244 / 296
第2章
「オレから」
しおりを挟む「……なるほどな?」
「何……?」
何だかルカがとってもニヤニヤしている。
もー、やな感じ。と思いながら、聞くと。
「のんきな奴ならソラじゃなくても、オレが気に入ってたって言いたいのか?」
「だってのほほんとしてるのがいいんでしよ。いっぱい居るよ、多分」
とっても面白くないけど。
「ソラって」
「……ん?」
「……ほんと、馬鹿だよな?」
「ぅわ」
聞き返すよりも早く、ルカはオレを魔法で持ちあげてしまうと、ボートの上に降ろした。
その後自分もボートに乗ってくると、ぐい、とオレを引き寄せて。
超至近距離で、オレを見下ろした。
「本気で言ってンの? のん気な奴なら誰でもいいとか」
「――――……」
「オレが、そんな感じでお前を選んだと思ってンの?」
「…………」
そう言われると……。
それは違う気がするけど。
「じゃあこれからもし、お前の世界から、大量にこっちにのんきな奴が送られてきたら、オレがそいつら全部と、そうなると思うのか?」
ルカの、カッコいい顔が、何だか少しニヤついて。
ずっと、オレをまっすぐに見つめている。
「……それは、おもわない……」
「だよな?」
すり、と頬を撫でられる。
ゆっくりゆっくり、唇が、触れる、と思ったら。
全然触れてこない。
「?」
ルカを見つめると。
「お前、オレが結婚しようって言ったの、信じてる?」
そう言われて、じっと見つめられる。
「プロポーズまでしてンのに、そんな馬鹿なことまだ言われるとか」
ほんと、しょうがねえなあ?と、ルカが呆れながら。
「……お前からキスしたら、許してやる」
…………それが言いたかっただけでは?
と思うような、楽しそうな笑顔で言って、ルカがクスクス笑ってる。
「ソラが思う、一番すごいキス、してみな?」
……絶対それがやらせたくて、今までの流れだったのではと思ってしまうけど。しないと終わらなそう。
ルカの首に腕を回して、ぐい、と自分に引き寄せる。
少し開いた唇を重ねて、ゆっくり、舌を、ルカの舌に触れ合わせた。
最初は、皆が下見たら見えちゃうなあと思って、いまいち集中できないと思ってたけど、キスしてる内に、気にならなくなってきて。
「……ん……」
いつも、ルカから激しくされてばかりだから、自分からキスして、ルカが受け身なのは、変な感じ。
……というか。なんか物足りない。
「……ルカ」
キスを離して、ルカを見上げると、ルカが、ん? と笑う。
「……ルカが、してよ」
「……いーけど」
「……けど、何?」
「――――……部屋行くか?」
すり、と頬を撫でられて、見つめられると。
……何だか、ぞく、とした感覚。
ああ、なんかオレ……。
すっかり、そういう感じに……させられてるというか……。
「……行く」
答えると、ルカは、ふーん、と笑った。
ちゅ、とキスされて。
上向いた視線の先に、ミウが居て。
「あ」
あれいつの間に戻ってきてたの。
「ルカ、ストップ……」
ぱっと、ルカから離れると、「は?」とルカが怪訝な顔。
「ミウには見せちゃダメなの」
むぎゅ、とミウを抱っこして、そういうと、ルカは呆れ顔。
「はー。……分かった、じゃあ、部屋でな」
やれやれ、みたいな笑顔で言ってるルカの魔法で、甲板に戻された。
30
お気に入りに追加
4,600
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
R18禁BLゲームの主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成りました⁉
あおい夜
BL
昨日、自分の部屋で眠ったあと目を覚ましたらR18禁BLゲーム“極道は、非情で温かく”の主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成っていた!
弟は兄に溺愛されている為、嫉妬の対象に成るはずが?
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします。……やっぱり狙われちゃう感じ?
み馬
BL
※ 完結しました。お読みくださった方々、誠にありがとうございました!
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、とある加護を受けた8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 独自設定、造語、下ネタあり。出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!
冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。
「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」
前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて……
演技チャラ男攻め×美人人間不信受け
※最終的にはハッピーエンドです
※何かしら地雷のある方にはお勧めしません
※ムーンライトノベルズにも投稿しています
瞳の代償 〜片目を失ったらイケメンたちと同居生活が始まりました〜
Kei
BL
昨年の春から上京して都内の大学に通い一人暮らしを始めた大学2年生の黒崎水樹(男です)。無事試験が終わり夏休みに突入したばかりの頃、水樹は同じ大学に通う親友の斎藤大貴にバンドの地下ライブに誘われる。熱狂的なライブは無事に終了したかに思えたが、……
「え!?そんな物までファンサで投げるの!?」
この物語は何処にでもいる(いや、アイドル並みの可愛さの)男子大学生が流れに流されいつのまにかイケメンの男性たちと同居生活を送る話です。
流血表現がありますが苦手な人はご遠慮ください。また、男性同士の恋愛シーンも含まれます。こちらも苦手な方は今すぐにホームボタンを押して逃げてください。
もし、もしかしたらR18が入る、可能性がないこともないかもしれません。
誤字脱字の指摘ありがとうございます
謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません
柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。
父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。
あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない?
前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。
そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。
「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」
今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。
「おはようミーシャ、今日も元気だね」
あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない?
義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け
9/2以降不定期更新
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる