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第2章
「お子様?」
しおりを挟むでも、よくよく考えたら、別にべた惚れされてたなんて気はしないけど。
……泣き顔が好きとか言ってたような……好きっていうか……泣かせたくなる?
ひえーよく考えたら、めちゃくちゃ最初にドSな発言されてたな。
ルカってば、普通に考えたら、変なこと、平気で言ってたじゃんか。
オレ、よく平気だったなぁ……。
あれだな、ここに来て最初で、オレもきっと、必死だったのかなあ。……そんな気がする。
「ねね、ルカ……べた惚れとかじゃ、無かったよね??」
「ん?」
「最初、違ったよね?」
「……どうかな?」
ルカは、ぷ、と笑いながらオレを見てから、皆に視線を向ける。
「最初はね、まさかルカがそんなんなるとは思ってないから、気に入ったんだなーって思ってただけだったよ」
リアがそう言うと、皆が笑って頷く。
「だけど、そのままここまで、ずーっとソラソラ言って、プロポーズまでしちゃってるって聞くと、もうあれ、最初からそうだったんじゃないのかなって、思うよね?」
それにもまた皆が笑って頷くと。
それを聞いてたルカが、オレに視線を戻して。
「……まあ、オレも大体そんな感じで、思ってるけど?」
「――――……」
そな感じ、ていうのは。
今となってみると、最初から、べた惚れだった、と?
うわー。超恥ずかしい。真顔で、こっち見ないでよ。
オレは膝に乗ってたミウをまたぎゅう、と抱き締めた。
「ソラ、行くか?」
「――――……」
行くかって。下に。
……抱かれに、行くか?って。
聞くな、馬鹿ルカー!
答えられると思ってるんだろうか。
え、何、行きますって言うの。ここで、こんな真昼間に、楽しく飲んでる皆に、今から、しにいってきますって?
え、無理。
「……行かない」
「――――……」
「もうちょっとここに居たい」
むむ、とむくれながら言ったら。
ルカは、ふーん、と笑って。「まーいーけど」と言って、オレの隣に座った。
ぇ。いいの?
自分で言ったくせにちょっと驚いて、ルカを見ると。
「ルカがそういう風に誘ってて、振られるの初めて見たかも」
そんな風に言ってキースがクスクス笑うと、ゴウも「オレも」と笑う。
そんな二人の言葉に苦笑しながら、ルカは刀を後ろに置いた。
「まあオレもちょっと飲みたいし。アラン、強くてもいいから旨いの、ある?」
「んー? あー……。ほれ」
酒瓶一つ、ルカに渡す。
「ソラは寝るからあんまり飲むなよ」
自分のをグラスに注ぎながら、ルカがそう言ってくる。
……ルカは寝ないのかな? 強いの飲んで。
…………寝ないか。いつも寝ないもんな。
「ソラ、おつまみ、食べる?」
リアが、お皿を渡してくれたので見てみると何かのお菓子みたい。一口食べてみると、塩味の小さいスナック菓子みたいな味。
「アラン、これどうやって作るの?」
「すごい小さいイモがあってさ。それを薄切りにして、塩味つけただけ」
おー、ポテトチップスだねと、ウキウキしてしまう。
「おいしい、これ。ミウも食べる?」
ほぃ、と口に入れてあげると、おいしそうな顔をする。
はいはい、どうぞ、と持たせてあげると、ちっちゃい手で、もぐもぐ食べてる。
ああ可愛い……。ほんと、可愛い。
むぎゅ、と抱き締めて、顔を上げると。
ルカが、苦笑いでオレを見てて。
「……ほんと、お子様」
そんな風なことを、ぽろっと言って、オレの頬に触れて、すりすりと撫でてくる。
ドキ、と。心臓が弾むのは。もう条件反射みたいな。
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