うちの子達の番外編おきば♡

悠里

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「お月見」ルカ×ソラ

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「ルカ」勇者 × 「ソラ」別世界から転移中。ミウはペット。
 恋人未満。でも関係はあり。
 ソラがいつか元の世界に戻るかも。と2人共思っている。




「お月見」ルカ×ソラ

◇ ◇ ◇ ◇

 さっきまで皆と夕飯を食べてて。
 今日の宿に、皆と一緒に入ってきた。

 もう、ルカとオレは一緒の部屋っていうのが当然になってて。
 皆とおやすみーと別れて、自然とルカの後をついて、部屋に入ってしまってる事に、ふ、と気付いて。苦笑い。


「ミウはどうした?」
「リアの部屋で寝かせてくれるって」
「そうか」

 頷くが早いか、早くも腰を抱き寄せられて。
 唇が深く重なってきて。

「っん……っ」

 もう、すんの???
 思って、ルカを見上げた瞬間。

「う、わ……」
「……なんだ?」


「――――……満月。綺麗」

 ルカ越しに見えた月がめちゃくちゃ綺麗で。
 思わず見惚れてしまうと。

 ふ、とルカが笑った。


「月、好きか?」
「好き……とか嫌いとか、そういう風に考えた事、無かったけど……」
「――――……」


「なんかこの世界の月、大きく、見える……」
「――――……」


 ルカの腕の中から、ずっと上を見上げていたら。
 ぐい、と腕を引かれて、ベランダに連れ出された。

「ルカ?」

 ベランダに置いてあった、背もたれの大きな椅子に、先にルカが座って、その上に座らされて、包まれるみたいに抱き締められる。

「……ルカ、何? どうしたの?」
「――――……たまには、月眺めるのもいいかと思って。お前と」

「――――……」

 なんか。
 らしくないなー。

 そう思ったけれど、オレは、何も言わなかった。

「……ルカ。この世界、お月見ってする?」
「お月見? 月を見ることか?」

 そういえば、とふと思って聞いたけれど、不思議そうな声。
 しないんだな、きっと……。

「んー。おだんごとかススキとか飾って、月を見るの」
「――――……だんごとススキ? ススキって?」

「あ、ススキ、ないの? うーん……穂がふさふさしてる、植物なんだけど……」
「何でそれを飾るんだ?」
「――――……ごめん、聞かないで」

「知らねえのか?」

「……そう決まってて。考えた事なかった。ススキと団子を飾って、確か、月に感謝して……」
「月に感謝?」

「……そう。たしかサツマイモとかの実りも祝ったような……だから芋も……あー、ごめん、スマホがあれば……」
「スマホ?」

 すぐ調べられるのに。
 

「……お前の言ってる事、半分も分かんねえな」

 ルカが、オレを抱き寄せて、ため息交じりで、笑う。


「――――……ごめん。ちゃんと説明できなくて」
「別に良いけど」
「――――……」

「とにかく、月に感謝しながら、月を眺めるって事か?」
「……うん、多分」

「ふーん……」

 オレは完全にルカにすっぽり抱きしめられたまま寄っかかって。
 2人で、上にある月を、じっと見つめる。











「……ここの月、オレンジ色、強いなー……」
「いつもこんな感じだぞ?」

「黄色とか。白っぽいとか、ないの?」
「無いかな」


「――――……やっぱり、違う世界なんだなー……」

 しみじみ言いながら、見つめていると。



「……ソラ」
「ん?」

「――――……次の満月も、月見するから」
「……ん?」


「お前も一緒にだからな」
「――――……」


 その言葉を、よく考えて。
 オレは、ふ、と笑んだ。



「うん」

 頷く。



 そのまましばらく黙ったまま、見上げてて。
 不意に、くる、と向きを変えさせられた。

 向かい合わせみたいに、座らされる。


「――――……月、もう、良いか?」
「……うん」

 頷くと、頬に触れた指に引き寄せられて、深くキスされる。


「――――……ん……」
「……ソラ」

 キスされたまま、ルカが立ち上がって。
 オレは、ルカに抱き付いたまま。ベッドまで運ばれて。


 上に押しのってきたルカに。
 じっと見つめられる。



「――――……次の満月の時は、だんご、飾ろうぜ」
「……月に感謝、するの?」


「そうだな。祈っとく」


 ――――……祈っとく?



「お前がずっとここにいるように」

「――――……」



 胸が。
 ずきん、と。して。なんか。痛い。


「……ルカ」

 オレは、自ら、ルカの唇にキスした。
 すぐ重なって、深くなるキス。

 
 天窓から、ちょうど月が見える。



 ――――……うん。


 ずっと、一緒に――――…… 満月……見てあげても……いい、かな。
 ……ルカと。



 何でそう思うかは――――……よく、分かんないけど。


 そんな事を思いながら。
 ルカのキスに全部持ってかれそうになりながら。ぎゅ、と抱きついた。

 





お題:お月見
【了】

元の作品【ドS勇者vsオレ】https://www.alphapolis.co.jp/novel/551897599/807523632



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