上 下
289 / 292
第3章

「魔王の子供?」

しおりを挟む



「嫌だ……!」
 
 跨られているのが、本当に嫌で、逃れようと動いた瞬間、魔王は指を軽く上向かせた。多分、魔法を使ったんだと思う。オレは動けなくなった。腕を、自分の顔の横で押さえつけられた。触られてないのに。

「……っ」

 もう睨むしかできない。すると、ふん、と鼻で笑われた気がする。

「――――さっきまで息もできなかったくせに、生意気だな?」
 皮肉っぽく言った魔王の手が、オレの腹に置かれた。

「勇者の好みは良く分からんな」

 ……分からなくていいから、触んなー!
 思った瞬間。ぽう、と魔王の手が、光った。

 ピンク。……どす黒い感じのするピンク色に。

「……っ」

 何だこれ。何されてんの、オレ……。
 魔王が触れてる所が、焼けるみたいに、熱い。
 
「熱つ……っやめ……」

 体が動かないので、その場で、ぎゅう、と拳を握り締める。
 その内ふっと光が消えて、少しだけ熱さがマシになる。だけどまだ少し、熱を持ったままで。恐る恐る、自分のお腹の辺りに目を向けると。

 下っ腹のあたりに、変な、入れ墨みたいなのが入っていた。なんか、ハートっぽい形に変なとげとげが生えたみたいな模様。

「……何、これ?」
「淫紋、というものだ。知らぬか?」
「……知らない」

 そう言うと、魔王は、すり、とその入れ墨みたいなのに手を這わせた。ぞわっ、として、ぷるぷる小刻みに首を振る。振ってるつもりだけど、動けてない。ぞわって言っても、ルカにされて感じるのとは違って、悪寒というか気持ち悪くて、ぞわ。

「早い話が――――これで、男だとかは関係がなくなるということだ」
「……全然分かんない……何……?」

 いんもんって、漢字は、淫紋……だよなきっと。淫靡とかの「淫」……なんかやらしいイメージ。それの紋章、みたいな……マークってこと?

 やらしいマーク。……男が関係なくなる?
 ……嫌なイメージしか出てこない。なんだかは全然分からないけど!

「お前は、私の子を孕むことができるようになった」

 ……ん?? んん? 
 今なんて??


 子をはらむ? 
 ……んんん? オレが、魔王の子をはらむ???


「何の、冗談……?? オレ、男だし……」
「物分かりが悪いな。この紋章は、そのためのものだ」


 …………は??
 何言っちゃってんの、この人。……人じゃないか。


「じょ……冗談でしょ」

 つか魔王の子って、何? 魔物? 人間?? なになになに? 
 オレが産めるの?? 嘘でしょ。


「私の子を孕んだお前を、勇者の元に返したら、どうなるか見物だな」

 なんか、笑いを含む声で、ものすごく恐ろしいことを言われている。
 突然、体にかかってた圧が抜けた。咄嗟に逃げようと動いたオレの腕を、魔王が直接掴んで、ベッドに押さえつけた。


「……っ」

 別に、こういうことするのが、ルカが初めてだった訳じゃない。
 相手は、女の子だったけど。
 ルカだって結構無理矢理感あったし、まあオレは男だし。結構ルカにされるの慣れてきてるし、まあ一歩譲って……いや、千歩……百万歩くらい? いやもっとか。とにかくもっともっと、たくさん譲れば、殺されて二度と、東京にもルカの元にも帰れないよりはマシかもって、思ったりする。けど。


 ……子供とか、何言ってんの、絶対無いー!! 
 何、魔王の子供って、魔物って、そうやって産まれてるの?? じゃあオレは、魔物を産むの?


 ぐらりと眩暈がした気がする。







(2024/4/9)
トンデモ展開でソラが( ゚д゚)ポカーンてなってますが。皆さんもかな…?
まあ書いてるのは、あくまで私なのでね。うん…まあ…(*´艸`*)



しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

代わりにくらいなれると思った

BL / 連載中 24h.ポイント:85pt お気に入り:1,634

召喚勇者の餌として転生させられました

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:4,985pt お気に入り:2,252

出会ってはいけなかった恋

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:25,717pt お気に入り:731

ルピナスの花束

BL / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:538

淫魔とドスケベ同棲生活♡ ~亮介×ゼノの場合~

BL / 連載中 24h.ポイント:276pt お気に入り:131

処理中です...