241 / 299
第2章
「綺麗な海」
しおりを挟むアランも一緒に座って、皆で食べたり飲んだりしばらくしていた時。
「なあもう、飯は良いだろ?」
不意にアランが言った。
「いったんここ片付けてから、飲みたい奴は、甲板で飲も。せっかくいい天気なんだし、ここに居るのもったいなくねえ? 簡単なつまみ出すから」
その言葉に皆すぐ乗って、立ち上がって片付け始める。
オレは膝に乗ってたミウを、椅子の上にぽんと座らせて撫でてから、立ち上がった。
お酒はちょっとしか飲まなかったから、今日のオレは、ばっちり元気。
……いや違う、別に、あれをするために、準備万端なわけではない。そうじゃない。別に。
頭の中で一人で言い訳。
いやいや……。
とりあえず、片付けよ。
お皿を洗ったり、残った食べ物をまた並べ替えて上に運んだり、皆でわいわい楽しく手分けしてやると、アッという間に終わってしまった。
「残った酒、上に運ぶぞ?」
ルカがそう言って、テーブルからお酒を抱えてる。
「うん。全部持てる?」
「そっちのやつ持って、ソラ」
「うん」
ルカの手からはみ出てる分を持って、一緒に階段を上る。
下に居ると分からなかったけれど、もう日が高くて、めちゃくちゃ眩しい。
太陽、真上だ。
波も静か。
さっきまで戦ってた時の、荒れてた光景が、ほんとに嘘みたいな、綺麗な海。
「うわー。ルカー」
「んー?」
「すっごい、綺麗だね」
「ああ……そうだな。こっちが本来だからな」
「うん」
綺麗だなあ……。
酒瓶を抱えたまま、ぼー、と眺めていると、ルカが笑いながら。
「泳ぐか?」
「え?」
「一緒に海、入ってみるか?」
「え、いいの? 食べられちゃうような生き物居ない?」
「オレが一緒に居るから大丈夫だろ」
え、でも。
片づけたら、とか……言ってたけど……。って、別にオレが、どうしてもしたいって思ってるんじゃないけど……。って、オレのこの心の中での言い訳はさっきから何してんだろうと思うのだけど。
「ルカ、良いの……?」
「何が……って、ああ。いいよ、泳いでからで」
すぐに意味が分かったみたいで、クスクス笑いながらルカが言う。
「え、じゃあオレ、こないだの短いのはいてきていい?」
「……まあ、いいか。海入るし」
「いってきまーす」
抱えてたお酒を、アラン達の側に置いて、オレは階段下の部屋に向かって駆け降りる。
確かにあんな綺麗な海に入れるなんて、そんな機会、無いかも。
シュノーケルとかあればいいのに。まあ無いだろうけど。この世界にあったとしても遊びに来たんじゃないからここには持ってきてないと思うけど。
海の中、ちょっと潜ってみよう。
上から見てても、真っ青で綺麗で透き通ってるから、中も見えるんじゃないかなと思う。
「あれ、ミウ?」
ふわふわと飛んできて、オレを見つけると、オレの腕の中に入ってきた。
「何、オレのこと、探してたの?」
可愛いなあ、もう。
抱き締めて、撫でてから、着替えるからちょっと待ってねと言って、ベッドに座らせる。
60
お読みいただき、ありがとうございます♡
楽しんで頂けましたら、ブクマ&感想などよろしくお願いします♡
(好き♡とか短くても嬉しいです♡)
匿名ツールでの感想もお待ちしています💕
↓
【匿名メッセージ送信サービス・マシュマロ】
【WEB拍手👏絵文字とコメントで応援サービス】
楽しんで頂けましたら、ブクマ&感想などよろしくお願いします♡
(好き♡とか短くても嬉しいです♡)
匿名ツールでの感想もお待ちしています💕
↓
【匿名メッセージ送信サービス・マシュマロ】
【WEB拍手👏絵文字とコメントで応援サービス】
お気に入りに追加
4,701
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・話の流れが遅い
・作者が話の進行悩み過ぎてる
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
【完結】守護霊さん、それは余計なお世話です。
N2O
BL
番のことが好きすぎる第二王子(熊の獣人/実は割と可愛い)
×
期間限定で心の声が聞こえるようになった黒髪青年(人間/番/実は割と逞しい)
Special thanks
illustration by 白鯨堂こち
※ご都合主義です。
※素人作品です。温かな目で見ていただけると助かります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした
和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。
そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。
* 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵
* 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる