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フレイアの決意
しおりを挟む舞台袖まで来た。皆が大混乱だ。祭り会場を出るには通り道にある噴水を通らなくてはいけないので留まってはいるが、みんな何が起きたかわからないのだ。泣きだす赤ん坊、荷物を纏めるお兄さん、屋台をたたみだすおじさん、はぐれた家族を探すお母さん、ただオロオロしているオバさん
フレイアは怒りに燃えていた
今日はどうしても歌いたかった
歌って、優勝して、
自分の歌を好きだと言ってくれたアースに告白するつもりでいた。
去年はマスコットだったが、アースに強請ってアースの属性である地面の黄色のドラゴンを貰い、部屋の枕元に置いた。
ドラゴンにも、そして私達村の人間にも属性がある。
毎回おばばの屋台では属性ドラゴンと掛け合わせたまじないがある。
相手の属性のドラゴンを寝室に置くと結ばれる
リビングに置くと友達になれる
玄関に置くと家族になれる
そして、おばばの屋台では自分の属性のドラゴンしか取れない
同じ属性の人にとってもらっても良いが、本人が取ったものの方が効果が高いと言われている。
フレイアは毎回毎回アースの属性である黄色の地属性のドラゴンを寝室に増やしていっている。
アースにも去年、初めて勇気を出して、自分の火属性のドラゴンを渡したが、他のみんなに見られてしまい、全てのドラゴンが揃ったマスコットはみんなまとめて籠に入れられて、アースの家のリビングに置いてある
フレイアは小さい時からずっとアースが好きだった。
マスコットよりもぬいぐるみの方が効果が高いと知り、フレイアは今回にかけていた。
それを邪魔されたのだ。しかも、この状況ではいつ始まるかわからない。祭りもコンテストもめちゃくちゃだ
フレイアはぐっとマイクを握りしめて、ステージに向かって歩きだした。
「フレイア!やめろ!歌うな!」
どこかでアースの声がした。
アースが私を見てくれている。大丈夫!私がコンテストを再開させる!祭りを取り戻す!
フレイアは歌い出した。
力強くパワフルで、聞いているだけで熱くなってくる歌だ。
グアッ!
くそっ!ドラゴンが気づいた
こっちにやってくる。フレイアは歌うなって言ったのに歌い出しちまった。
相変わらずスゲー歌唱力だ。1度のめり込みと周りの声なんか聞こえなくなる奴だからな
「うわっ!来やがった!」
何だか見たことないドラゴンだ。全体は木肌のような茶色だが、それを緑の葉が覆い尽くし、驚いたのはその羽だ。ヤシの木のように葉っぱで出来ている。
「ってちょっと待て!デカくなってないか!?」
銅像のドラゴンは大型犬サイズでしかなかったぞ?目の前のドラゴンはどう見てもゾウのサイズだ
「封印が解けて本来の姿を取り戻したのかも」
エウロスが答えるが、口元に手をやり、考えている
「でも、本来ドラゴンはもっと大きいはずなんだけどなぁ~?」
「デカくない方がいいだろ!」
「そりゃそうかもだけど、、、」
「そうだろ!」
ドラゴンは辛そうに頭を抱えている
今にも何か攻撃しそうだ。
フレイアの歌の1番が終わり、イントロが始まった。
ドラゴンは無我夢中のように手をバタバタさせた。
てっきり炎でも吹くかと思いきや意外だ
その代わり葉っぱが大量に飛んできた
木属性は木の攻撃しか出来ないのか、ホッとしたけど、ちょっと量が多くないか?
「うわっ!」
葉っぱが頬を掠めてきた。ツーと血が流れる
「いて~って、この葉っぱ、切れるのか!?みんなが傷だらけになるじゃねーか!」
オレは葉っぱを避けるのに必死だ。どんどん傷が増えていく
見ると、エウロスはオレよりダメージ受けてねーじゃねーか!
後から走ってきたフロストに至っては、はね返しているように見える。
レビンがラットとダクトを連れてコッチに来た
3人もエウロスと同じぐらいだった
「何だよコレ!何でオレだけこんなダメージ受けてんだ!」
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