龍神祭のうた

近藤蜜柑

文字の大きさ
上 下
15 / 16

エピローグ

しおりを挟む
「はい。おしまい。面白かった?」
「うん。ありがとうアース先生」
「龍の唄、どっちも大事にしなきゃね」
「みんなに属性があるんだねー」
「性格に違いがあるから仲良くなるドラゴンも違うし、相性もあるんだね~」
「でも、木属性は何で火属性に弱いんだ?生木は燃えにくいだろ?」
「確かにそうだけど、それなら山火事は起きない事になっちゃうよ」
「あーそういえばそうかも」
「さ、明日のお祭り頑張ろう!」
『おー!!』

あの後、この村の過去はエウロスが監修を勤めて、兄さんが本を書いた。
絵本の簡単なバージョンはフロストがイラストを描いた。
オレは村の先生になって授業で村の歴史を子供たちに教えたりしてる。

噴水には龍の形を真似た柳の木を置き、レビンが剪定している。柳は村に伝わる神聖な木らしい。
歌のステージは神殿の一番奥になった。
フェンディの歌った歌はやはり村中に響き渡り、機械を使わずともスピーカーの役割を神殿が果たしている事がわかった
。あの時、数人が避難の為に山に登っていて、提案したらしい。
山には果物を運ぶような電車に似たものが作られて、簡単に行き来ができるようになった。ロープーウェイを作ろうとして、山の木を切る計画には反対した時は大変だったが。

「先生さようなら~」
「さよなら~気をつけて帰るんだぞー」
「はーい」
「さて、祭りの会場の見回りに行くか」
日はだいぶ傾き、辺りは暗くなり始め、鳥が家に帰る夕刻だ。
村長には兄貴がなり、作家と両立してるのでオレもよく手伝っている。
おばばの作っていたドラゴンのグッズはラットとダクトが引き継いでくれ、占いやまじないをしている。双子は何気に器用なのだ。
なんだかんだでおばばはしっかりと後継者を作っていたらしい。村人以外にも広めようと、属性の占いまで作っているらしい。

噴水の近くに誰かいる。オレは声をかけた。
「フェンディ!」
「アース!」
フェンディはオレに抱きついてきた。
オレも抱きしめる
「よく帰ってこれたな」
「当たり前でしょ!年に一度だもん」
「だな。そういえばフレイアは?」
「帰るなり、真っ直ぐ家に帰ったよ。ラブラブだよね」
フレイアはエウロスと結婚した。ずっと前からエウロスはフレイアに気があったらしく、親友の気持ちに全く気づいていなかったオレは驚愕したものだ。
ま、かくいうオレ達も婚約した仲だ。
フェンディとフレイアはデュオを組んで、歌い手として都に出向き歌っている。

「ひょっとして、明日の特別ゲストはお前らか?」
「うん。ライブするの!」
「ははっ。どーりで村に人が集まるワケだ」
「エヘヘ」
「そういえば、あの時フロストが渡したドラゴンはどんな意味なんだ?青いドラゴンはフェンディがとったんだろ?」
「うん」
フェンディは顔を赤くして俯く
「あ、相手の属性のドラゴンを月の見える枕元に置くと、その人と結ばれるっていわれてるの」
「水色のは?ヤケに玄関を押されたけど」
「うん。玄関は家族になるように。フロストはアースの事、本当のお兄ちゃんになってほしいって前から言ってたの」
「家族?」
「もう少ししたらなるから、おまじない叶ったね」
フェンディは照れながらニッコリ笑った。


FIN
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

白い結婚をめぐる二年の攻防

藍田ひびき
恋愛
「白い結婚で離縁されたなど、貴族夫人にとってはこの上ない恥だろう。だから俺のいう事を聞け」 「分かりました。二年間閨事がなければ離縁ということですね」 「え、いやその」  父が遺した伯爵位を継いだシルヴィア。叔父の勧めで結婚した夫エグモントは彼女を貶めるばかりか、爵位を寄越さなければ閨事を拒否すると言う。  だがそれはシルヴィアにとってむしろ願っても無いことだった。    妻を思い通りにしようとする夫と、それを拒否する妻の攻防戦が幕を開ける。 ※ なろうにも投稿しています。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

愚者による愚行と愚策の結果……《完結》

アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。 それが転落の始まり……ではなかった。 本当の愚者は誰だったのか。 誰を相手にしていたのか。 後悔は……してもし足りない。 全13話 ‪☆他社でも公開します

処理中です...