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第2章

「のほほんが好き?」

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 海の中にもぐって、色んな魚や海藻みたいなのに近づいて観察しながらしばらく探索。
 すごい綺麗だし、珍しくて、めちゃくちゃ楽しい。

 何回目かに上に浮かんで、ルカと顔を見合わせる。

「ね、ルカ、この魚ってさ」
「ん?」
「食べれるの?」
「さあ? あんまり見たことねえけど……」

「アラーン!!」

 ちょうど泳いで船の下に戻ってきていたので、でっかい声でアランを呼んでみる。

「なんか呼んだか―?」
 少しして、ひょっこり顔を出してくれたアランに、これまた大きい声で。

「ここら辺に居る、色んな色の魚って、食べれるのー?」
「基本、魚は大体食べれるぞー」
「そうなんだ」
「でも身がないやつは、食べるとこあんま無いから、とらないけどなー?」
「分かったー!」

 バイバイと手を振って、ルカを見つめる。

「食べれるんだね、あの色の魚」

 でも、食べれるとなると、微妙な気がするのは、慣れてないからかな。
 熱帯魚って食べたことないもんなあ……? でも日本で見たカラフルな魚は小さかったから、そりゃ食べないけど。あんだけでっかいと……でもなんか、おいしそうな気がしないのは何故だろう。ピンクとか紫の魚、食べる気がいまいち……?? ああ、鯛は赤かったっけ。だからまだ赤はいける……? ピンク……。うーん。

 しばらく考えた後、ルカを見つめた。

「やっぱりなんか、食べるより、飼いたいような気がする」
「ん?」

「ちょっと話したけど、向こうには水族館っていうのがあってさ」
「ん」
「海の生き物とか、普通に暮らしてたら、全然見れないから、詳しい人達が捕まえてきて、大きな入れ物を作って、見られるようにしてるの。透明な入れ物だから、中が全部見えてさ、普段見れない水の中の生き物を、皆が見に行くんだよね」
「ああ、言ってたな……それって餌とかもあげるってことだよな? 水も循環させる? 入れっぱなしだと腐るよな……?」
「うん。……て言っても、オレ、見る側だから良くわかんないけど。あんだけいっぱいの水をためられる入れ物をどうやって作るのかとか。水どうやって運ぶのかとか……循環させてるのかな? 分かんないなぁ??」
「……良くソラが言うやつだな」
 くす、とルカが笑う。

「使えるけど、どうやって出来てるかは知らないってやつ」
「うん、ごめんー、なんかこっちに来てみたら、オレ、知らないことがありすぎだなーって思ってる」
「まあ、考えてみたら、オレも一緒だけどな」
「ん?」
「服とかも、どうやって作るかは知らねえし、色んな色がついてるけど、何で色付けてるとかも知らない。酒もよく飲むけど、詳しい作り方は知らねえし」
「……そっか」
 そう言われてみると、こっちの世界でも、そうか。

「だけどお前の世界は、もっと難しい機能のものがたくさんありそうだからな。余計なんだろうな」
「……そうだね、よく考えたら、家にあるもので、オレが作り方とかを知ってるものって……そうそう無かったかも」

 そういうと、ルカは、ぷ、と笑って、オレの頭を撫でる。

「ソラっぽくて良いけどな?」
「オレっぽい……」

「のほほんと生きててくれて」

 むむ。
 確かに、今までのほほんとわりと生きてきたような。


「……もしかして、ルカはのほほんが好きだから、オレのこと気に入ってんの?」
「んー?」

「のほほんが好きなら、向こうの世界の大学生とかには、そういう人結構いると思うけど。まあ色んな人がいるから、のほほんばかりじゃないけどさ。オレの友達はみんな、そんな感じだったよ?」
「ふうん?」
「だったら、ルカは、オレじゃないのほほんが来てても、気に入ったのかもしれないよね」
「――――……」

 何だか突然に、とっても面白くなく感じて、むむ、と思いながら、そうまくしたてたのだけれど。

 きょとんとした珍しい顔をしてだまって聞いてたルカが、少し間を置いてから、自分の顎に触れながら、ふぅん……?と考えている。

 ……何考えてんだろ。
 



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