ」
「どうでもいいわ。このまま帰る」
「ああ。カバン持ってきた」
「悪りぃ。あん時と同じだな」
「あん時?」
「あぁ、リーシュに逢った時」
「・・・あん時はお前自分でカバン持って行っただろ!人を小間使いにすんなよ!」
ビトリーは下を向いて震えてる拳で俺を小突いた後、力いっぱい抱きしめられた。
あの時とは状況が何もかも変わってしまった。
「何だよ。俺はこういう趣味ねーよ」
「オレだって違う・・・」
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