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「ショウちゃん?」
五輪の会場ですれ違った選手を見つけて、僕は思わず振り返って当時のあだ名を呼んでいた。

彼も立ち止まって僕を振り返っている。
でも、その瞳は虚ろだ。

彼は僕を覚えていないのか、人違いの可能性も出てきた。
僕は羞恥で顔が赤らんでいくのがわかり、向き直ろうとする。

「ひょっとしたら、ヒョウ君?」
と、懐かしい僕のあだ名を呼んでくれた。

「あぁ、久しぶり。ショウちゃん」

僕を覚えていてくれた事。名簿の名前はやはり彼だった事。懐かしいあだ名と共に、僕の顔は綻び、身体はあの頃に戻っていく。
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