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第2章
「すごいのは」
しおりを挟む皆の所に戻ると、待ってましたーとばかりに、お酒をグラスに注ぎだす。
アランが先におつまみぽいものを作ってたみたいで、それも出てきたから大喜び。
朝なんですけどねー、まだ。
ほんと、自由でいいなあ。楽しそうだ。
クスクス笑いながら皆を見てたら、アランに手招きされた。
「ソラ、手伝って」
「うん」
アランの隣に並んで立ちながら、すでに飲み始めた皆を振り返る。
「ここの人達って、いっつもこんな感じなの?」
「こんなって?」
「んー……飲むの大好き? 飲み会……宴? 大好きって感じ?」
「まあそうだな。……ソラんとこは違うのか?」
んー……。違うってわけじゃ無いんだけど。
「飲むのが好きな人はいっぱい居ると思うけど、朝からワイワイ飲んでるとかはあんまりないかなあ……?」
お正月とか、そんな時、位なイメージだな。
「ルカ達が特別なのか、皆もそうなのかなーって」
「まあ……皆もそうかな?」
「あ、そうなんだ」
そっかそっか、まあそんな気はしてた。
クスクス笑ってると、アランが、これ焼いといてとお肉を渡してくる。
フライパンでジュージュー焼きながら、良い匂い~とホクホクしていると、アランが、また笑う。
「ん?」
「ソラってさ、どっかから、来たんだろ?」
「うん」
「突然、全然違うところに来たんだろ?」
「うん」
「そんな顔してるけど、強いよな」
「……そんな顔って……」
苦笑しながら、アランを見つめると、またクスクス笑って、だってさ、と続ける。
「今まで生きてたとこじゃないとこに、意味も分からないで来ててさ、戦ったこともないような魔物とかも居るとこで笑ってられるのは、すごいと思うんだよね」
そう言いながら、「これ適当にかけて」と、塩を渡される。
お肉に塩を振りかけながら、まあ確かに、と少し考える。
「……でもそれはオレがすごいんじゃないと思う」
「ん?」
「この世界に来た瞬間から、ルカ達が居たんだよね」
落ちた時のことを思い出すと、なんだか笑ってしまう。
「ルカ達が魔王と戦ってる真っただ中に落ちてさ。それからずっと、一緒に居てくれてたから……ルカ達が居なかったら、無事にあそこを出られたかもちょっと分かんない……ていうか、無理だったかも……」
「……何でそもそもそんなとこに落ちてきたの?」
「分かんないよー」
「そん時、ソラは自分のとこで何をしてたんだ?」
「何って……」
……ルカ達が出てる、ゲーム……。
魔王と最後の戦いしてて。あと少しで、倒せるところだった。
「あ、肉もういいよ、その皿に置いてくれる?」
「うん」
お肉を並べながら、うーん、と考える。
何してたって……。
ルカ達のゲームをしてた時に、白い光に包まれて、そのゲームとおんなじような画面のルカ達の世界に。
……何で来たか??? 分かんない。
やっぱりオレは、ゲームの世界に、入っちゃったってことなのかな。
アランがオレを見て、クスクス笑い出す。
「ごめん、そんな悩むなら考えなくていいよ」
「ん」
「ソラ、今の肉の油でさ、この野菜適当に切って、炒めてみな。うまいから」
「はーい」
アランから野菜を受け取って、包丁で切っていく。
ほうれん草みたいな感じかなあ。おいしそう。
ご機嫌で炒めながら、楽しそうな皆を振り返りつつ。
改めて、自分があの時していたことを思い出してみたりする。
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