274 / 299
第3章
「不思議?」
しおりを挟む「ソラは不思議だな」
アランはクスクス笑う。
「オレが不思議?」
「ん。別に取り立てて、すげえ可愛いとかさ、素晴らしい人、みたいな感じしねーのに」
「分かってるけど……失礼じゃない?? むむむ」
言うと、ますます可笑しそうに笑いながら、オレを見る。
「でもなんか、一緒に居ると助けたくなるし。可愛く見えてくる。何だろな?」
「んと……喜ぶとこ?」
「良いことだと思って言ってるけど」
「でも……可愛いっていうのは、嬉しくないけど」
「ははっ。まあまあ」
言いながら、アランが蓋を開ける。
「わーピザだーー」
「好きか?」
「うん、好き好き、すげー好き!」
わーい、ピザあるんだ~こっちで初めて見たような。あっそっか、ピザ窯みたいなの、ジェイのところにもあったもんね、クッキーとか焼いたやつ。そっかー。
ウキウキ覗き込んでいたら、アランがクスクス笑った。
「お前がそーやって喜んでる顔、すげー可愛いよなー」
「はい?」
「オレ今まで男に全く興味なかったんだけど、ルカの気持ちはなんとなくわかる」
「は??」
「けどまぁ、手は出さねーけど」
「当たりま……うわ」
ぐい、と後ろから引きずり寄せられて、気付いた時にはルカの腕の中。
「ルカ?」
見上げると、ルカはアランに向かって「これは、オレのだっつの」と、ぎゅと抱き締められる。
オレは決して「これ」ではないし、別に「ルカの」ではない。
と思うのに。
……なんか、ほわんと嬉しくなる、この胸の奥の感情は、ほんと謎。
「だからー、可愛いけど、取らないって。まあ、そもそも女の子がオレを待ってるし」
「お前も一人に決めたら?」
「はー? 超遊び人だった人に、そんな言われたくないんですけど」
「今も遊び人のやつに……」
何だか良く分からないやり取りを続けるルカの腕からすぽ、とうまく抜けて、ピザをお皿にのせる。
「じゃあ先にいきまーす。お腹すいたしーごゆっくりー」
はっきり言って、この二人はああいうので遊んでるとしか思えない。
ミウと一緒に、甲板上がる階段にぴゅーんと向かう。
後ろでなんだかため息が聞こえるけど、スルーして甲板に上がった。
「皆、美味しそうなピザだよーー!」
「うまそう」
「ほんとー!」
皆の真ん中にピザを置いて、ミウを膝にのっけながら下に座る。
「ルカとアランは?」
「なんか変な言い争い始めたから置いてきたー」
「ああ、いつもの?」
キースがクスクス笑う。
「すぐ来ると思うけど……あ。来た」
すっかり座ってるオレを見て、ルカが苦笑しながら、オレの隣に座る。
アランも、空いてたリアの隣に座った。
「アランの見立てだと、明日中には着くらしい。今日は天気も良さそうだし、昼間は魔法で後押しして、速度を速めるから」
ルカが言うと、了解、と皆。
「本当なら移動魔法でリアに先に街に帰ってもらって、漁に出ても良いって伝えてやりたいけどな。リアがこっちには帰って来れなくなるし、明日まで待ってもらおう」
「大丈夫だよ。多分皆もう海の様子には気づいてる。漁には出れないけど、オレらが帰るの、わくわくしながら待ってるから」
ルカのセリフに、アランは笑いながら答える。
「そういう待ち時間なら、一日二日伸びたって、誰も文句は言わないって」
アランのセリフに、ルカは頷いて、ふと笑う。
「まあ、普通の魔物は出るから多少は気を付けながら――――……とりあえず帰るまで船の上で楽しもうぜ」
楽しそうに言ったルカに、皆も頷いて、カンパーイ。
……なんの乾杯かなあ、なんて思いながらも、合わせる。
「まあどうせ帰ってからも宴だろうけどな」
ゴウが笑いながら言うと、皆も頷く。
ここの人達ほんと、乾杯とか宴とか、好きだなー。
……つか、オレも、そんな皆が好きだけど。
魔物が居なくて超喜んでる人達と一緒に飲むのか~。
楽しそうだな。
88
お読みいただき、ありがとうございます♡
楽しんで頂けましたら、ブクマ&感想などよろしくお願いします♡
(好き♡とか短くても嬉しいです♡)
匿名ツールでの感想もお待ちしています💕
↓
【匿名メッセージ送信サービス・マシュマロ】
【WEB拍手👏絵文字とコメントで応援サービス】
楽しんで頂けましたら、ブクマ&感想などよろしくお願いします♡
(好き♡とか短くても嬉しいです♡)
匿名ツールでの感想もお待ちしています💕
↓
【匿名メッセージ送信サービス・マシュマロ】
【WEB拍手👏絵文字とコメントで応援サービス】
お気に入りに追加
4,705
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。
N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間
ファンタジーしてます。
攻めが出てくるのは中盤から。
結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。
表紙絵
⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101)
挿絵『0 琥』
⇨からさね 様 X (@karasane03)
挿絵『34 森』
⇨くすなし 様 X(@cuth_masi)
◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。
薄明 喰
BL
アーバスノイヤー公爵家の次男として生誕した僕、ルナイス・アーバスノイヤーは日本という異世界で生きていた記憶を持って生まれてきた。
アーバスノイヤー公爵家は表向きは代々王家に仕える近衛騎士として名を挙げている一族であるが、実は陰で王家に牙を向ける者達の処分や面倒ごとを片付ける暗躍一族なのだ。
そんな公爵家に生まれた僕も将来は家業を熟さないといけないのだけど…前世でなんの才もなくぼんやりと生きてきた僕には無理ですよ!!
え?
僕には暗躍一族としての才能に恵まれている!?
※すべてフィクションであり実在する物、人、言語とは異なることをご了承ください。
色んな国の言葉をMIXさせています。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる