うちの子達の番外編おきば♡

「お月見」蒼生×陽斗先輩

　
「蒼生」会社後輩。自分に冷たい先輩の事が嫌。だけど気になる。
　　×
「陽斗」会社先輩。訳あって蒼生と距離おきながら仕事指導中。



「蒼生×陽斗」
まだ陽斗が、蒼生と仲良くしないように頑張ってる日々のお話です。
◇　◇　◇　◇


　今日は、取引先との打ち合わせ。
　先方の都合で、始まりがそもそも遅かったので、大分遅くなってしまった。

　金曜だし、来週はまた別の仕事が忙しいので、今日の内に会社に戻って、打ち合わせ内容をまとめる事になった。


　駅から会社まで歩いてる途中で、ふと、先輩が足を止めた。

「え？」

　急に隣から居なくなった先輩に気付いて、振り返ると。
　立ち止まった先輩が、ある方向を見て、動かない。


　オレの立ち位置から、先輩の見ている方を見ても何もない。高層ビルが見えるだけ。

　――――……なんか、1枚の絵みたいに。
　先輩が綺麗に見えて。

　思わず、眉を顰める。
　先輩の事が、綺麗に見えた事に、苛ついて。


　――――……何なんだよ。何、見てんだ？

　先輩の立っている所まで戻り、同じ方向を見ると。
　めちゃくちゃ大きな、満月だった。



「――――……すげ……」


　ちょうど、ビルとビルの間から、まん丸に見える月は、何だか幻想的で。
　思わず、そう言っていた。


　ふ、と先輩がオレを振り返る。


「……悪い。なんかあんまり綺麗で、見惚れた」

　瞬間。ふ、と微笑んだ気がして。




　――――……むしろオレは、そっちの方に、惹かれてしまう。




「会社戻ろ、三上」

　言って、先輩が歩き始める。
　いつも通り、隣に並ぶ。


　もう、微笑んではいない。

　でも――――……。

　青白く光る、月のイメージが、先輩と、かぶる。

　やっぱり、この人、すげえ綺麗だなと。




　むかつくけど、そう、思ってしまった。








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元のお話「愛じゃねえの？」より♡
https://www.alphapolis.co.jp/novel/551897599/496520200