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子供と大人
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目が覚めると、見慣れたあのボロアパートの天井の染みが・・・無い。
愛着が湧いてきていた使用人用の屋敷の天井の草模様だ。ここは俺の部屋のベッドだ。あれ?俺、何してたんだっけ?
「お目覚めですか?」
「ロジー?」
ゆっくりと起き上がる。体調に問題がある訳では無さそうだ。
「大丈夫か?シャズ!」
「おやっさん?」
「料理長と呼べや!!バカたれ~!!」
力任せに抱きしめられる。
「おやっさん、ぐるしい」
「心配だったのはわかりましたから離してあげて下さい。ポークス、貴方が息の根を止めてしまいますよ?」
「うるせ~!無茶しやがって!」
おやっさんはようやく離してくれたと思ったら、また俺を抱きしめた。記憶が戻ってきて、こんなに心配をかけてしまった事を申し訳なく思う。
「泣くなよ。いい大人なんだから・・・」
「泣いてね~!!」
「ふふっ。そうしていると、まるで親子のようですね」
「こんなのが父親なんて御免だ」
父親の記憶は正直全く無いけど、おやっさんはせめて親戚のおやっさんか、近所のおやっさんでいてほしい。
「俺のガキはもっとかわいいぞ」
「え?おやっさん子供いんの?」
意外だ。たしかに子供がいてもおかしくないけど、一途すぎて振られて結婚出来ないイメージだ。
「おう、ココにな」
おやっさんはポケットから手帳を取り出した。中に写真が数枚あるのを見せてくれた。
ある一枚で俺の手が止まる。スゲ~美人がかわいい子供に寄り添って写ってた。どっかで見た事があるような気がする。
「今は離れて暮らしてる。休みにはちょこちょこ顔見てるぞ。もちろん嫁さんもな」
「まさか、この人が奥さ
「だはははっ!ちげーよ!この方は、奥様だ」
「奥様?・・・リーシュの?」
「おう、母ちゃんだな」
なるほど、よく似ている。違うのは腰まであるロングヘアと目の色くらいだ。
「へー、どうりで美人なワケだ」
「・・・っ!」
「おおっ?」
「ん?どうした?」
ロジーは固まってまた眼鏡にヒビが入っているし、おやっさんはニヤニヤ笑ってる。
「そ、そうですね。リーシュ様は奥様、モーラ様によく似ております」
「そうだなぁ。俺も奥様と映画みたいな恋愛したかったなぁ~」
「ポークス!?」
「何だよ?ただの妄想だよ!・・・ったく!ロジーは固いんだよ!」
「何を言います!私の特技は社交ダンスですよ?」
「はぁ?」
俺もおやっさんも脳内が?だ。
「身体が柔らかいという事です!リーシュ様の講師も務めておりま
「そういう意味じゃねーって!!」
「なるほど、身体が柔らかくなる為に頭が固くなる必要があったんだな」
おやっさんがツッコミ、俺が皮肉を言うと、ロジーはクスッと笑った。おやっさんもニヤニヤして俺を見てる。
「何だよ?」
「お元気になられたようで良かったです」
「スゲ~落ち込んでたよなぁ~お前」
「別に・・・」
「それで、何があったんですか?鍵のかかった部屋で倒れていたんですよ」
ロジーが優しく聞いてきた。
「・・・言いたくない」
「何故ですか?」
「俺1人で片付ける」
「何でだよ!?おれらは信用できないのか!?」
おやっさんがイラついてる。
「違う・・・誰かの世話になるのが嫌なんだよ。早く大人っていうか、ひとり立ちしたい。迷惑かけたくないんだ・・・」
小さな声で下を向いてそう言った。本音を言うのは小っ恥ずかしい
「はぁー」
ロジーのため息が聞こえた。と思ったらいきなりおやっさんに胸ぐらを掴まれた。
「はぁ?お前本当にバカタレか?いや、馬鹿タレだな」
「漢字に直して言い直す必要あんのか?」
「あります。ばかたれでもなく馬鹿タレです」
ロジーも加勢し、おやっさんは俺の胸ぐら掴んでいるクセに下を向いている。いったい何だよ?
「かけろよ・・・」
「何だよ?」
「迷惑かけやがれ!」
「だから泣くなよ、おやっさん」
顔のわりにホント涙もろい。
「お前はオレにとっちゃあシャズ!お前はもう弟子だ!!息子も同然だ!!親にとっては子供はいつまで経っても子供なんだよ!!」
「自分の子供はもっとかわいいって言ったクセに・・・」
「話を逸らすな!!大人になりたい。ひとり立ちしたいってのはなぁ!1人で何もかも抱え込むって事じゃねーぞ!?大人ってのは気づいたら嫌でもなっちまうモンだ!!」
「それは!年齢だろ!?俺がまだガキだから!
「あぁそうだ。でもな、大人になるには時間を過ごせば良い。でも、一人前の人間になるには年齢なんて関係ない。それを間違えるな」
言おうとした事を詰められてまさに言葉に詰まった。
「大人でも、一人前の人間でも、1人で何もかも背負うなんて無謀だ。背負いすぎると潰れちまうぞ」
たしかにこの問題はとても大きい。殺されるのかとさえ思った程に。
「ポークスも私もシャズさんを心配しているんです。お手伝いさせて下さい」
ロジーが続ける。
俺は、観念して何があったのかを話す事にした。
愛着が湧いてきていた使用人用の屋敷の天井の草模様だ。ここは俺の部屋のベッドだ。あれ?俺、何してたんだっけ?
