上 下
17 / 35
第4章◇なんで?

「比べたら」

しおりを挟む


 オレって。こんなに胸が、痛くなってしまう位。
 快斗の事、もうめちゃくちゃ好きなんだけど。それはもう、大好きなのはずっとだし。

 分かってるんだけど……。

 最後、これを受け入れられないのが、何でか、少し分かってきたような気がする。


「快斗……?」
「うん?」

「……前、女の子と付き合ってた、でしょ?」
「ん」

「……なんでオレ……なの??」
「――――ん……?」

「ごめん、あの……何で、オレの事好きになるんだろうって思っちゃって……だって、快斗が付き合ってた女の子達って、可愛いとかキレイな子ばっかりだったし……それに比べると、何でオレ?って……」

 そう言うと、快斗はんー、と少し唸って。
 ふ、と苦笑いを浮かべた。

「……んー。そこ、まだ疑う?」
「……ごめん」

「……何でオレなんかってさ。……オレは、愁だから好きなんだけど……」

「――――……」


「しょうがないじゃん。……確かに、可愛い子選んで付き合ったよ。そこから好きになれるかなと思ったしさ。――――……でもオレ、もう何年も、お前が一番好きなんだもんな……」


 その言葉を、嬉しいって、オレは思うんだけど。
 ――――……思うんだけど、でも。


「その『好き』が、友達じゃないのって、何で……?」
「……だから、言ったろ。さっき」


「――――……さっき……どれの事?」

 なんか、色々言われてて、よく分からない。


「だから……女の子とそういう事してる時、愁が浮かん――――……」

「わー!まって、ごめん、それは言わないでいい……分かった……っ」

 思わず必死に止めてしまうと、ぷ、と笑われてしまう。

 少し落ち着いてから、はぁ、と息をついて、続ける。



「……でもさ。オレ、男じゃん……?」
「うん」


「……キスはできると思うけど……今しちゃったけど……それ以上って……だって、オレ、女の子と、違うよ?」

「……分かってるけど」

「……触っても、女の子とは、全然違うよ?」

「――――……分かってるよ」


「……絶対、触ったら、もう、全く違うじゃんて、なるかもよ?」
「……ん。まあ、それは、比べたらの話だろ?」


 ……比べたらの話って。
 ――――……だって、絶対、比べちゃうよね?


「……だって、快斗は、最初から男が好きな訳じゃないでしょ……?」


 だから絶対、女の子と、オレを、その時に比べるよね?


 ただいつもみたいに仲良くしてるのがLIKEの好きならいいけど、
 LOVEの好きって、敢えてそこを区別するっていうのは、そう言う事だよね……?


 絶対比べたら。
 オレは、完全に、男だし。



 困って、俯いていると。



「――――……つかさ。 男とか女、じゃなくてさ……」


 快斗がまっすぐに、じー、とオレを見つめてくる。




「愁の事が――――……愁だから、好きなんだって、言ってるだろ」


「――――……………」




 まっすぐな、言葉に、咄嗟に、何も言えなくなる。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

これがおれの運命なら

やなぎ怜
BL
才能と美貌を兼ね備えたあからさまなαであるクラスメイトの高宮祐一(たかみや・ゆういち)は、実は立花透(たちばな・とおる)の遠い親戚に当たる。ただし、透の父親は本家とは絶縁されている。巻き返しを図る透の父親はわざわざ息子を祐一と同じ高校へと進学させた。その真意はΩの息子に本家の後継ぎたる祐一の子を孕ませるため。透は父親の希望通りに進学しながらも、「急いては怪しまれる」と誤魔化しながら、その実、祐一には最低限の接触しかせず高校生活を送っていた。けれども祐一に興味を持たれてしまい……。 ※オメガバース。Ωに厳しめの世界。 ※性的表現あり。

キミと2回目の恋をしよう

なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。 彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。 彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。 「どこかに旅行だったの?」 傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。 彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。 彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが… 彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?

表情筋が死んでいる

白鳩 唯斗
BL
無表情な主人公

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

「恋みたい」

悠里
BL
親友の二人が、相手の事が好きすぎるまま、父の転勤で離れて。 離れても親友のまま、連絡をとりあって、一年。 恋みたい、と気付くのは……? 桜の雰囲気とともにお楽しみ頂けたら🌸

どこかがふつうと違うベータだった僕の話

mie
BL
ふつうのベータと思ってのは自分だけで、そうではなかったらしい。ベータだけど、溺愛される話 作品自体は完結しています。 番外編を思い付いたら書くスタイルなので、不定期更新になります。 ここから先に妊娠表現が出てくるので、タグ付けを追加しました。苦手な方はご注意下さい。 初のBLでオメガバースを書きます。温かい目で読んで下さい

「短冊に秘めた願い事」

悠里
BL
何年も片思いしてきた幼馴染が、昨日可愛い女の子に告白されて、七夕の今日、多分、初デート中。 落ち込みながら空を見上げて、彦星と織姫をちょっと想像。  ……いいなあ、一年に一日でも、好きな人と、恋人になれるなら。   残りの日はずっと、その一日を楽しみに生きるのに。 なんて思っていたら、片思いの相手が突然訪ねてきた。 あれ? デート中じゃないの?  高校生同士の可愛い七夕🎋話です(*'ω'*)♡ 本編は4ページで完結。 その後、おまけの番外編があります♡

処理中です...