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第2章
誓い*ルカside 4/4
しおりを挟むベッドの上で、開いた脚の間にソラがぺたんと座っていてなんとなくオレに寄りかかったまま。食べ物を近づけると、ぱく、と食べる。
「雛みたいだな……」
クスクス笑いながら、頭を撫でると、ソラはちら、とオレを見る。
「……自分で食べてもいいなら食べるんだけど」
なんて言いながら、むぅ、と口を尖らす。
「なんだそれ?」
「……ルカはオレに食べさせたいんでしょ?」
「まあ、そうだな」
「……そうだなって……良くわかんないけどさ」
くす、とソラが笑う。
「人に食べさせてもらうなんて、もう長いこと無かったよ、オレ」
「だろうな」
「……何でルカはオレの口にぽいぽい入れてくるのか不思議なんだけど」
「――――……」
「慣れてきてる自分が怖い……」
そんな風に言って笑うソラに、ふ、と苦笑い。
「他の奴に食わされるなよ」
その言葉に、ソラは少し驚いた顔で、オレを見上げてくる。
「ある訳ないじゃん。ていうか、普通の人は、二十歳の男に、食べさせたりしないからね」
「――――……分かんねえだろ、そんなの」
「分かるってば……」
オレは甘い実を自分の口に放り込んで、そのまま、ソラの腕を引いた。
「――――……」
オレを見上げたソラに唇を重ねて、その実を、ソラの口に移す。
「ん、ン……?」
中に何か入ってきたことを知ったソラが、不思議そうな声を出して、それを受け取った。少し唇を離すと、しゃり、と実を噛む音。
そのまま、もう一度ソラの唇を塞いで、舌を絡める。
「……んん……、ふ……っ……?」
口に入ってた実を、ごく、と飲み込みながら、ソラが少し問うようにオレを見上げてる。このまま続けないよね?とでも言いたいんだろうが。
ソラの後頭部を手で押さえて、オレの方に引き寄せて、深く口づける。
「……っん、ぅ…………ん……ン……ッ」
……ソラの頭は小さい。手の平に収まる感じ。ふわふわした髪の毛に触れると、気持ちいい。キスをしていると、頭と一緒に触れてる項が、すぐに熱くなって、汗ばんでいく。
――――……可愛い。
「……っ……は……」
そっと離すと、涙目のソラが、オレを見上げてくる。
「……オレとキスするの、好き?」
「――――……好きだけど……食べてる時はやだ」
むっとしながら言ったのがそれ。
好きだけど。に気を良くして、オレは、ソラの頭を撫でる。
「食べていいよ」
トレイを差し出してソラの膝に乗せると、頷いてつまみ出す。しばらく黙って食べてたソラがやっと落ち着いたのか、ふとオレを振り返った。
「……なんかね、ルカ。オレ、寝て起きたらさ」
「ん」
「ほんとに倒せてよかったなって実感した」
「今実感したのか?」
そう聞くと、ソラはオレを見上げて、苦笑い。
「うん、今。なんか……現実感、無くて。あの戦い、夢みたいでさ」
「――――……」
「寝て起きて、あ、もうあの魔物の心配しなくていいんだーと思って。実感した気がする」
「そんなに心配してたのか?」
「……だってさ、魔法も効きにくいし、どうやって倒すんだろうって。皆に何かあったらどうしようって、やっぱり、思うじゃん」
「――――……」
「でももう、良いんだって思って」
「まあ、まだ魔王が居るけどな」
オレが言うと、ソラは、ふ、と苦笑い。
「そうなんだけどさ……とりあえず、良かった。海の上とかって戦いにくいだろうしさ」
「――――……ソラは、魔王も知ってるって言ってたよな」
「……え? あ。……うん。まあ。見たことはある」
その言葉に色々考える。
この世界の誰も、多分オレ達以外は魔王を見ていない。
ソラは、作り物の世界で見たことがあると言ってた。
――――……つくりもの。ねえ。
……まあ。
分かんねえこと考えても、しょうがねえな。
「ソラ」
「ん?」
「城に戻ったら、結婚式するか」
「えっ」
「考えとけ」
「えっ??? 本気????」
死ぬほど驚いたみたいな顔してるのが可愛くて。
その髪をまたよしよしと撫でる。
――――……どんな理由でソラがここに来たんだとしても。
魔王さえ倒したら、側に居れることを最優先に考える。
細かいことは、その都度、考えれば。
……まあそれでいいだろ。
清々しいほど割り切ってる自分が、なんだか可笑しくて、クッと笑ってしまうと、ソラは自分が笑われてると思ったらしく、「からかってんの?」と怒り出す。
「結婚式、本気で言ってる」
「絶対嘘だ、笑ってるしー! びっくりして損したっていうか。オレまだ保留だしっ」
ぷんぷん怒って、騒いでる。
「オレはもう決めてるし、本気だって」
笑いながらソラを抱き締めて。
また改めて、誓った。
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