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第2章
守る*ルカside 3/3
しおりを挟む「……まあなんか、これに慣れてるオレは居るけど」
腕の中のソラが、不満げな声でそんなことを言ってて、笑ってしまう。
「……もう起きた方がいいのかなぁ……?」
「――――……どうだろな。まだ物音はしねえけど」
「朝ごはん作んないと……」
「――――……そうだな」
ふ、と笑みがこぼれる。
「ソラのエプロン姿――――……」
「ん?」
「いいかも」
言った瞬間、腕の中で強張ってるのが分かる。
「なんか一生懸命頑張ろうってしてるの見ると……」
「…………」
「乱したくなるよな?」
「……っ変態」
強張ってるのが分かりながらわざと言うと、ものすごく嫌そうな声が聞こえてきた。聞こえたと同時に、こらえきれずにクッと笑い出すと。
「ルカって、絶対、わざと言ってるよね……」
「ん?」
「オレが、嫌がりそうなこと」
「――――……そうだな……」
クックッと笑いながら、ソラの脇に手を入れて、ひょい、と自分の目の前に引っ張り上げた。
「ソラ、可愛いからつい……」
笑いながら言うと、からかわれてると思ってるのか、ソラがまたムッとした顔でオレを少し睨む。なんとなく、軽いキスをしながら。
「本気だけど?」
そう言ってみるけど。
「……今は絶対嘘」
「何だ、今はって?」
面白くて、笑ってしまう。
本気で可愛いって言ってる時もあるって、分かってるってことか。
「……ちょ……ん、ン――――……」
気配を悟ったのか、抵抗しようとした頭を押さえて引き寄せて、深くキス、し始めた瞬間だった。
「ソラ、起きてる? そろそろ準備しよ」
ノックとともに聞こえたアランの声。
「っ今っ行く!!」
がば、と離されて、大きな声で返事をしている。
「おはよー。先行ってるから、準備できたら来いよ」
「うん、すぐ行く!」
……ち。と、思ってると、ソラがオレを振り返って。じっと見つめてくる。
「――――……」
何を思ったか、近づいてきて。
そっと、触れるだけのキスが、重なって、すぐ離れた。
「ご飯作ってくるね」
言って、ふ、とほほ笑む。
とっさに引き留めたくなるけど――――……ソラが頑張ろうとしてるコレは邪魔しない、と仕方なく、我慢する。
「……なんかあっついスープが飲みたい」
服を片付けてあるところに立って、服を着始めたソラに言うと。
「ん、分かった~」
と、何だかすごく笑顔になってる。
楽しそ……。どうしたってこっちまで顔が綻ぶ。
「じゃあ、いってきまーす」
オレを振り返ってそう言うので、手をあげると、バイバイと手を振って、ドアの向こうに消えていった。
――――……そもそもこんなやりとりも。あんましたことねぇな。
誰かと泊まるとかも、無いしな……。
なんだかやたら穏やかな気分。
得体のしれないものを倒しにきたところで感じる気分じゃねえよな……。
と、可笑しくなる。
ベッドから足をおろして、靴を履いて、着替えを済ませる。
早く倒して――――……早く、地上に戻ろう。
ソラの事、調べて。ずっと、このまま居れるようにできたらいいけどな……。
色々考えながら部屋を出ると、ちょうどゴウとキースとかち合った。
「おう、よく寝たか? ルカ」
「ああ。結構早く寝た」
「ソラも?」
「オレより早くぐっすり寝てるし」
言うと二人がクスクス笑う。
「ソラはご飯作りに行った?」
「ああ。なんかウキウキしてたけど」
「はは。可愛いよね、なんか」
キースが笑いながらそんな風に言う。ゴウも珍しく、「見てると笑っちまうけど」とか、言いながら、優しい表情を浮かべている。
「――――……そーだな」
特に何も反論なく、そう言うと、二人はオレを見て、また笑い出す。
「オレは最近ルカも可愛いと思う」
「オレも」
キースとゴウのその発言には頷けず、「は?」と眉を顰めると。
「……まあまあ、二人とも可愛いってことでね」
「だな」
なんて言いながら、二人は、キッチンのある部屋に入っていった。
心外、なんて思いながら、ふ、と息をついていると。
「あ、ルカ、おっはよー」
後ろから、リアの声。振り返ると、リアとミウが居て、顔が合った途端、ミウがすー、と飛んできて、オレの腕の中にハマる。
リアが、ぷ、と吹き出してる。
「もー、朝から、可愛いなあ……」
クスクス笑いながら、オレを追い越して、部屋に入っていく。
「お前なんなの……」
絶対オレにはミウ、似合わないと思うのに。
……ソラには、すげえ似合うけど。
はー、とため息をつきつつ、ふわ、と浮かべさせると、オレのすぐ横でふわふわ浮いて、オレを見る。
「……何でお前はソラに懐いたんだろうな――――…… 知ってたのか? ソラのこと」
思わず呟いて、ミウに言うけれど、答えがある訳もなく。
ミュ?と首を傾げてるミウに苦笑いしつつ。
オレも部屋に入った。
(2022/9/22)
ルカside終了♡
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