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第2章
誓い*ルカside 2/4
しおりを挟む「……オレ今、そんなこと言ったか?」
まあ、確かに「可愛がってくる」とか口走った気もするし。
まあ色々、完全にバレバレなのは分かってるけど、可愛いと思いすぎていることを、あまりにはっきり認めるのもどうかと思ってそう言ってみると。
「顔が言ってるし」
「ていうか、さっきからずーっと、可愛いって言ってるし」
「気絶するまで離せないとか、よっぽどだからな」
リアと、キースと、ゴウ。
……続けざまに突っ込んでくるこの会話にも結構慣れてきたな。
ソラが来るまでは、無かった感じの会話なんだけど。
「別にオレは、そこまでずっと可愛いとか……」
一応否定しようと試みたのだが。
「言ってるからな、お前、ずっと。ほんとずーっと、可愛いって、言ってる」
ゴウが言葉を遮って、そう言ってくる。
「それにさ、どこに行く時だって、座ってる時だって、ずっとソラの側にいるよね、ルカ」
キースまでそう言って、クスクス笑ってくる。
……可愛いなんてずっと言ってるか? オレ。
そこはかなり疑問があるのだが。
これ以上反論しても無駄そうだと思ってしまう。
「ソラ起きて、元気だったら連れてきてよー」
リアが笑いながらオレを見つめる。
「ミウもさ、ソラが居なくてつまんないのか、どこか旅に行っちゃったんだよね~さっきまでは抱っこしてたんだけど」
「あぁ。でもまあ、ミウはそういう生き物だもんな……」
「うんまあね。……ミウも、ソラが大好きだよねぇ」
そこまで言って、リアがクスクス笑う。
「でも最近、ミウは、ルカのこともほんとに好きよね」
ゴウとキースも笑い出す。
「……多分、ミウがオレになつくのは、ソラのためじゃねえのかな。良く分かんねえけど。ソラを助ける者としてオレが必要なんじゃねえの?」
「そうだとしても……ルカがミウを抱っこしてる姿は、もうほんと、可愛い!」
リアがめちゃくちゃ楽しそうに笑顔で言う。
「もうさ、城に帰ったらさ、ミウを肩に乗せるとか、抱っこするとかして、ずーっと歩いてきてよ」
「は?」
「ルカを素敵ーとか言ってる女子の反応が見たいのよ~。 可愛いー!ってなるのか、王子がぬいぐるみみたいのだっこしてるーってイメージ違うって幻滅されるのか、どっちなのか実験したいー!」
「何言ってんだお前」
呆れてリアを見つめると、ゴウとキースも笑い出した。
「ルカ王子ってば、すごい可愛いー! とかって、さらに大人気になっちまうんじゃねえの?」
「言えてるね……」
「は? ……つか、それ、まったく嬉しくねえぞ」
呆れて言ったところに、アランが戻ってきた。
「ほら、ルカ。お茶と甘いジュースと、果物とナッツと、クッキーとか。もっとちゃんと食べたいならキッチンにおいでよ」
「おう。ありがとな」
立ち上がって、トレイごと受け取る。
「なあ、ルカさ、結婚って、本気なの?」
アランに不意に聞かれて、「何で?」と聞き返す。
「別の世界から来た子で、しかも男の子だから。王子の相手なのに後継ぎとかも産めないし。……ていうか、そこよりももっと不思議なのがさ、あんなに女にモテて、女と遊んでたのにさ、男一人に決めれんの?」
「――――……」
「もしすぐ飽きそうなら、結婚とか言わずに、ただ、今だけみたいなのでもいいんじゃないって思うんだけど」
アランの言うことを、少しの間考えたけれど。
結論は、面白いほど、すぐ出た。
「先のことは、確実には言えねえけど」
「――――……」
「……ソラを守るって、決めてる」
ふーん? と、面白そうな顔で、アランがオレを見る。
周りで、他の三人も、興味津々な顔で見てくる。
「近くで守るし。それで近くに居るなら、ソラだけ抱いてればいい気がする」
「ほうほう……」
「だから、良いんじゃねえの? 結婚で。オレのモノって、周りに宣言して、守りたいから」
そう言うと、全員、笑い出した。
「は?」
何だかムカついて、皆を睨むが、ますます笑われる。
こいつらを睨んでもきかねえからな……。
「……聞きたいこと終わりか?」
ムカつきながら、四人の顔を見回すと。
全員、笑いながら、頷く。
「……ソラんとこ行ってくる」
ため息をつきながら言うと、全員の、いってらっしゃいに送られた。
またまた、ため息をつきながら階段を下りて、部屋のドアを静かに開ける。
中はまだすごく、静かで。
ソラは、さっきオレが出て行った時のまま、動いていない。
テーブルの上にトレイを置いて、ベッドの端に腰かける。
すやすや寝てる、気持ち良さそうな顔を見てると。
自然と、微笑んでしまうのは、もう、止められないみたいで。
あの魔物の体の中に居た時。
剣はなかったが、魔法でどうにかなりそうだなとは思っていた。
だから、そこまで焦ってもいなかったし、通常通りの精神状態で居られた。
でも、不意にソラが降ってきて。顔を見た時。
……ソラがオレのところに居るなら、なんでもできるような気がして。
力が沸く、というか。
ソラの為なら、なんでもできそうと思った。
もともと諦めるつもりなんか、無かったけれど。
ソラと生きるために、と思うと、一気に気分が盛り上がって。
自分でも、驚いた。
何度聞かれても、どう聞かれても。
ソラと居たいし、守りたいし、可愛がりたい。
「…………」
柔らかい黒の髪の毛に触れる。
手触りが良くて、いつも触れてしまう気がする。
くしゃくしゃと、撫でると、ソラが、うーん、と嫌そうに、眉を寄せた。
今度は、苦笑が浮かぶ。
続けてくしゃくしゃ撫でてると。
「……んー…………ル カ……」
寝言で、呼んだあと、また、すう、と眠りにつく。
「――――……」
こんな風に悪戯されるのは、夢の中だとしてもオレしか居ないと思うのかもしれず、それはそれで笑えるが。
……寝てる時でも、オレの名を、呼んでくれるのが嬉しいとか。
なんとも言えない気持ちになる。
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