18 / 35
第4章◇なんで?
「してみよっか」
しおりを挟む何も言えず、快斗を見つめていると。
快斗は、ふう、と、深い息を吐いた。
「……そこ、はっきりしないと、オレとの事、考えられない?」
「――――………」
「お前が女と違うからって、そうなった時に、オレがやっぱり無理って言うと思ってるって事、だよな?」
「……あー……そう、なの……かも」
……よくオレの、こんなよく分かってない言葉で、こんな正確に、言いたい事を分かってくれるなあ…。
ていうか、オレ、自分ですらそこまではっきり思っていなかったんだけど、そう言われてみたら、そういう事なんだろうなと、思えてきた。
すごいなあ、快斗……。
そんな事を思いながら、快斗の次の言葉を待っていると。
「……愁はさー」
「うん」
「――――……ほんと、何も考えないでそーいう事、言うよな」
「……ん?」
どういうこと?
自然と首を傾げてしまう。
何も考えてないわけじゃないんだけど……どういうことだろ??
じっと快斗を見つめていると。は、とため息。
「こっちの身にもなってほしいっつーか……」
「……??」
こっちの身……?
うー、ごめん……。全然分からない。
「そんな話してるとさ……どうしたって、オレ、お前とのそういう事を想像するしかないんだけど」
「……え?」
「でもってお前も、考えなきゃいけなくなるだろ」
「……え……あ。……うん……」
かあっと赤くなって、オレは俯いた。
「そういうの何も考えないで、よくそーいう事言うなーと……」
ふ、と快斗が笑う気配。
「いざとなった時、オレが逃げるとか、訳の分かんない事、思ってるんだよな?」
「――――……逃げるとか……そこまでは……思ってなかったけど……」
というか、全然具体的には考えていなかったけど……。
「……絶対そんな事は無いと、オレは思ってるけど。 信じられない?」
うん、とも、ううん、とも、はっきり言えず、快斗を見上げる。
「じゃあさ――――……愁」
「……うん?」
「オレとそーいうこと、できるとこまで、してみる?」
「――――……」
そーいうこと…できるとこまで……。
……そういう……?……。
「えっ?……え???」
真っ赤になったオレの腕を掴んで、引きずり寄せて。
快斗が、ふ、と笑った。
「……オレ、全然できるよ、最後まで」
「――――……っ……」
「オレができないと思ってるんだろ? 女子のが好きだから、いざとなった時、愁にはできないって」
「…………っ」
「だから、してみよっか?」
快斗ってば、とんでもない事、言いだした。
幼馴染の、かっこよすぎる顔を見つめながら、オレは、思わず、ぷるぷる首を振った。
0
お気に入りに追加
277
あなたにおすすめの小説
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
これがおれの運命なら
やなぎ怜
BL
才能と美貌を兼ね備えたあからさまなαであるクラスメイトの高宮祐一(たかみや・ゆういち)は、実は立花透(たちばな・とおる)の遠い親戚に当たる。ただし、透の父親は本家とは絶縁されている。巻き返しを図る透の父親はわざわざ息子を祐一と同じ高校へと進学させた。その真意はΩの息子に本家の後継ぎたる祐一の子を孕ませるため。透は父親の希望通りに進学しながらも、「急いては怪しまれる」と誤魔化しながら、その実、祐一には最低限の接触しかせず高校生活を送っていた。けれども祐一に興味を持たれてしまい……。
※オメガバース。Ωに厳しめの世界。
※性的表現あり。
キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
どこかがふつうと違うベータだった僕の話
mie
BL
ふつうのベータと思ってのは自分だけで、そうではなかったらしい。ベータだけど、溺愛される話
作品自体は完結しています。
番外編を思い付いたら書くスタイルなので、不定期更新になります。
ここから先に妊娠表現が出てくるので、タグ付けを追加しました。苦手な方はご注意下さい。
初のBLでオメガバースを書きます。温かい目で読んで下さい
「短冊に秘めた願い事」
悠里
BL
何年も片思いしてきた幼馴染が、昨日可愛い女の子に告白されて、七夕の今日、多分、初デート中。
落ち込みながら空を見上げて、彦星と織姫をちょっと想像。
……いいなあ、一年に一日でも、好きな人と、恋人になれるなら。
残りの日はずっと、その一日を楽しみに生きるのに。
なんて思っていたら、片思いの相手が突然訪ねてきた。
あれ? デート中じゃないの?
高校生同士の可愛い七夕🎋話です(*'ω'*)♡
本編は4ページで完結。
その後、おまけの番外編があります♡
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる