龍神祭のうた

近藤蜜柑

文字の大きさ
上 下
4 / 16

屋台で遊ぼう!

しおりを挟む
フロストを見つけた。
ある屋台の前でジっと何かを見ている
「フロストどうした?」
「アースお兄ちゃん!」
フロストはオレにくっついてきた。フロストには何故か懐かれている。
「欲しいものでもあるのか?」
「うん。でも取れないんです」
見るとドラゴンのぬいぐるみだ
色ごとに見た目が違うのがまたかわいい
ん?どっかでこいつら見たぞ?
「お前、もう2つ持ってるじゃねーか」
「でも、あの色が欲しいんです!」
フロストが指で刺したのは黄色のドラゴンだ。アルマジロみたいな変わった皮膚はピラミッドのようだ。羽は一番小さくてわかりにくい。飛ぶのが苦手なんだろう。属性があるなら地面だな。
フロストが抱えているのは青と水色のドラゴンだ。
青いドラゴンは、水かきやヒレ、鱗や魚のような長いシッポのカンジなど、小さい羽が見えていても海の生き物と答えそうだ。属性は水だろうな
水色のドラゴンは雪像のようだ。とても美人な顔立ちで、角からつららが生えていたり、結晶があったり、羽はクリスタルと見間違える程に透き通っている。近くにいるだけでひんやりする。これは氷だな。
他にも色んなドラゴンが並んでいる。
赤いドラゴンはツルツルしていて、サラマンダーのようにえりまきが付いている。あの皮膚なら火山も平気そうだ。火属性か。
黄緑のはたてがみがあり、馬っぽい。羽や尻尾の毛が多くて長い。そのせいか常にサラサラ揺れているようだ。風がすぐそばにあるみたいだ。と、そこで風属性だと気づいた。
白いのはフワフワで一番可愛い見た目だ。羽が天使みたいで可愛いのに何処か神々しく、光って見える。光属性かな。
黒いのは1番おっかなさそうだ。鋭利な爪や牙、尖った尻尾。羽がボロボロなのも合間ってラスボスのような雰囲気がある。闇属性しかないだろコレは!
そして、緑と紫。
ん?あの緑のドラゴン。噴水のドラゴンに似てるかも。
「アース、やってきな」
「おばば!」
見たことあると思ったら、コレ、全部おばばが作ってたんだった。
祭の屋台は各家ごとに出すルールだもんな
おばばは毎回ドラゴンに因んだモノを作っている。一昨年はコースターで去年はマスコットだったか?段々豪華になっているのは気のせいじゃない。心配する必要ないぐらいに元気だし、イキイキと作っている。
「どうしても1人1種類しか取れないんです。私は水色のしか取れなくて、この青い子はさっき取ってもらったんです」
「は?1人1種類?一匹じゃなくて?」
、、、イヤ、でもここはおばばの屋台。よく当たると評判の占い師でもあるおばばなら、そういう不思議なルールがあってもなんら不思議は無い。
「黄色いドラゴンほしいんです!」
「あぁ。でも、なんであの黄色いのが欲しいんだ?」
「お願い事するんです!ドラゴンさんに叶えてもらうんです!アースお兄ちゃんに取ってほしくて待ってたんです!」
何だか引っかかる言い方だが、ようはおまじないみたいなもんだな。フロストならおかしな事には使わない。そう考えてオレは付き合うことにした。
「わかった。でも、黄色が当たるとは限らないぞ?」
「大丈夫です!」
ボールを投げて、ぬいぐるみが倒れたら景品ゲットというシンプルな的当てだ
「よし、おばば!挑戦する!」
「ちょっと待て!」
そこにレビンが割り込んできた!
「何だよ!」
「俺もやる!勝負だ!」
ホントにコイツは俺に突っかかってくる「なぁオレ、何かしたか?」
「お目当ての子に当たるかねぇ~」
おばばはニヤニヤ笑いながらボールを1個だけ渡してきた
何だかバカにしているような笑みだ
「たった1個で当たるかよ、、、いて!」
ぼやいたらおばばに叩かれた
「ったく。当たらなくても一回だけだからな!それっ!」
ポコッ
「やったぁ!」
オレは見事に狙い通りの黄色のドラゴンをゲットできた
レビンのドラゴンは紫色だった。
他のドラゴンとは違って全て金属性の見た目で機械じかけのようだった。動く度にギシギシいいそうで、頭にゼンマイが付いている。偶にビリビリしてるけど、レビンは普通に持っている為か害は無さそうだ。雷属性か?あれ?
「ありがとう!アースお兄ちゃん!」
「はい、このドラゴンあげます!」
「え、いいのか?二つも?」
「はい!是非貰って下さい!この青いのは、絶対に!寝室に置いてくださいね!!月の見える枕元が1番いいです!」
「寝室?」
ヤケに寝室を推された。かなり場所の特定が正確だ。
「はい!アースお兄ちゃんの寝てる寝室ですよ!」
「で、コッチの水色のは、玄関に置いて下さいね!!下駄箱の中でもいいですが、玄関ですよ!!青いのはアースお兄ちゃんの寝室!水色のは玄関ですからね!!」
「わ、わかったって!」
場所の特定をかなり特定され念押しされた。
レビンは悔しそうにしてるが、フロストに紫色のドラゴンを渡した。
「やる」
とだけ言って
ん?何だかレビンのヤツ、顔赤くないか?
あ、ひょっとして?
オレは腹ごしらえに2人を誘ったが、フロストは1度家に帰ると黄色と紫色のドラゴンのぬいぐるみを抱えて行った。
何だかおばばがイヤにニヤニヤしてるのが気になった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

白い結婚をめぐる二年の攻防

藍田ひびき
恋愛
「白い結婚で離縁されたなど、貴族夫人にとってはこの上ない恥だろう。だから俺のいう事を聞け」 「分かりました。二年間閨事がなければ離縁ということですね」 「え、いやその」  父が遺した伯爵位を継いだシルヴィア。叔父の勧めで結婚した夫エグモントは彼女を貶めるばかりか、爵位を寄越さなければ閨事を拒否すると言う。  だがそれはシルヴィアにとってむしろ願っても無いことだった。    妻を思い通りにしようとする夫と、それを拒否する妻の攻防戦が幕を開ける。 ※ なろうにも投稿しています。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

愚者による愚行と愚策の結果……《完結》

アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。 それが転落の始まり……ではなかった。 本当の愚者は誰だったのか。 誰を相手にしていたのか。 後悔は……してもし足りない。 全13話 ‪☆他社でも公開します

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...