4 / 35
第1章◇告白
「無理じゃない」
しおりを挟むいつも快斗はオレを甘やかしてきたけれど、
甘やかすって、全部分かっていないと出来ない。
オレの思考パターン、全て分かった上で、一番言って欲しい事を言ってくれて、言って欲しくない事は、言わない。
快斗は、いつも、そうやって、オレを、甘やかしてきてくれた。
思ってる事が全部バレてても、それを受け入れてくれる。
そういう所、大好きだった、けど――――……。
こういう時、すべての逃げ道を潰されるのは……本当に困る、気がする。
「……快斗、あの――――……」
オレが頑張って、何かを言おうとした時。
「答えは今は要らないから」
咄嗟に遮られて、硬直。
「――――……快斗?」
「今聞いたばかりで少し考えての答えは、オレ、求めてない」
「――――……」
「今回、離れられてちょうど良いのかも。オレが居ない状態で、考えてくれる?」
「――――……」
快斗が、居ない状態で……。
「今までみたいにべったり一緒な時に告白して、なし崩し的なのは嫌だったんだけど……これから嫌でも離れて、一緒に居ない生活が始まるだろ?」
「……うん」
「オレと離れた状態で、オレの事どう思うか、考えてくれる?」
「――――……」
「答えてくれるまでは、オレ、何年でも待つつもり。たださ、今の時点で、生理的に絶対無理だと思うなら、それは今言って」
「――――……生理的に無理?」
「今聞いてさ、もう嫌悪感しか無くて絶対無理だって言うなら、それは考えても無駄だと思うから――――……そこだけ、今、答えてくれる?」
……そう言われて。
もう、頭の中は、いろんな事が ぐるぐるまわりまくっていたけれど。
「絶対無理、じゃない……」
嫌悪とかは、無い。だから、そう答えると、快斗は、ふ、と笑った。
「――――……じゃあ考えて。オッケイでも無理でも、答えが出るまでは オレ、ずっと待ってるから」
「……」
「その間、愁は自由でいいよ。オレに気を使わなくていいし。女の子とかも普通に見てくれていいし、他に好きな子が出来るなら、しょうがないし。ただ、オレとの事も考えて? それで、答えが出たら、言って」
「――――…わか、た」
そんな突然の告白で、快斗はオレを、大混乱させたまま。
笑顔で、出発していってしまった。
快斗が、オレに、告白したのは、もう、4か月も前のこと。
14
お気に入りに追加
294
あなたにおすすめの小説

それ以上近づかないでください。
ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」
地味で冴えない小鳥遊凪は、ある日、憧れの人である蓮見馨に不意に告白をしてしまい、2人は付き合うことになった。
まるで夢のような時間――しかし、その恋はある出来事をきっかけに儚くも終わりを迎える。
転校を機に、馨のことを全てを忘れようと決意した凪。もう二度と彼と会うことはないはずだった。
ところが、あることがきっかけで馨と再会することになる。
「凪、俺以外のやつと話していいんだっけ?」
かつてとはまるで別人のような馨の様子に戸惑う凪。
「お願いだから、僕にもう近づかないで」

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

王冠にかける恋【完結】番外編更新中
毬谷
BL
完結済み・番外編更新中
◆
国立天風学園にはこんな噂があった。
『この学園に在籍する生徒は全員オメガである』
もちろん、根も歯もない噂だったが、学園になんら関わりのない国民たちはその噂を疑うことはなかった。
何故そんな噂が出回ったかというと、出入りの業者がこんなことを漏らしたからである。
『生徒たちは、全員首輪をしている』
◆
王制がある現代のとある国。
次期国王である第一王子・五鳳院景(ごおういんけい)も通う超エリート校・国立天風学園。
そこの生徒である笠間真加(かさままなか)は、ある日「ハル」という名前しかわからない謎の生徒と出会って……
◆
オメガバース学園もの
超ロイヤルアルファ×(比較的)普通の男子高校生オメガです。
「短冊に秘めた願い事」
悠里
BL
何年も片思いしてきた幼馴染が、昨日可愛い女の子に告白されて、七夕の今日、多分、初デート中。
落ち込みながら空を見上げて、彦星と織姫をちょっと想像。
……いいなあ、一年に一日でも、好きな人と、恋人になれるなら。
残りの日はずっと、その一日を楽しみに生きるのに。
なんて思っていたら、片思いの相手が突然訪ねてきた。
あれ? デート中じゃないの?
高校生同士の可愛い七夕🎋話です(*'ω'*)♡
本編は4ページで完結。
その後、おまけの番外編があります♡

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

花婿候補は冴えないαでした
いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。
本番なしなのもたまにはと思って書いてみました!
※pixivに同様の作品を掲載しています
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる