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第4章◇なんで?

「してみよっか」

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 何も言えず、快斗を見つめていると。
 快斗は、ふう、と、深い息を吐いた。

「……そこ、はっきりしないと、オレとの事、考えられない?」
「――――………」

「お前が女と違うからって、そうなった時に、オレがやっぱり無理って言うと思ってるって事、だよな?」
「……あー……そう、なの……かも」

 ……よくオレの、こんなよく分かってない言葉で、こんな正確に、言いたい事を分かってくれるなあ…。
 ていうか、オレ、自分ですらそこまではっきり思っていなかったんだけど、そう言われてみたら、そういう事なんだろうなと、思えてきた。

 すごいなあ、快斗……。
 そんな事を思いながら、快斗の次の言葉を待っていると。

「……愁はさー」
「うん」

「――――……ほんと、何も考えないでそーいう事、言うよな」
「……ん?」

 どういうこと?
 自然と首を傾げてしまう。

 何も考えてないわけじゃないんだけど……どういうことだろ??
 じっと快斗を見つめていると。は、とため息。


「こっちの身にもなってほしいっつーか……」
「……??」

 こっちの身……?
 うー、ごめん……。全然分からない。


「そんな話してるとさ……どうしたって、オレ、お前とのそういう事を想像するしかないんだけど」

「……え?」

「でもってお前も、考えなきゃいけなくなるだろ」
「……え……あ。……うん……」

 かあっと赤くなって、オレは俯いた。

「そういうの何も考えないで、よくそーいう事言うなーと……」

 ふ、と快斗が笑う気配。


「いざとなった時、オレが逃げるとか、訳の分かんない事、思ってるんだよな?」

「――――……逃げるとか……そこまでは……思ってなかったけど……」

 というか、全然具体的には考えていなかったけど……。


「……絶対そんな事は無いと、オレは思ってるけど。 信じられない?」


 うん、とも、ううん、とも、はっきり言えず、快斗を見上げる。

「じゃあさ――――……愁」
「……うん?」


「オレとそーいうこと、できるとこまで、してみる?」
「――――……」

 そーいうこと…できるとこまで……。
 ……そういう……?……。

「えっ?……え???」

 真っ赤になったオレの腕を掴んで、引きずり寄せて。
 快斗が、ふ、と笑った。

「……オレ、全然できるよ、最後まで」
「――――……っ……」

「オレができないと思ってるんだろ? 女子のが好きだから、いざとなった時、愁にはできないって」

「…………っ」

「だから、してみよっか?」


 快斗ってば、とんでもない事、言いだした。

 幼馴染の、かっこよすぎる顔を見つめながら、オレは、思わず、ぷるぷる首を振った。


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