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第3章

「結界って」

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 色々作ったものをみんなで甲板に運んで、テーブルもない地べたに置いて、直に座って、真っ黒な空の綺麗すぎる星を見ながら、食べる。景色がいいと、余計美味しい気がする。

 日本に居たら、多分絶対やってなかったこと。オレ、船で海なんて出たことないし。ていうか、こんなに星、見えないし。……ほんと、ここ、綺麗。

 ……一番大きく違うのは。
 もはやオレ、違和感全くなく、でっかいルカに寄りかかって座るのが定位置になってる気がすること。

 こんなこと、日本で誰か男にやってたら、なんて言われるか。……っつか、絶対やらないけど。

 こっちに来て、しばらくルカと過ごしていたら、大分マヒしてきてる。まあそもそも、ルカと一緒に寝て色んなことされてる時点で、もはやオレの中に、日本に居たオレとは、全然違うオレが居る訳なんだけど。

「……なんだ?」

 オレが寄っかかっていても平気な顔して座ってて、ご機嫌な感じのルカを振り仰ぐと、笑いながら見下ろしてくる。

「なんでもない……」
「何だよ?」

 前に戻した顔に触れられて、ルカの顔を振り仰がされる。

「……なんでもないってば。重くないのかなーって思っただけ」
「重くはない」

 ふ、と笑いながら、頬にキスされる。

「……っ」

 よく考えると、めちゃくちゃ恥ずかしいことをされてる気がして、頬にキスされたのを認識した瞬間、かあっと熱が顔に集まるのだけれど、周りの皆は、今更ほっぺにキスされてるくらいじゃ全然なんともないというか、とにかくスルーだし。キスし終えたルカも、またふっと瞳を緩めて、頬をなぞっただけで、手を離して普通の顔して、お酒とか飲んじゃってるし。

 一人うろたえて赤くなってて、バカみたいな気がしてくる。
 ……いやでも、オレの方が普通だと思うのだけれど。

 胸元の服をつまんでパタパタ風を起こして顔を冷ましていると、さっき、何かがよぎったのを思い出した。
 
 オレを運んだ奴なんて、居るのだろうかってやつ。
 ……何かがよぎって、それからなんとなく気持ち悪くてしょうがない。

 居るとしたら。神様ってやつかな……?
 異世界に転生したって話、いっぱい読んどけばよかったな。そしたら、もっと何か、理由とか考え付いたような気がするのに。
 
 手首の飾りを見て、これに結界かあ、と考える。
 結界って、何にも感じないから、どうなってるのかとか全然分からない。

 でも前に、ルカとオレが初めて会った日の夜、とんでもないことされて騒いでたオレの声を聞かないように結界張ったとか、皆も言ってたから……バリアみたいなものだよね、きっと。それくらいのものなら、結構張れる人居るみたいだけど……。

 ……ルカの張れる結界はすごく広い範囲だしいくつも張れるし。って感じみたいで。
 すごいよなあ。勇者……。

「ねね、ルカ?」
「ん?」
「結界て、いつから張れたの?」
「……なんかソラ、結界にものすごい拘ってるか?」

 クスクス笑いながら、ルカがアランと顔を見合わせてる。

 だってなんか気になる。

 オレを運んだ奴が居るなら、それから見えないように、とか言ってたけど、そんなの居るかも分かんないし結界がきくかも分かんないのに、ルカはオレと自分を繋げて一応隠してるみたいなこと言うし。そう考えるのが、すごく不思議。

 ……オレがやってたRPGにあった結界は、魔物から町を守れるっていうそういう設定だったはず。
 魔物と、それを生み出せる、魔王だけ。

 そもそも何、オレを運んだ奴って。異世界から来た奴なんか、あのゲーム、居たのかな? もしかしてオレが行かなかったところにそういうエピソードがあったとか……?

 ……んーでも、なんかオレ、そこまで設定とかちゃんと読んでないしー!
 ああ、オレのバカ。
 もっとちゃんと、色々読めば良かった。攻略サイトとかももっと使って、すみからすみまで……あ、でもオレ結構、回ったはず……??

 ……でもそもそも、こことゲームの世界は、ちょっと違うから、それやってても意味なかったかな……。うーん。分からないー……。


「なに悩んでんだよ?」


 ルカがオレの悩んでる顔を見て、めちゃくちゃ面白そうに笑ってくる。




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