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第3章
「くせ?」
しおりを挟むその後またルカに寄りかかったまま、しばらく指先に火を出せないか、チャレンジはしてみたんだけど、無理だった。
「ねえねえ、全く魔力が無い人の魔力を呼び起こすもの、何か無かったっけ?」
と、リアが何か思いだしながら、そんなことを言う。
「えっ。そんなのあるの??」
「……なんかあった気がするね」
キースも、んー、と考えながら。
「あー……あったかもな。帰ったらレジ―に聞いてみるか」
オレがうんうん頷いてると、ルカはクッと笑った。
「魔力がかけらもないのに、指輪つけても確かに無理だもんな。呼び起こせるもんなら……」
言いながら、オレを見て、クシャクシャと頭をなでる。
「その方がよさそうだな」
そんなのあるのか。
じゃあダブルでお世話になったら、オレ、もしかしてほんとに魔法が使えるようになっちゃうかも??
ウキウキしていると、「でもさ」とゴウが話し始める。
「それ確か、好きな属性は選べないんだよな? 勝手に選ばれて押し付けられるとかじゃなかったっけ?」
ゴウが思い出すように顎に手を当てながら、首をかしげてる。
「だから、あんまり使えねーなって思ったような……」
「そうなの? じゃあ、好きな魔法は選べないんだ……?」
ちょっとがっかり……。
少し落ち込んでると。ルカがオレを見て笑いながら。
「魔力が一旦使えるようになれば、他の魔法も少しずつ使えるようになるし。メイン魔法が選べないだけなら、問題ないだろ」
「……そっか、そだね。オレ、とにかく何でもいいから使ってみたいんだった」
ルカの言葉に元気を取り戻してワクワク。
「楽しみ」
オレがそう言うと、ルカは「単純……」と言いながら笑って頭を撫でてくる。
「……あのさあ、ルカさあ……」
「ん」
「頭にさわるの、癖?」
「癖? ……ああ、これ?」
言いながら、ルカがオレの頭をクシャクシャと撫でまくる。
「ぅわ」
めちゃくちゃクシャクシャにされて、あーもう~!とルカの手首をつかんで止める。悪戯っぽく楽しそうに笑うルカに、もーほんといじめっ子気質だよなと思いながら、髪の毛を整えてると、皆が笑う。
「ルカが誰かを撫でてるとこなんて、初めて見たよね」
リアが笑いながら言って、キースとゴウを見やると、二人も可笑しそうに笑う。
「大体ルカの柄じゃねえじゃん、頭よしよししてるとか。分かるだろ」
ゴウに言われて、いや、でも、オレいっつも撫でられてるから、と心の中で思いながら首をかしげていると、キースがクスクス笑う。
「ソラはいっつも撫でられてるから、ルカの柄じゃないとか思わないよね」
その言葉にちょっと頷きながら、オレを面白そうに眺めてるルカを見上げる。
「心配してんの?」
「……? 何を?」
ルカの言葉の意味が分からなくて、聞き返すと、ルカはぽん、とオレの頭に手を置いた。
「オレが他の奴の頭も撫でてんのかって」
「……してないよ、そんな心配……」
完全にからかいモードの表情に、オレはちょっとムカついて、軽く睨みながら返すと。楽しくてしょうがないみたいな顔でオレを覗き込んで、と思ったら。
「――――……」
キス、された。
「…………っ」
だーかーらーー。
皆がいる前でキスされるのとか、やっぱやなんだってば!
ちょっと慣れてきてしまった自分が怖いけど、でもやっぱり、恥ずかしいんだってば!!
ルカの首の下あたりに手をおいて、ぐいー、と離させると、ルカはおかしそうに笑い出すし。もう完全にからかわれている。
「もうほんとルカ」
嫌い、と言いかけて。
あ、と止まる。
嫌いって言わない約束を思い出した。
「ん?」
多分言いかけた言葉も、止まった理由もきっと分かってるルカは、クスクス笑いながらオレの頭をまた撫でる。
「ソラ見てると、撫でたくなるんだよな。なんでそーなんのか分かんねーけど」
笑いながら言って、オレの頭をなでなでしまくってる、ご機嫌な勇者に。
何だか反論の言葉も出て来ない。
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