龍神祭のうた

近藤蜜柑

文字の大きさ
上 下
13 / 16

唄と歌とうた

しおりを挟む
神殿を出るとドラゴンはいつの間にか起きて、こっちに向かって飛んできていた。
ドキドキしていたが、何だか雰囲気が違う。
フワリと目の前に降りた。
ドラゴンはフェンディに擦り寄った。シッポをパタパタさせている。まるで犬のシッポだ。
フェンディは初めはビックリしていたが、やがて優しく撫でた。しばらく撫でていたが、ドラゴンはフェンディを咥えて背中に乗せた。
ドラゴンは次にオレを見た。オレは昨日の夜と同じ気持ちになり、優しく触れた。木の幹のような身体は手触りは良くないが、どこか落ち着く
ドラゴンは次にオレを咥えた。羽を広げだしたから、ひょっとしてこのまま飛ぶんじゃないかと慌てたが、オレはフェンディの後ろの背中に乗せられた。焦った。
どうやらこのドラゴン、そこまで大きくなく、2人乗りのようだ。さびが苦手だったり、噴水で遊んでいたのもまだ子どもなんだろうなと納得した。
ドラゴンは空に舞い上がり、しばらく空中散歩をしていた。
途中落ちそうになり、フェンディに抱きついてしまい、2人して赤くなっていると、ドラゴンがニコニコしてこっちを見ている気がした。
ドラゴンはゆっくりと噴水近くに降りて、
オレ達を下ろした。
村人のみんなも吸い寄せられるように集まってきた
泣いていた赤ん坊がスヤスヤと寝息をたてており、親に抱かれて半ベソになっていた子供が眼を輝かせていた。
フェンディはドラゴンを撫でている
すっかり懐いたものだ。
怖がっている村人を押し除け、ヌッと出てきた人物がいた。
「お見事じゃ!」
「おばば!」
「フレイアが歌い出した時はいよいよ死ぬかと思ったぞ」
「おばば。みんな助かったじゃねーか」
「それもそうじゃな。久しいのグリーツ落ち着いたか」
グアッ
ドラゴンがおばばに向かって鳴いた
何だか昔馴染みのペットみたいだ
「グリーツ?」
「この子の名前じゃ。昔、封印する前にワシが付けた名前じゃ」
「名前付けた⁈」
「そうじゃ。200年ぐらい経っとるかの」
「200年⁈」
「おばばいくつだよ!」
フェンディは素直に驚き
オレは笑いながら言った。おばばはオレのばあちゃんだ。精々7.80ぐらいだろ。オレは冗談だと思ったのだが、しかし
「あぁ、そう言えば言ってなかったのぉー。ワシは封印の解けたこの子を見届ける為に、寿命を伸ばすまじないをかけたんじゃ」
サラッと爆弾発言したぞ!
「おばばはオレのばあちゃんじゃねーのか!?」
「ひ~いばあちゃんじゃ。お前の先祖になるから間違えてはおらんぞ」
ひ~い?頭がクラクラしてきた。でも、おばばは占いやまじないで生計を立てていたりするので不思議と納得してしまう
「でも、なんでこのドラゴンがこの村に封印されてんだよ!」
しかもおばばは封印されていた事を知っているようだ。祭りの度にドラゴンのグッズを作っていたのも、今年はヤケに張り切っていたのもうなづけるぞ!
「まぁ待て、ゆっくり説明してやるから」
そうしてオレ達は村の歴史を聞いた。
その間に木属性のドラゴン、グリーツは緑の奥深くの何処かの山へと飛びたっていった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

白い結婚をめぐる二年の攻防

藍田ひびき
恋愛
「白い結婚で離縁されたなど、貴族夫人にとってはこの上ない恥だろう。だから俺のいう事を聞け」 「分かりました。二年間閨事がなければ離縁ということですね」 「え、いやその」  父が遺した伯爵位を継いだシルヴィア。叔父の勧めで結婚した夫エグモントは彼女を貶めるばかりか、爵位を寄越さなければ閨事を拒否すると言う。  だがそれはシルヴィアにとってむしろ願っても無いことだった。    妻を思い通りにしようとする夫と、それを拒否する妻の攻防戦が幕を開ける。 ※ なろうにも投稿しています。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

愚者による愚行と愚策の結果……《完結》

アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。 それが転落の始まり……ではなかった。 本当の愚者は誰だったのか。 誰を相手にしていたのか。 後悔は……してもし足りない。 全13話 ‪☆他社でも公開します

処理中です...