お嬢様の胃袋掴んでしまいましたが!?

近藤蜜柑

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わがままなお願い

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翌日の放課後、俺はリーシュに捕まった。ホームルームがかなり早く終わったのに待っていたらしい。
クラスメイトに、じとーっと見られたので睨みつけておいた。
少し心配していたが、別に平気そうでホッとした。常備系の保存が効く物を最初に勧められたのはその為だったか。普通の屋敷ではあまり作らないだろうなぁ。

校門の前ではロジーとニトアが睨み合っているのをビトリーが止めていて、俺達を見て助かったと言わんばかりの顔をした。
ビトリーは結構プライドが高く、人を頼らないので珍しいが、ニトアの事になると頼ってくる。なんだかんだでとても甘い。シスコンって奴だと思う。

ニトアは俺に抱きついてきた。
「シャズお兄ちゃん帰ろ!」
「あまりワガママを言うものでは無いと思います」
「へー?アタシもお嬢様になりたいなぁ、お嬢様になったらワガママいくらでも言えるもんね!」
ニトアはリーシュを見ながら皮肉を言った。
リーシュは一瞬凹んだ顔を見せたが、キリッとした顔を上げてからコッチを見た。怒ってるでもなく、不安そうでもない。
「シャズさんはどうしたいですか?」
え?そこで俺に振る?困惑しているとリーシュは
「もし2日連続なら余計にお給料引きます!もちろん昨日の分も、交通費も引きます!」
「ゔっ」
正論だ。確かに正論だ。俺のせいじゃないし、仕方ないが、私用で仕事しなかったのは本当だし。
ロジーがポカーンと固まっている。リーシュのことだ。人に言い返すとかなんて滅多にしないんだろうな。
俺が言葉に詰まっているのを見たニトアは
「お兄ちゃんをとらないで!」
と泣いた。
「負けないんだから!離さないからぁ!」
ニトアは俺から離れない。これはよわった。

「じゃあ、ニトアちゃん、今日は家にお泊まりしませんか?」
「え?」
リーシュの提案に俺達はみんな固まった。
「明日からせっかくの大きなお休みです!みんなでお泊まりしましょう!いいですよね?ロジー!」
「は、はぁ」
ポカンとしながらもロジーは頷く。
「ほら、行きましょう!」
「えぇ?何で?」
ニトアも混乱してる。もちろん俺もビトリーもだ。
「あ、ビトリーさんもご一緒にどうぞ。賑やかな方がいいですよね!」
「え?オレも?」
「お泊まり会ってやってみたかったんです~!」
リーシュはウキウキしながら話を進めて
いく。

「り、リーシュ様?」
ロジーがたじたじになりながら1人の世界に入ってしまったリーシュに声をかける。
「あ、いきなりはダメですか?」
「いえ、構いません」
急にしょげてしまい、ロジーは反射的にOKしてしまった。
「じゃあ、行きましょう!」
「えええぇ?」
ニトアの手を引いて車に乗せようとしてる。
「リーシュって結構強引なんだな」
ビトリーがポカンとしてる。
「いや、俺もかなり驚いてる」
リーシュもワガママなのは本当かもしれない。


車の中で、ニトアは目を輝かせながらキョロキョロしていた。1つ1つ質問に答えていくリーシュは楽しそうだ。


でも、屋敷に着いてからが大変だった。ニトアは着くなりそこら中を走り回り、色んな扉を開けるだけ開けて回った。
挙げ句の果てにかくれんぼと題して、ありとあらゆるところに隠れ、見つかりそうになったり、見つかったりすると、走って別の場所に隠れる。連れ回されてくたびれていると、別の人の手を引いて連れ回す。

最終的にみんながくたびれて休んでいると、何処にいったかわからなくなり、心配していると、最初に通されて、みんながくたびれて休んでいた場所の角で眠っているところを発見した。
「こんなにはしゃいだニトアは初めて見た」
リーシュに礼を言うと、リーシュは不思議そうな顔をしていた。
「私、シャズさんの働いている姿を見せて安心させたかったんですけど、どうしてこうなったんでしょう?そろそろ夕食の準備をする時間ですが起こしたくないです」
オレは吹き出してしまった。
「別に、いつでも見せてやるよ」
「わかりました。では、明日の朝お願いします!ロジー、ニトアちゃんを起こして見せてあげて下さいね」
「承知しました」
ロジーはにこやかに笑みを浮かべて了承してくれた。
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