「お目覚めですか?」
「ロジー?」
ゆっくりと起き上がる。体調に問題がある訳では無さそうだ。
「大丈夫か?シャズ!」
「おやっさん?」
「料理長と呼べや!!バカたれ~!!」
力任せに抱きしめられる。
「おやっさん、ぐるしい」
「心配だったのはわかりましたから離してあげて下さい。ポークス、貴方が息の根を止めてしまいますよ?」
「うるせ~!無茶しやがって!」
おやっさんはようやく離してくれたと思ったら、また俺を抱きしめた。記憶が戻ってきて、こんなに心配をかけてしまった事を申し訳なく思う。
「泣くなよ。いい大人なんだから・・・」
「泣いてね~!!」
「ふふっ。そうしていると、まるで親子のようですね」
「こんなのが父親なんて御免だ」
父親の記憶は正直全く無いけど、おやっさんはせめて親戚のおやっさんか、近所のおやっさんでいてほしい。
「俺のガキはもっとかわいいぞ」
「え?おやっさん子供いんの?」
意外だ。たしかに子供がいてもおかしくないけど、一途すぎて振られて結婚出来ないイメージだ。
「おう、ココにな」
おやっさんはポケットから手帳を取り出した。中に写真が数枚あるのを見せてくれた。
ある一枚で俺の手が止まる。スゲ~美人がかわいい子供に寄り添って写ってた。どっかで見た事があるような気がする。
「今は離れて暮らしてる。休みにはちょこちょこ顔見てるぞ。もちろん嫁さんもな」
「まさか、この人が奥さ
「だはははっ!ちげーよ!この方は、奥様だ」
「奥様?・・・リーシュの?」
「おう、母ちゃんだな」
なるほど、よく似ている。違うのは腰まであるロングヘアと目の色くらいだ。
「へー、どうりで美人なワケだ」
「・・・っ!」
「おおっ?」
「ん?どうした?」
ロジーは固まってまた眼鏡にヒビが入っているし、おやっさんはニヤニヤ笑ってる。
「そ、そうですね。リーシュ様は奥様、モーラ様によく似ております」
「そうだなぁ。俺も奥様と映画みたいな恋愛したかったなぁ~」
「ポークス!?」
「何だよ?ただの妄想だよ!・・・ったく!ロジーは固いんだよ!」
「何を言います!私の特技は社交ダンスですよ?」
「はぁ?」
俺もおやっさんも脳内が?だ。
「身体が柔らかいという事です!リーシュ様の講師も務めておりま
「そういう意味じゃねーって!!」
「なるほど、身体が柔らかくなる為に頭が固くなる必要があったんだな」
おやっさんがツッコミ、俺が皮肉を言うと、ロジーはクスッと笑った。おやっさんもニヤニヤして俺を見てる。
「何だよ?」
「お元気になられたようで良かったです」
「スゲ~落ち込んでたよなぁ~お前」
「別に・・・」
「それで、何があったんですか?鍵のかかった部屋で倒れていたんですよ」
ロジーが優しく聞いてきた。
「・・・言いたくない」
「何故ですか?」
「俺1人で片付ける」
「何でだよ!?おれらは信用できないのか!?」
おやっさんがイラついてる。
「違う・・・誰かの世話になるのが嫌なんだよ。早く大人っていうか、ひとり立ちしたい。迷惑かけたくないんだ・・・」
小さな声で下を向いてそう言った。本音を言うのは小っ恥ずかしい
「はぁー」
ロジーのため息が聞こえた。と思ったらいきなりおやっさんに胸ぐらを掴まれた。
「はぁ?お前本当にバカタレか?いや、馬鹿タレだな」
「漢字に直して言い直す必要あんのか?」
「あります。ばかたれでもなく馬鹿タレです」
ロジーも加勢し、おやっさんは俺の胸ぐら掴んでいるクセに下を向いている。いったい何だよ?
「かけろよ・・・」
「何だよ?」
「迷惑かけやがれ!」
「だから泣くなよ、おやっさん」
顔のわりにホント涙もろい。
「お前はオレにとっちゃあシャズ!お前はもう弟子だ!!息子も同然だ!!親にとっては子供はいつまで経っても子供なんだよ!!」
「自分の子供はもっとかわいいって言ったクセに・・・」
「話を逸らすな!!大人になりたい。ひとり立ちしたいってのはなぁ!1人で何もかも抱え込むって事じゃねーぞ!?大人ってのは気づいたら嫌でもなっちまうモンだ!!」
「それは!年齢だろ!?俺がまだガキだから!
「あぁそうだ。でもな、大人になるには時間を過ごせば良い。でも、一人前の人間になるには年齢なんて関係ない。それを間違えるな」
言おうとした事を詰められてまさに言葉に詰まった。
「大人でも、一人前の人間でも、1人で何もかも背負うなんて無謀だ。背負いすぎると潰れちまうぞ」
たしかにこの問題はとても大きい。殺されるのかとさえ思った程に。
「ポークスも私もシャズさんを心配しているんです。お手伝いさせて下さい」
ロジーが続ける。
俺は、観念して何があったのかを話す事にした。
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