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第2章

誓い*ルカside 1/4

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 強いのと戦った後は、大体、体の中が色々昂っていて、今回もそうだった。

 ただでさえ、おさまらなそうだったのに。
 言うことなすこと、阿呆みたいに煽ってくるソラのおかげで、本当に熱がおさまらず。

 結局、さんざん付き合わせた結果。
 何度目かに、ソラは、かくん、と寝落ちた。

 ……まあ、ソラに多大な無理を強いた自覚記憶はさすがにちゃんとあるので、寝落ちた時点でストップした。

 ソラの体を清めて、口移しで水を飲ませてから、布団に引き込んで、抱き締めた。


 最後の戦い、魔法も結構使ったし、最後の攻撃は、魔法も込めて渾身の力で叩き切った。

 結構オレも疲れていたのだけれど。ソラが煽るもんだからほんと……。
 そんなこんなで、寝落ちたソラを抱き締めていたら、あっという間に、寝てしまっていた。
 しかも、かなりぐっすり。

 どれくらい、経ったのか、ふっと、目が覚めた。眠りは深かった気がするが、まだそんなには経ってない感覚。
 ソラはまだ腕の中で、びくりとも、動かないし。
 

 まあ、今散々つき合わせたから、ということだけじゃなくて、ソラもきっと、船に乗ってからずっと、疲れてたよな……。

 慣れない船と、次々出てくる、魔物と。
 しかも、あいつら、攻撃が効きにくくて、心配だったろうし。

 アランに料理を習って楽しそうにはやっていたけど、色々心配しながら、慣れない船で、慣れない食材で、とか。
 やっぱりいろいろ気を遣ってただろうしな。

 ……そういや、デカい魚釣った時。
 すげえ面白い反応してたっけ……。

 デカいとか怖いとか、散々騒いでた。
 皆もソラの反応は、予想してたから、笑ってたよな。顔が怖いとかも散々騒いだたっけ……。

 イラつきそうな状況の戦いと、船生活の中で、ソラが居て、多分皆も、すげぇ和んでた気がする。
 リアなんか特にそうだった。ソラとミウが居ると、リアはいつでも笑っててご機嫌。

 ソラが現れる前は、もうちょっと機嫌が悪い日とかもあった気がするんだけどな。
 女は可愛いものが好きだよな……。

 そんな風に思いながら、すやすや眠り続けるソラの頬に、起こさないようにそっと、触れる。

 ――――……こんなに可愛いと思うものって、今まで居たっけ。

 しばし、顔を見つめながら、考える。

 ……顔だけなら、もっと、人形みたいな可愛い顔した女とか。目を引く美人とか、過去に居たと思うんだけど。ソラの可愛さって、そういうじゃねえんだよな。

 ……可愛いっつーか、面白ぇっつーのかな……。

 ふ、と声に出して笑ってしまいそうになって、口元を引き締める。


 でもエブロン姿は良かったな……。

 すげえ可愛いし。……って、じゃあ、やっぱり可愛いのか? 

 でも可愛いって言ったら、冗談だと思われたっけ。

 オレがアランに妬いて、たまに言ってることも、冗談にとられてるし。
 全然オレ、そこら辺で冗談なんか言ってねーんだけど。

 ……鈍い。
 ソラの頬をむに、とつまんで、少し引く。
 これくらいじゃ全く起きそうにない。

 やっぱり、いつもよりも眠りが深い。

 少し離れても大丈夫そうだと判断して、オレは、ソラの隣から起き上がって、ベッドを降りた。
 服を身に着けて、部屋のドアを静かに閉めて、船の中を進んだ。

 どこに居んのかと思えば、まださっき別れた時のまま、甲板に全員居た。

「よー、おかえりー。王子は元気だなあ?」

 ゴウがニヤニヤしながら、声をかけてくる。
 特に答えず近づくと、リアが「ソラは―?」と聞いてくる。

「ぐっすり寝てる」

 そう答えながら、オレはアランを見た。

「ソラが起きた時、何か少し先に食べさせるもの、くれるか? 飲み物も」
「起きたらこっち来れば良いのに」

「多分ものすごく疲れさせたから、だるいと思う。先にベッドの上で食べさせて、元気そうなら連れてくる」

 そう言ったら、アランが、なるほど分かったと頷いた。
 「了解。少し待ってろよ、用意してくるから」とクスクス笑いながら、下に降りて行った。

 少し時間がかかりそうなので、その場に座った。

「誰も寝てないのか?」

 結局あまり効かないとはいいながらも、結構な量の魔法を使っていたし、剣も使ったはず。
 皆もそれぞれ疲れただろうに。

 そう思って聞くと、「ここで眠い時に適当に寝てた」と言う。なるほど、と答えて、近くにあった酒を、グラスにあけて、飲みほした。

「ルカとソラは、イチャついてそのままずっと寝てたのか?」

 ゴウの質問に、ちょっと違うな、と答えた。

「ずっとシてて、少し寝たって感じ」

 そう言うと、三人皆、はー? と、苦笑い。

「かわいそーだなあ、ソラ。底なしの王子の相手させられて」

 ゴウのセリフに、そうだよね、と頷いて、キースも笑う。

「ほどほどにしてあげないと、ソラが疲れちゃうんじゃないの?」
「……まあ、そこそこ、ほどほどにしてるぞ」

「そうなの? さっき二人が消えてから大分経つけどな?」
「まあ、気絶したらやめてる」

 そう言うと、しーん、と音が聞こえるような沈黙が。

「ルカ、手加減してあげないと」

 リアが苦笑いしながら、そう言う。

「意外とあいつ、タフだし。文句は言うけど限界まで付き合ってくれるタイプかも」

 オレがそう言うと、皆、やれやれと肩を竦めながら笑う。

「無理させたんだったら、目が覚めたら、優しくしてあげなよね?」
 キースがそう言うから、オレは、分かってる、と頷いた。

「まあ無理させた自覚はあるしな……だから、ベッドで餌付けすんだよ。可愛がってくる」

 ソラのことを思い浮かべると、つい、微笑んでしまう。
 オレを見てた三人も、クスクス笑い出す。

「……可愛くってたまんねーって顔」
「ほんと」
「大好きだよね、ソラのこと」

 ゴウとリアとキースが、立て続けにそんなことを言ってくる。



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