【ドS勇者vsオレ】オレ様勇者に執着&溺愛されてるけど、ドSだから大変✨奨励賞受賞

悠里

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第3章

「不思議?」

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「ソラは不思議だな」
 アランはクスクス笑う。

「オレが不思議?」
「ん。別に取り立てて、すげえ可愛いとかさ、素晴らしい人、みたいな感じしねーのに」
「分かってるけど……失礼じゃない?? むむむ」

 言うと、ますます可笑しそうに笑いながら、オレを見る。

「でもなんか、一緒に居ると助けたくなるし。可愛く見えてくる。何だろな?」
「んと……喜ぶとこ?」
「良いことだと思って言ってるけど」
「でも……可愛いっていうのは、嬉しくないけど」
「ははっ。まあまあ」

 言いながら、アランが蓋を開ける。

「わーピザだーー」
「好きか?」
「うん、好き好き、すげー好き!」

 わーい、ピザあるんだ~こっちで初めて見たような。あっそっか、ピザ窯みたいなの、ジェイのところにもあったもんね、クッキーとか焼いたやつ。そっかー。
 ウキウキ覗き込んでいたら、アランがクスクス笑った。

「お前がそーやって喜んでる顔、すげー可愛いよなー」
「はい?」

「オレ今まで男に全く興味なかったんだけど、ルカの気持ちはなんとなくわかる」
「は??」

「けどまぁ、手は出さねーけど」
「当たりま……うわ」

 ぐい、と後ろから引きずり寄せられて、気付いた時にはルカの腕の中。

「ルカ?」
 見上げると、ルカはアランに向かって「これは、オレのだっつの」と、ぎゅと抱き締められる。

 オレは決して「これ」ではないし、別に「ルカの」ではない。
 と思うのに。

 ……なんか、ほわんと嬉しくなる、この胸の奥の感情は、ほんと謎。

「だからー、可愛いけど、取らないって。まあ、そもそも女の子がオレを待ってるし」
「お前も一人に決めたら?」
「はー? 超遊び人だった人に、そんな言われたくないんですけど」
「今も遊び人のやつに……」

 何だか良く分からないやり取りを続けるルカの腕からすぽ、とうまく抜けて、ピザをお皿にのせる。

「じゃあ先にいきまーす。お腹すいたしーごゆっくりー」

 はっきり言って、この二人はああいうので遊んでるとしか思えない。

 ミウと一緒に、甲板上がる階段にぴゅーんと向かう。
 後ろでなんだかため息が聞こえるけど、スルーして甲板に上がった。

「皆、美味しそうなピザだよーー!」
「うまそう」
「ほんとー!」

 皆の真ん中にピザを置いて、ミウを膝にのっけながら下に座る。

「ルカとアランは?」
「なんか変な言い争い始めたから置いてきたー」
「ああ、いつもの?」

 キースがクスクス笑う。

「すぐ来ると思うけど……あ。来た」

 すっかり座ってるオレを見て、ルカが苦笑しながら、オレの隣に座る。
 アランも、空いてたリアの隣に座った。

「アランの見立てだと、明日中には着くらしい。今日は天気も良さそうだし、昼間は魔法で後押しして、速度を速めるから」

 ルカが言うと、了解、と皆。

「本当なら移動魔法でリアに先に街に帰ってもらって、漁に出ても良いって伝えてやりたいけどな。リアがこっちには帰って来れなくなるし、明日まで待ってもらおう」
「大丈夫だよ。多分皆もう海の様子には気づいてる。漁には出れないけど、オレらが帰るの、わくわくしながら待ってるから」

 ルカのセリフに、アランは笑いながら答える。

「そういう待ち時間なら、一日二日伸びたって、誰も文句は言わないって」

 アランのセリフに、ルカは頷いて、ふと笑う。

「まあ、普通の魔物は出るから多少は気を付けながら――――……とりあえず帰るまで船の上で楽しもうぜ」

 楽しそうに言ったルカに、皆も頷いて、カンパーイ。
 ……なんの乾杯かなあ、なんて思いながらも、合わせる。

「まあどうせ帰ってからも宴だろうけどな」

 ゴウが笑いながら言うと、皆も頷く。


 ここの人達ほんと、乾杯とか宴とか、好きだなー。

 ……つか、オレも、そんな皆が好きだけど。


 魔物が居なくて超喜んでる人達と一緒に飲むのか~。
 楽しそうだな。






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