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第4章◇なんで?

「大人気」

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「じゃあ、快斗が皆と遊びたかったら、行こっか」
「ん。分かった」

 それで、その事についての会話は終わったのだけれど。
 家に帰ったら、快斗がスマホを見て、うわー、と言う顔をした。

「どしたの?」
「啓史、皆に連絡したな…愁の居るグルーブも結構入ってる」

「んー?」

 自分のスマホも開いてみると。
 うわ。色んなグループ、すごい連絡きてるし。 あれれ……。

「グループじゃない方も結構入ってきてる」

 ちょっとげんなりして、快斗がスマホをテーブルに置いた。

「……返事するだけで相当時間かかりそう」

 快斗が疲れたように言うので、少し笑ってしまう。


「皆、快斗と会いたいんだろうね……」

 そうだよなー、送別会、すごかったもんなー……。
 
「オレだって、皆の顔を見たくない訳じゃねーんだけど…でも今回は、愁と居たいし」

 うーん、とぶつぶつ言いながら、テーブルに突っ伏してしまった。

「……どっかで1日遊ぶ日つくれば?」
「――――…んー…」

「皆でさ、河原で花火でもするってのは?」
「……んー……」

「だってこれ、皆おさまんないんじゃない?」
「んー………分かった。花火くらいなら、いっか」

 だいぶ渋々だったけど、快斗がやっと、そう言った。
「愁、いつがいい?」
「えー、別に、オレはいつでも……」

「……じゃあ明後日でいい?」
「うん。いーよ」

「もうコピペで一斉送信で返事しちまう。ちょっと待ってて」
「うん。あ、オレなんか飲み物買ってくる。何飲みたい?」

「んー……なんかお茶」
「りょーかーい」

 スマホに仏頂面してる快斗に笑いつつ、靴を履いて外に出た。
 なんだかなあ。
 ……ほんと大人気なんだからなあ。

 男女問わず、皆が快斗を好きだったなあ、なんて、改めて思い出した。

 1人で自販機を目指して歩きながら、少し息をつく。

 皆が快斗と遊びたがるのに、快斗が、愁が、愁と、愁に、と、そればっか言うから、何回かオレが怒られた事あったっけ。 特に、女子に。

 オレの名前出さないで、って、快斗に怒ったこと、あったなあ、オレ。

 ―――……それから、皆の前では、オレの名前、あんまり出さなくなって。

 変わらずオレ達は遊んではいたけど、快斗は、用事ある、とだけ言うようになって。なんかそれはそれで、皆には、仲良しじゃなくなったように見えたらやだなあとか。 …意味わかんないこともあったっけ。

 オレ。 こんなに快斗のこと、好きすぎるけど。分かってるけど。

 結局、一歩踏み出せなくて、快斗を選べなかったら。

 ――――……快斗は、オレの側からは、居なくなるのかな。
 振られてから考える、なんて昨日言ってたけど――――…。

 快斗は、快斗のことが大好きな人達と、遊んで、その中から、きっと、また好きな人、見つけて――――…オレに言うみたいに、好きって、言うのかな。キスしたり、するのかな。……するよな、そりゃ。

「――――………」

 …………やっぱり、嫌、かなぁ ……。
 
 快斗とは、ずっと…居たい。

 ――――……できたら、ずっと。
 年とっても、ずっと一緒に、楽しい事して、笑ってたい。


 もし。親友で居られるかを聞かれるなら、即答できるんだけど…。





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