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第2章
守る*ルカside 1
しおりを挟む……寝にくい。
抱いてすぐ、余韻も何もなく、大変だよねとか言われて、早く寝よう、と無理やり頭を抱かれた。
ぎゅう、と抱きしめられて。
なんだか可笑しくて笑ってしまった。
色気ないのもなんかソラっぽいし。
まあいっかとソラの背を抱いて、少し目を閉じていたら、すぐに寝息が聞こえてきた。それでも、そののまま、ぎゅっと抱き締められている。
こうやって、頭抱えられて寝るのは、そんなに寝心地が良いものではねえな。そう思うが。
なんだかソラが愛おしくて、しばらくそのまま動かずに、目を閉じていた。
オレの方が頭を抱えられるなんて、今まで一度もない。
抱く相手を、必ずしも完全に信用してないというか、信用しないようにしていたから、視界が遮られるこんな抱えられ方。された瞬間に、解いたと思う。今までの相手なら。
まあ、オレを抱えようなんて女は、そもそも居なかったけど。居たとしても、そんな風にされたままなんて絶対無かったはず。
なのにさっき、オレを抱き締めたソラの手を、これっぼっちも離そうとは思わなかった。
「――――……」
そっと、ソラの手を離して、ゆっくりと、その腕の中から起き上がる。
体を起こして、隣で寝ているソラの髪の毛に触れる。
起こさないように優しく触れて、撫でる。
なんか。空に心配させてるみたいだな……。
ふ、と微笑んでしまう。
確かに今回の魔物は、魔法があんまり効かず、打撃もそのままでは効かない、厄介な魔物の類。あれが一体何体いるのか。半日海に居て二体だから、そこまでは多くはないのかもしれないが、まあ多少厄介ではある。
でも、あれくらいなら何とでもなるし、そんなに心配もしていないが、あれの親玉みたいなのが居て、そいつも魔力も打撃も効かず強いとなると、かなり厄介かもな……。
それで、あの小さいのを、戦いながらもしも生み出すことが可能とかなったら。
どう戦うべきか……。
そう考えるけれど、確かじゃないことも多いし、結局行き当たりばったり、対峙してから戦い方を考えるしかない。
ただ、攻撃が効きにくい、というのは考えていた方が、良さそうだが……。
「……る か……」
眠ったまま、オレの名前を呼ぶ。
さっきまでオレを抱えていた手がなんだかもぞもぞ動いている。
なんとなく手を伸ばして、その手に触れると、きゅ、と握り締められた。
柄にもなく、なんだか……かなりくすぐったい気持ちになる。
「……ソラ」
小さく呼んで、ソラの顔の横に手をつくと、ぎし、とベッドが軋む。
ゆっくり近づいて、そっとキスする。
……柔らかい、唇。
ペロ、と舌でなめると、オレの手を握りしめている手がぴくん、と動いた。
「……ン…………」
少し、唇が開く。
舌を入れて、ソラの舌に触れる。
「……ん、ン…………」
緩い、喘ぎ声。
……は。すっげー、可愛いな……。
しばらく、優しく、舌で触れてから。
欲情しそうで、このまま起こしてもう一回?とも一瞬思ったけれど。
心配したまま、うとうと可愛く眠りについてソラのことを思い出して、今日はやめることにした。
ゆっくり離して、ソラの前髪を上げさせて、額にキスする。
……何してんだか、オレ。
寝てる相手に、こんなこと、し続けてるとか。
ソラにしか、したことねぇんだよな……。
スヤスヤ寝てる無邪気な顔。
起きてると、意地っ張りで、可愛くない時も多々あって。
しかも男だし。……興味持ったことすら、初めてだしな。
何で、こんなのが、こんなに愛しいんだか。
何度か不思議に思うことを、またそう思うけれど。
ソラを見てると、ふ、と、顔がほころぶのは、確かで。
そんな人間。初めてだ。
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