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第2話
しおりを挟む中学高校が一緒だった。大学は別れちゃったけど、たまたま近くの大学だったから、同じ駅で一人暮らし。今も仲が良い。
一緒に暮らそうってならなかったのは、オレがゲイで、その頃彼氏が居たから。真也にも、彼女が居たし。まあ当然、一緒に暮らそうとはなるはずもない。
真也は男女問わずモテるし、誰もが認めちゃうイケメンだし。優しいし、料理とかもできるし、猫も飼ってくれるし。
……中学で同じクラスで仲良くなって、親友で居られてよかったなぁ、と思う奴。
こんな夜は、余計そう思う。
浴槽であったまってから、真也の部屋に戻る。
「ドライヤー、そこにあるから」
何か料理を作ってくれながら、真也が、テーブルに置いててくれたドライヤーを指さしてる。
髪を乾かしてから、足に絡んでくる雪を抱き上げた。
「あ、凌。雪におやつあげる? 匂いしてると雪も食べたがるから」
「うん」
勝手知ったるで棚から取り出したおやつを開けて、雪に渡してあげる。
「可愛い……」
食べてるとこ邪魔すると嫌がられるので、じっと見つめながら、癒されるなあと思ってると。
「なあ、凌」
料理をしながら、真也がオレに話しかける。
「んー?」
「喧嘩して、仲直りはしてこなかったのか?」
「……うん」
「もしかして、別れた?」
「……うん」
「……明日、凌の誕生日だよな?」
「あ、うん。覚えててくれたの?」
「……何で二十歳のめでたい誕生日の前日に、別れたりするんだ?」
「んー……最初はさ、明日会ってくれるって言ってたのに、会えなくなったからってことで、今日会おうって言ってさ」
「ん。デートってのは知ってる」
「で、一応家で祝ってくれてたんだけど……彼氏がトイレ行ってる間に電話が来てさ。すぐ留守電になって……女の子の声でさ。明日のデート、何時にする?って。……で、オレが聞いちゃった瞬間に、彼氏も戻ってきてさ……何聞いてんだよって逆ギレされてさ……」
そう言うと、真也は呆れたようにため息をつく。
「……別れて正解」
真也がバッサリ斬り捨てた。
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