【好きと言えるまで】 -LIKEとLOVEの違い、分かる?-

悠里

文字の大きさ
上 下
20 / 35
第4章◇なんで?

「一緒にお布団」

しおりを挟む

「でもさ、愁、頑張んなくていいよ」
「……?」

「自然と、好きだって思ってもらえればいいからさ」
「――――…」

「ただ、オレの気持ち疑ってんなら――――…ほんと、試してみような?」

 くす、と笑んで言われて、また赤くなったオレを、よしよしと撫でて。
 快斗は腕を解いた。

「快斗」
「ん」

「……オレ、快斗が帰るまでに、ちゃんと考えるから」
「ん。でもいいよ。 別に、ここで決めなくても、いいから」

 またよしよし、と撫でられる。
 それ以上何も言えず、すこし黙っていると、快斗が立ち上がった。

「布団はいろっか?」

 時計を見ると、いつの間にやら、もういい時間。

 寝る準備をして、並んで布団に寝ころんだ。
 うつぶせに転がって、肘をついて、少し体を起こして、快斗に顔を向ける。

「こーやって一緒に寝るのも、すごい久しぶりだね……」
「あれだな、オレの転校を阻止しようって、2人で企んでた時が最後かもな」
「結局転校になっちゃったけどねー……」

 ごろん、と転がって、あおむけになる。

「オレが居ない学校、すぐ慣れた?」
「んー……すぐ慣れたっていうか……諦めた、かなあ」
「諦めた?」

「そう。 もう居ないんだって、諦めた。 オレ、今も慣れてはないよ。快斗、居ないなーってやっぱり思う。 帰り道とかもさ。ずーっと一緒に帰ってきてたじゃん?  慣れはしないけど……でも、もう居ないんだって、諦めてた感じ」

「――――……そっか。……寂しかった?」
「……当たり前じゃん」

 ふー、と息をついて、またうつぶせになって、枕に突っ伏す。

「快斗はさ……なんか、オレに好きとか言ってさ。いい機会かもとか言って、離れて考えて、とかさ。 それで居なくなっちゃったけどさ……」
「――――……ああ、言ったな……」

「……こっちはさー……大混乱だよ、もう」
「――――……」

「……快斗居なくて寂しいのに、それより、好きって何?ってなってたし、 快斗はいい機会だからとか言って、オレと離れるの、なんなら良かったって思ってるのかなーとかさ……」
「――――……」

「……ほんと、もうしばらく、大変だったんだからな」

 当時を思い出してると、ついつい恨み言になってしまう。

「……ごめんな、愁」

 そんな声に、快斗を見ると、苦笑いを浮かべている。

「…そーだよなー…大混乱だよなー」

「そーだよ。もう。快斗ってば、最後に、何してくれてんのって、思ったからね」
「――――……言えばよかったのに。 あんなに毎日電話してたのに」
「……好きって事に、電話で触れるのは怖くてさー……」

「……そっか。オレはさ、実は愁って、もしかして、冗談だと思ってるのか、忘れてんのか、どっちかかなーと思ってた」

 ぷぷ、と笑って、快斗が言うので、「そんな訳ないじゃん!」と枕を投げつけた。可笑しそうに笑って、快斗が頷く。



「駅で会った時、愁がすごく緊張してたから、それですぐ、ちゃんと分かってくれてるって分かった」


 快斗にクスクス笑われてそう言われる。

 そりゃ、するよね。


 ――――……LOVEで好きって言ってくれたまま離れてた、大好きな幼馴染と、久しぶりに会ったんだからさ……。




しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

王冠にかける恋【完結】番外編更新中

毬谷
BL
完結済み・番外編更新中 ◆ 国立天風学園にはこんな噂があった。 『この学園に在籍する生徒は全員オメガである』 もちろん、根も歯もない噂だったが、学園になんら関わりのない国民たちはその噂を疑うことはなかった。 何故そんな噂が出回ったかというと、出入りの業者がこんなことを漏らしたからである。 『生徒たちは、全員首輪をしている』 ◆ 王制がある現代のとある国。 次期国王である第一王子・五鳳院景(ごおういんけい)も通う超エリート校・国立天風学園。 そこの生徒である笠間真加(かさままなか)は、ある日「ハル」という名前しかわからない謎の生徒と出会って…… ◆ オメガバース学園もの 超ロイヤルアルファ×(比較的)普通の男子高校生オメガです。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【胸が痛いくらい、綺麗な空に】 -ゆっくり恋する毎日-

悠里
BL
コミュ力高めな司×人と話すのが苦手な湊。 「たまに会う」から「気になる」 「気になる」から「好き?」から……。  成長しながら、ゆっくりすすむ、恋心。  楽しんで頂けますように♡

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

暑がりになったのはお前のせいかっ

わさび
BL
ただのβである僕は最近身体の調子が悪い なんでだろう? そんな僕の隣には今日も光り輝くαの幼馴染、空がいた

【完結】幸せしかないオメガバース

回路メグル
BL
オメガバースが当たり前に存在する現代で、 アルファらしいアルファのアキヤさんと、オメガらしいオメガのミチくんが、 「運命の相手」として出会った瞬間に大好きになって、めちゃくちゃハッピーな番になる話です。 お互いがお互いを好きすぎて、ただただずっとハッピーでラブラブなオメガバースです。 ※性描写は予告なくちょこちょこ入ります。

処理中です...