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色違いの制服
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そんな話をしている間に屋敷に着いたようだ。
わかってはいたが、何もかもがデカい。丸いバルコニーなんて初めて見た。屋敷というよりは城のようだ。
ロジーに促されて屋敷の近くにある離れのような建物に入る。
一斉に中にいた使用人達にジロッと見られる。
何処を担当しているかはなんとなく直感でわかる。俺の特技だ。調理場担当の人間には特にギロリと見られた。
メイド達からは少し色めきだった目だ。学生かわいい?とか、何でもかわいいって言いたくなるのか?オイオイ、あのおばちゃんとか恐いんだけど!
ロジーに促されて挨拶を済ませる。どうやらこの建物は使用人の住居らしい。飾りはないが、建物だけでもとても広い。使用人に優しい主人なのかと少しほだされた。
俺は自室になる部屋に通された。俺のオンボロアパートとに比べてかなり広い。しかも1人部屋。荷物を整理して、着替えたら出て来てくださいと言われ、制服を渡された。
コック服だけど、パティシエみたいな見た目だ。
襟や袖に薄いミント色のギンガムチェック。スカーフもミントにこげ茶のライン。ズボンはこげ茶、エプロンはこげ茶のギンガムチェック。隅にうさぎのアップリケがエプロンの隅に施されてる。ご丁寧にコック帽子まである。縁に折り返しのようにミントのギンガムにこげ茶のラインが入った白い帽子。オイオイ、ちょっとこの服は子供っぽくないか?俺はアイドルのPVに出るわけじゃないだろ!?ちょっとキツいぞ
着替えて俺は直ぐにドアを開けた。
ガン!
「ぐっ!」
いい音がした。見るとロジーが後ろ頭をさすっている。
「あ、わりぃ」
「いくら何でも早すぎますよ!?」
ロジーは少し起こっているようだ。
「荷物なんて今必要なもんじゃないし、必要なものは揃えてくれるんだろ?」
「はい。もちろんです。制服もよくお似合いです」
ロジーはニッコリ微笑んでいる。
「いや、コレはキツいだろ」
「サイズは合っている筈ですが?」
「サイズじゃねー!見た目だよ」
「お嬢様のお好みです」
「あっそ。あーもー!こうなりゃヤケクソだ!さぁ、おじょーさまの腹を満たしてやるよ!キッチンに案内してくれ」
「ありがとうございます!シャズさん様!」
「・・・なぁ、その呼び方ヤメロよ。何か変だぞ?」
「お嬢様がシャズさんシャズさんと呼ぶので、移ってしまいましたが、いけないでしょうか?」
ロジーは至極真面目な顔で考えこむ。天然なのか?
「どっちかにしろ」
「かしこまりました。ではシャズさん、キッチンはこちらです」
通されたキッチンはやっぱり広かった。でも、あまり使われている形跡がない。ロジーに尋ねると、このキッチンでは雇い主。つまり、お嬢様と、あまり帰ってこない旦那様の為で、使用人達はさっきの離れにある使用人の住居で調理をしているらしい。
使う食材や、調味料など、主人の好みに合わせているので、手に入りにくいものも多いそうだ。
まず、俺はリーシュに話を聞きたいと思ったが、却下された。
俺が作ったものだと知らせずに食べるかを確認したいらしい。
なるほど、たしかに嘘をつくのは主人の為だけというロジーの意見に納得した。
ロジーは好きな食材だけを教えてくれた。
俺も聞いて驚いた。ニンジン🥕だっていうんだからな
「ニンジンか。何作るかなぁ~?きんぴらにコールスロー、サラダ、しりしり、ポタージュ、キッシュにグラッセ、後はケーキか?」
ロジーは呆けている。
「おい!ロジー!」
「はっ、ハイ!」
「どうした?ボーっとして」
「いえ、年の割にたくさんのお料理がでてくるなぁと、感心しておりました」
「作らなきゃいけない環境だっただけだよ」
「心中、お察しします」
「あ?」
「申し訳ありません。少し調べさせていただきました」
「別にいいよ。お嬢様の近くにおかしなヤツ置きたくないだろうしな」
「すみません。ありがとうございます」
「で、何がいい?」
「では、グラッセとロールケーキをお願いします。その他の料理は料理長達にお願いします」
目の前に出てきたのはさっき特に俺をギロリと睨んでいたヤツだ。ま、せっかく作った弁当を隠されて、お嬢様が何処の馬の骨とも知らないヤツの弁当食って完食したら睨みたくもなるか
他のヤツは至ってシンプルな服で恥ずかしくなったが、ソイツだけは俺と色違いで紺色のギンガムチェックにラインが黄色の同じ服を着ていた。厳しい顔に可愛い制服がギャップで何だか可愛く見えてきた。特に睨まれているが気にしないで、調理を始めた。
最後の仕上げとして、料理長は俺の作ったものを飾り付けた。
ついつい見惚れてしまう。ソースやスパイスをかけるだけでは無いのに俺の作った料理がミシュラン級に輝いている。
出来上がりに思わずスゲ~と言ってしまった。小さな声だったので気づかれていないと思っていたが、目が合った料理長の口元が緩んでいた。
やっぱりコイツ憎めないわ。
わかってはいたが、何もかもがデカい。丸いバルコニーなんて初めて見た。屋敷というよりは城のようだ。
ロジーに促されて屋敷の近くにある離れのような建物に入る。
一斉に中にいた使用人達にジロッと見られる。
何処を担当しているかはなんとなく直感でわかる。俺の特技だ。調理場担当の人間には特にギロリと見られた。
メイド達からは少し色めきだった目だ。学生かわいい?とか、何でもかわいいって言いたくなるのか?オイオイ、あのおばちゃんとか恐いんだけど!
