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第2章

「オレから」

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「……なるほどな?」
「何……?」

 何だかルカがとってもニヤニヤしている。
 もー、やな感じ。と思いながら、聞くと。

「のんきな奴ならソラじゃなくても、オレが気に入ってたって言いたいのか?」
「だってのほほんとしてるのがいいんでしよ。いっぱい居るよ、多分」

 とっても面白くないけど。

「ソラって」
「……ん?」
「……ほんと、馬鹿だよな?」
「ぅわ」

 聞き返すよりも早く、ルカはオレを魔法で持ちあげてしまうと、ボートの上に降ろした。
 その後自分もボートに乗ってくると、ぐい、とオレを引き寄せて。
 超至近距離で、オレを見下ろした。

「本気で言ってンの? のん気な奴なら誰でもいいとか」
「――――……」
「オレが、そんな感じでお前を選んだと思ってンの?」
「…………」

 そう言われると……。
 それは違う気がするけど。

「じゃあこれからもし、お前の世界から、大量にこっちにのんきな奴が送られてきたら、オレがそいつら全部と、そうなると思うのか?」

 ルカの、カッコいい顔が、何だか少しニヤついて。
 ずっと、オレをまっすぐに見つめている。
 
「……それは、おもわない……」
「だよな?」
 
 すり、と頬を撫でられる。

 ゆっくりゆっくり、唇が、触れる、と思ったら。
 全然触れてこない。

「?」
 ルカを見つめると。

「お前、オレが結婚しようって言ったの、信じてる?」
 そう言われて、じっと見つめられる。

「プロポーズまでしてンのに、そんな馬鹿なことまだ言われるとか」
 ほんと、しょうがねえなあ?と、ルカが呆れながら。

「……お前からキスしたら、許してやる」

 …………それが言いたかっただけでは?
 と思うような、楽しそうな笑顔で言って、ルカがクスクス笑ってる。

「ソラが思う、一番すごいキス、してみな?」

 ……絶対それがやらせたくて、今までの流れだったのではと思ってしまうけど。しないと終わらなそう。
 ルカの首に腕を回して、ぐい、と自分に引き寄せる。
 少し開いた唇を重ねて、ゆっくり、舌を、ルカの舌に触れ合わせた。
 最初は、皆が下見たら見えちゃうなあと思って、いまいち集中できないと思ってたけど、キスしてる内に、気にならなくなってきて。

「……ん……」

 いつも、ルカから激しくされてばかりだから、自分からキスして、ルカが受け身なのは、変な感じ。
 ……というか。なんか物足りない。

「……ルカ」
 キスを離して、ルカを見上げると、ルカが、ん? と笑う。

「……ルカが、してよ」
「……いーけど」

「……けど、何?」
「――――……部屋行くか?」

 すり、と頬を撫でられて、見つめられると。
 ……何だか、ぞく、とした感覚。

 ああ、なんかオレ……。
 すっかり、そういう感じに……させられてるというか……。

「……行く」
 答えると、ルカは、ふーん、と笑った。

 ちゅ、とキスされて。
 上向いた視線の先に、ミウが居て。

「あ」

 あれいつの間に戻ってきてたの。

「ルカ、ストップ……」
 ぱっと、ルカから離れると、「は?」とルカが怪訝な顔。

「ミウには見せちゃダメなの」
 むぎゅ、とミウを抱っこして、そういうと、ルカは呆れ顔。

「はー。……分かった、じゃあ、部屋でな」

 やれやれ、みたいな笑顔で言ってるルカの魔法で、甲板に戻された。



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