フィギュアスケートのライバルがおかしな動物と仲良くしてます!

近藤蜜柑

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幼少期

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僕らの生まれ育った故郷は日本の北部。
小さな雪国の田舎町だった。
子供は小学生の体育でスキーやスケートを楽しみ、僕らの冬は、雪と氷と共に育つ。


僕の家は裕福で、幼い頃から僕は英才教育を受けた。
自然の中で育てたいという母の希望で、小学校から中学卒業まで、僕はそこで育った。

そして僕はスポーツの方へ才能を開花させた。
中でもフィギュアスケートが得意で、好きだった。
広い氷の上で踊るようにステップを踏み、独楽の様にスピンして、観客を湧かせるジャンプ。
長い手足と、幼少から習っていたバレエで培った魅せる演技。僕はスケートにどんどんのめり込み、親も後押ししてくれた。そんな僕に勝てる人間は誰もいなかった。
僕より上手い人はいなかった。

けど、ショウちゃんは、僕よりも楽しそうにステップを踊り、楽しそうにスピンして、楽しそうにジャンプを飛んだ。
大会の成績は僕の方が上だけど、僕は1度たりともショウちゃんに勝ったと思えなかった。
ショウちゃんは、心底楽しそうに滑る。すると、子供達が直ぐに楽しそうだと寄ってくる。
ショウちゃんが滑るといつも人が集まった。
ショウちゃんの家はスケートリンクを開いている施設で、僕の練習場所でもある。
僕が練習に行くと、いつもショウちゃんは誰もいないからと1人でいつまでも楽しそうに滑っていた。
子供のころはそれで良かった。

小学生の授業だからみんな出来るようにはなるけど、それでも苦手な子はいる。そういう子はスケートをしたがらない。ショウちゃんの家のリンクは教室も開いているが、親が申し込まない限り、その子はそのままだ。もしくは大人なら、水泳みたいに必要がないので、スケートは知らなくても良いと、申し込む人はあまりいない。
でも、ショウちゃんがあまりにも楽しそうなので、興味は沸く。そんな人にショウちゃんが嬉しそうに教えると、その人は直ぐに滑れるようになってしまう。
教室の生徒を奪うなと、両親に何度か怒られているショウちゃんを見たことがあるけど、2人は知らないんだ。
ショウちゃんが教えた人はスケートが好きで好きでしょうがなくなり、友達や両親、祖父母や親戚まで連れてきてくれていて、このリンクは片田舎にあるにも関わらず、潰れたりしない。ショウちゃんが教える事をやめたらこのリンクは直ぐに潰れてしまう事を知らないんだろう。

ショウちゃんの体調が悪くて休んでいる時、スケートリンクに人が少なくなる事をショウちゃんの両親は知らない。

ショウちゃんは暇さえあればリンクで滑っていた。
両親は困り果てていたけど、誰よりもリンクを綺麗に出来るのもショウちゃんだから止めなかった。まぁ、ショウちゃんなら誰に何を言われたって聞かなかっただろうけど。


実際僕の方がいい成績を納めてるのに、いつだって僕はショウちゃんに勝てたと思った事は無い。
ショウちゃんは僕にとって友達で、親友で、ライバルであり、そして、どうしても越えられない壁だった。
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