ロジーに促されて挨拶を済ませる。どうやらこの建物は使用人の住居らしい。飾りはないが、建物だけでもとても広い。使用人に優しい主人なのかと少しほだされた。
俺は自室になる部屋に通された。俺のオンボロアパートとに比べてかなり広い。しかも1人部屋。荷物を整理して、着替えたら出て来てくださいと言われ、制服を渡された。
コック服だけど、パティシエみたいな見た目だ。
襟や袖に薄いミント色のギンガムチェック。スカーフもミントにこげ茶のライン。ズボンはこげ茶、エプロンはこげ茶のギンガムチェック。隅にうさぎのアップリケがエプロンの隅に施されてる。ご丁寧にコック帽子まである。縁に折り返しのようにミントのギンガムにこげ茶のラインが入った白い帽子。オイオイ、ちょっとこの服は子供っぽくないか?俺はアイドルのPVに出るわけじゃないだろ!?ちょっとキツいぞ
着替えて俺は直ぐにドアを開けた。
ガン!
「ぐっ!」
いい音がした。見るとロジーが後ろ頭をさすっている。
「あ、わりぃ」
「いくら何でも早すぎますよ!?」
ロジーは少し起こっているようだ。
「荷物なんて今必要なもんじゃないし、必要なものは揃えてくれるんだろ?」
「はい。もちろんです。制服もよくお似合いです」
ロジーはニッコリ微笑んでいる。
「いや、コレはキツいだろ」
「サイズは合っている筈ですが?」
「サイズじゃねー!見た目だよ」
「お嬢様のお好みです」
「あっそ。あーもー!こうなりゃヤケクソだ!さぁ、おじょーさまの腹を満たしてやるよ!キッチンに案内してくれ」
「ありがとうございます!シャズさん様!」
「・・・なぁ、その呼び方ヤメロよ。何か変だぞ?」
「お嬢様がシャズさんシャズさんと呼ぶので、移ってしまいましたが、いけないでしょうか?」
ロジーは至極真面目な顔で考えこむ。天然なのか?
「どっちかにしろ」
「かしこまりました。ではシャズさん、キッチンはこちらです」
通されたキッチンはやっぱり広かった。でも、あまり使われている形跡がない。ロジーに尋ねると、このキッチンでは雇い主。つまり、お嬢様と、あまり帰ってこない旦那様の為で、使用人達はさっきの離れにある使用人の住居で調理をしているらしい。
使う食材や、調味料など、主人の好みに合わせているので、手に入りにくいものも多いそうだ。
まず、俺はリーシュに話を聞きたいと思ったが、却下された。
俺が作ったものだと知らせずに食べるかを確認したいらしい。
なるほど、たしかに嘘をつくのは主人の為だけというロジーの意見に納得した。
ロジーは好きな食材だけを教えてくれた。
俺も聞いて驚いた。ニンジン🥕だっていうんだからな
「ニンジンか。何作るかなぁ~?きんぴらにコールスロー、サラダ、しりしり、ポタージュ、キッシュにグラッセ、後はケーキか?」
ロジーは呆けている。
「おい!ロジー!」
「はっ、ハイ!」
「どうした?ボーっとして」
「いえ、年の割にたくさんのお料理がでてくるなぁと、感心しておりました」
「作らなきゃいけない環境だっただけだよ」
「心中、お察しします」
「あ?」
「申し訳ありません。少し調べさせていただきました」
「別にいいよ。お嬢様の近くにおかしなヤツ置きたくないだろうしな」
「すみません。ありがとうございます」
「で、何がいい?」
「では、グラッセとロールケーキをお願いします。その他の料理は料理長達にお願いします」
目の前に出てきたのはさっき特に俺をギロリと睨んでいたヤツだ。ま、せっかく作った弁当を隠されて、お嬢様が何処の馬の骨とも知らないヤツの弁当食って完食したら睨みたくもなるか
他のヤツは至ってシンプルな服で恥ずかしくなったが、ソイツだけは俺と色違いで紺色のギンガムチェックにラインが黄色の同じ服を着ていた。厳しい顔に可愛い制服がギャップで何だか可愛く見えてきた。特に睨まれているが気にしないで、調理を始めた。
最後の仕上げとして、料理長は俺の作ったものを飾り付けた。
ついつい見惚れてしまう。ソースやスパイスをかけるだけでは無いのに俺の作った料理がミシュラン級に輝いている。
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