上 下
269 / 299
第3章

「くせ?」

しおりを挟む


 その後またルカに寄りかかったまま、しばらく指先に火を出せないか、チャレンジはしてみたんだけど、無理だった。

「ねえねえ、全く魔力が無い人の魔力を呼び起こすもの、何か無かったっけ?」

 と、リアが何か思いだしながら、そんなことを言う。

「えっ。そんなのあるの??」
「……なんかあった気がするね」

 キースも、んー、と考えながら。

「あー……あったかもな。帰ったらレジ―に聞いてみるか」

 オレがうんうん頷いてると、ルカはクッと笑った。

「魔力がかけらもないのに、指輪つけても確かに無理だもんな。呼び起こせるもんなら……」

 言いながら、オレを見て、クシャクシャと頭をなでる。

「その方がよさそうだな」

 そんなのあるのか。
 じゃあダブルでお世話になったら、オレ、もしかしてほんとに魔法が使えるようになっちゃうかも??

 ウキウキしていると、「でもさ」とゴウが話し始める。

「それ確か、好きな属性は選べないんだよな? 勝手に選ばれて押し付けられるとかじゃなかったっけ?」

 ゴウが思い出すように顎に手を当てながら、首をかしげてる。

「だから、あんまり使えねーなって思ったような……」
「そうなの? じゃあ、好きな魔法は選べないんだ……?」

 ちょっとがっかり……。
 少し落ち込んでると。ルカがオレを見て笑いながら。

「魔力が一旦使えるようになれば、他の魔法も少しずつ使えるようになるし。メイン魔法が選べないだけなら、問題ないだろ」
「……そっか、そだね。オレ、とにかく何でもいいから使ってみたいんだった」

 ルカの言葉に元気を取り戻してワクワク。
 
「楽しみ」

 オレがそう言うと、ルカは「単純……」と言いながら笑って頭を撫でてくる。

「……あのさあ、ルカさあ……」
「ん」

「頭にさわるの、癖?」
「癖? ……ああ、これ?」

 言いながら、ルカがオレの頭をクシャクシャと撫でまくる。

「ぅわ」
 めちゃくちゃクシャクシャにされて、あーもう~!とルカの手首をつかんで止める。悪戯っぽく楽しそうに笑うルカに、もーほんといじめっ子気質だよなと思いながら、髪の毛を整えてると、皆が笑う。

「ルカが誰かを撫でてるとこなんて、初めて見たよね」

 リアが笑いながら言って、キースとゴウを見やると、二人も可笑しそうに笑う。

「大体ルカの柄じゃねえじゃん、頭よしよししてるとか。分かるだろ」

 ゴウに言われて、いや、でも、オレいっつも撫でられてるから、と心の中で思いながら首をかしげていると、キースがクスクス笑う。

「ソラはいっつも撫でられてるから、ルカの柄じゃないとか思わないよね」

 その言葉にちょっと頷きながら、オレを面白そうに眺めてるルカを見上げる。

「心配してんの?」
「……? 何を?」

 ルカの言葉の意味が分からなくて、聞き返すと、ルカはぽん、とオレの頭に手を置いた。

「オレが他の奴の頭も撫でてんのかって」
「……してないよ、そんな心配……」

 完全にからかいモードの表情に、オレはちょっとムカついて、軽く睨みながら返すと。楽しくてしょうがないみたいな顔でオレを覗き込んで、と思ったら。

「――――……」

 キス、された。

「…………っ」

 だーかーらーー。
 皆がいる前でキスされるのとか、やっぱやなんだってば!
 ちょっと慣れてきてしまった自分が怖いけど、でもやっぱり、恥ずかしいんだってば!!

 ルカの首の下あたりに手をおいて、ぐいー、と離させると、ルカはおかしそうに笑い出すし。もう完全にからかわれている。

「もうほんとルカ」

 嫌い、と言いかけて。
 あ、と止まる。
 嫌いって言わない約束を思い出した。

「ん?」

 多分言いかけた言葉も、止まった理由もきっと分かってるルカは、クスクス笑いながらオレの頭をまた撫でる。

「ソラ見てると、撫でたくなるんだよな。なんでそーなんのか分かんねーけど」

 笑いながら言って、オレの頭をなでなでしまくってる、ご機嫌な勇者に。
 何だか反論の言葉も出て来ない。



 

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

俺の親友がモテ過ぎて困る

くるむ
BL
☆完結済みです☆ 番外編として短い話を追加しました。 男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ) 中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。 一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ) ……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。 て、お前何考えてんの? 何しようとしてんの? ……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。 美形策士×純情平凡♪

強制結婚させられた相手がすきすぎる

よる
BL
ご感想をいただけたらめちゃくちゃ喜びます! ※妊娠表現、性行為の描写を含みます。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

無愛想な彼に可愛い婚約者ができたようなので潔く身を引いたら逆に執着されるようになりました

かるぼん
BL
もうまさにタイトル通りな内容です。 ↓↓↓ 無愛想な彼。 でもそれは、ほんとは主人公のことが好きすぎるあまり手も出せない顔も見れないという不器用なやつ、というよくあるやつです。 それで誤解されてしまい、別れを告げられたら本性現し執着まっしぐら。 「私から離れるなんて許さないよ」 見切り発車で書いたものなので、いろいろ細かい設定すっ飛ばしてます。 需要あるのかこれ、と思いつつ、とりあえず書いたところまでは投稿供養しておきます。

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

処理中です...