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青年期
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意を決してアイツの事を教えてほしいと言った僕は、ショウから返ってきた言葉にまた凍りついた。
「どんな氷の上にもいるよ?滑れるようになった頃から俺が滑るとじゃれてくるんだ。見た目は怖いけど、可愛いよね。あーようやくこの話が出来る!家族に伝えたらそんなのいる訳無いって気味悪がられて隠してたんだ」
はしゃぐショウに僕は怒りが込み上げてきた。
「ふざけるな!プログラムを勝手に変えるから先生にも怒られるし、審査員にも減点されるんだ!僕は君みたいに遊びでスケートをしているんじゃない!」
「ヒョウくん?」
投げ捨てるように嫉妬をショウにぶつけた。
会話になっていないのが自分でもわかる。
僕はそのまま走り去った。顔を背けてから悔し涙が止まらなかった。
どんな氷の上にもいる?滑るようになった頃から?
ショウにはアイツがいる事の方が普通だって言うのか!?
僕がいつまでもショウに勝てたと思えない理由がわかった。ショウはいつも本気で滑らない。いつだって楽しんでいるだけなんだ。アイツと、遊んでいるだけなんだ。
初めてアイツを見た時に思った事もわかった。
ショウはウェンディゴに、スケートに・・・氷の精霊に愛された人間なんだ・・・
悔しい・・・ズルい・・・。ズルいよ、ショウちゃん・・・
高校生になった僕は、スケートの強豪校に入学した。留学を積極的にしている学校で、海外の学校に留学が決まり、かなり早く、長くした。
ショウと離れるとアイツを見かける回数が減った。
見かけてもあまり気にならなくなった。
ショウは地元の高校に入学し、部活としてスケートを楽しんでいるらしい。
ショウ、僕は君に負けたくない。僕は世界一になる。
オリンピックで金メダルをとる!
有名なコーチに指導を受けて、海外のコンクールに出ていると、マスコミが騒ぎ出した。高二になった年、オリンピック出場が決まった。
地元のみんなも出場を祝ってくれる。
連絡を受けた中に古い友達を見つけて、久しぶりに連絡してみた。
幼い頃から一緒に滑っていた仲間の1人で、ショウちゃんと僕の共通の友人だ。
気になって聞いてみると、高校のショウちゃんは競う事が嫌いだと主張して大会に出ようとしなかった。しかし、顧問の先生よりも教えるのが上手なので先生の反感をかってしまい、部に居づらくなったショウちゃんは部員にマネージャーとして求められたけど、結局は退部してしまった。
落ち込んでるショウちゃんに両親がアイスショーの出演を薦めると、大好評で、後押しをしたい人が多く現れた。
後になりゆきで大会に出場したショウちゃんは氷の魔法使い。アイスマジシャンの異名で凄い成績で優勝して、あっさりとオリンピックの出場券を掴んでしまった。
なるほど・・・だから大会の名簿に名前があったのか・・・
アイスショー見たかったと言うと、動画サイトに載っていると言われて見てみた。
動画でもわかる。うっすらとアイツが見える。ショウちゃんは、アイツを従えていた。
ただ遊んでいたあの頃とは違い、プログラムにも反していない。複数で踊る場合もショウの近くにいるけど、他の共演者の近くにも行く。
僕も最近はリンクでよく見かけるようになった。
「何人かの有名なスケートに関わっている人がさ、ショウが獣を従えていたって言ってんだ」
「え?」
「ショーの共演者や、コーチとか、演出家とか、シュウが滑ってる時に見えたって!」
「プロが見えた?」
「そう!オリンピックに出たら実況者は見えるのか気になるな!」
「そ、そうか!」
「見えない人には氷の粒。シュウが氷を出しているように見えるからアイスマジシャンって呼ばれてるらしい」
「そう・・・」
俺にも見えないけど、と友人は笑った。
「俺はお前も応援してるからな!ペンギン王子!」
「それやめろ・・・」
ペンギン王子は僕に付けられた名前だ。
僕は決して手足が短い訳でもないし、身長が低い訳でもない!
たまたまカバンに付けていたストラップが僕の好きなアニメのマスコットで、インタビュー中に見られて、その人にそのペンギンに似ていると言われて、そのままペンギン王子になってしまった。南が名前にあるかららしい。
今更外すのも嫌だし、気にしている感が出て嫌なのでストラップはそのままにしている。
待てよ?という事は、アイツはスケートがあるレベルになっていたら誰にでも見れるのか?
「観客は!?お爺さんとか、もう滑ってない人は見えたのか!?」
「え?あ、あぁ。観客の中にも何人か見えたって人がいたな」
「そっか・・・。なら誇っていいんだな」
「えぇ!?さっきからどうしたんだよ?大丈夫か?」
「ううん。何でもない。大丈夫だよ」
「そうか?ならいいけど・・・」
僕は中学の頃からアイツが見えていた
もちろんショウちゃんには滑れるようになった頃から見えていた。僕は誇っていい
ショウへの嫉妬はなくなり、ライバルとして認められるようになった。
ショウの今の演技を見るのが楽しみだし、本気になったショウと勝負がしたくてたまらない!
「どんな氷の上にもいるよ?滑れるようになった頃から俺が滑るとじゃれてくるんだ。見た目は怖いけど、可愛いよね。あーようやくこの話が出来る!家族に伝えたらそんなのいる訳無いって気味悪がられて隠してたんだ」
はしゃぐショウに僕は怒りが込み上げてきた。
「ふざけるな!プログラムを勝手に変えるから先生にも怒られるし、審査員にも減点されるんだ!僕は君みたいに遊びでスケートをしているんじゃない!」
「ヒョウくん?」
投げ捨てるように嫉妬をショウにぶつけた。
会話になっていないのが自分でもわかる。
僕はそのまま走り去った。顔を背けてから悔し涙が止まらなかった。
どんな氷の上にもいる?滑るようになった頃から?
ショウにはアイツがいる事の方が普通だって言うのか!?
僕がいつまでもショウに勝てたと思えない理由がわかった。ショウはいつも本気で滑らない。いつだって楽しんでいるだけなんだ。アイツと、遊んでいるだけなんだ。
初めてアイツを見た時に思った事もわかった。
ショウはウェンディゴに、スケートに・・・氷の精霊に愛された人間なんだ・・・
悔しい・・・ズルい・・・。ズルいよ、ショウちゃん・・・
高校生になった僕は、スケートの強豪校に入学した。留学を積極的にしている学校で、海外の学校に留学が決まり、かなり早く、長くした。
ショウと離れるとアイツを見かける回数が減った。
見かけてもあまり気にならなくなった。
ショウは地元の高校に入学し、部活としてスケートを楽しんでいるらしい。
ショウ、僕は君に負けたくない。僕は世界一になる。
オリンピックで金メダルをとる!
有名なコーチに指導を受けて、海外のコンクールに出ていると、マスコミが騒ぎ出した。高二になった年、オリンピック出場が決まった。
地元のみんなも出場を祝ってくれる。
連絡を受けた中に古い友達を見つけて、久しぶりに連絡してみた。
幼い頃から一緒に滑っていた仲間の1人で、ショウちゃんと僕の共通の友人だ。
気になって聞いてみると、高校のショウちゃんは競う事が嫌いだと主張して大会に出ようとしなかった。しかし、顧問の先生よりも教えるのが上手なので先生の反感をかってしまい、部に居づらくなったショウちゃんは部員にマネージャーとして求められたけど、結局は退部してしまった。
落ち込んでるショウちゃんに両親がアイスショーの出演を薦めると、大好評で、後押しをしたい人が多く現れた。
後になりゆきで大会に出場したショウちゃんは氷の魔法使い。アイスマジシャンの異名で凄い成績で優勝して、あっさりとオリンピックの出場券を掴んでしまった。
なるほど・・・だから大会の名簿に名前があったのか・・・
アイスショー見たかったと言うと、動画サイトに載っていると言われて見てみた。
動画でもわかる。うっすらとアイツが見える。ショウちゃんは、アイツを従えていた。
ただ遊んでいたあの頃とは違い、プログラムにも反していない。複数で踊る場合もショウの近くにいるけど、他の共演者の近くにも行く。
僕も最近はリンクでよく見かけるようになった。
「何人かの有名なスケートに関わっている人がさ、ショウが獣を従えていたって言ってんだ」
「え?」
「ショーの共演者や、コーチとか、演出家とか、シュウが滑ってる時に見えたって!」
「プロが見えた?」
「そう!オリンピックに出たら実況者は見えるのか気になるな!」
「そ、そうか!」
「見えない人には氷の粒。シュウが氷を出しているように見えるからアイスマジシャンって呼ばれてるらしい」
「そう・・・」
俺にも見えないけど、と友人は笑った。
「俺はお前も応援してるからな!ペンギン王子!」
「それやめろ・・・」
ペンギン王子は僕に付けられた名前だ。
僕は決して手足が短い訳でもないし、身長が低い訳でもない!
たまたまカバンに付けていたストラップが僕の好きなアニメのマスコットで、インタビュー中に見られて、その人にそのペンギンに似ていると言われて、そのままペンギン王子になってしまった。南が名前にあるかららしい。
今更外すのも嫌だし、気にしている感が出て嫌なのでストラップはそのままにしている。
待てよ?という事は、アイツはスケートがあるレベルになっていたら誰にでも見れるのか?
「観客は!?お爺さんとか、もう滑ってない人は見えたのか!?」
「え?あ、あぁ。観客の中にも何人か見えたって人がいたな」
「そっか・・・。なら誇っていいんだな」
「えぇ!?さっきからどうしたんだよ?大丈夫か?」
「ううん。何でもない。大丈夫だよ」
「そうか?ならいいけど・・・」
僕は中学の頃からアイツが見えていた
もちろんショウちゃんには滑れるようになった頃から見えていた。僕は誇っていい
ショウへの嫉妬はなくなり、ライバルとして認められるようになった。
ショウの今の演技を見るのが楽しみだし、本気になったショウと勝負がしたくてたまらない!
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