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第2章

「指定席?」

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「わあ、めちゃくちゃ良い香り!」

 リアが下りてきて、嬉しそうに声をあげる。


「ミウが空から下りてきたから連れてきたよ~」

 抱っこしていたミウをふわふわ浮かせる。
 すると、ミウは、オレの頭の近くまでふわふわ飛んでくる。


「あ、ミウ、まだ作ってるから待っててね」

 そう言うと、ミウはオレを見て、みゃ、と声を出す。
 そのままふわふわーと飛んで行って、ルカの腕の所にすぽ、と収まった。

 リアとアランとオレ、同時に吹き出してしまった。

「ちょっとルカ……似合うような、似合わないような」

 リアがクスクス笑って言うと、ルカが「似合ってたまるか」と苦笑いを浮かべる。

「何お前、当然のようにここに収まってくんの」

 くる、と持ちあげて、ミウの顔を正面からのぞき込んでる。

「なんか最近えさあげたりしてたり、ちょっと仲良しだよね……」

 オレが言うと、ルカとミウが、一緒にオレに視線を向けてくる。

「やめて、一緒にこっち見ないで、今よそってるのに、こぼしちゃう」

 笑って、手がプルプルしてしまう。

「ソラ、気を付けろよ、熱いんだから」
「だって、ルカとミウが」

 アランに言われて、オレがそう言いながらプルプルしていると。

「もう出来る?」

 笑いながら息をついたルカがアランに向けてそう言いながら、ミウを、ひょい、と自分の側に浮かす。

「出来るよ」
「じゃあ、上二人呼んでくっか」

 ルカがミウにそう言うと、ミウも、歩き出そうとしたルカの後ろを飛び始める。そこで一回ルカが止まって、アランを振り返る。

「アラン、いいんだよな? 看板に誰も居なくても」
「大丈夫。まっすぐ沖に進んでるから。さっきみたいに船にぶつかってきたら倒しに行ってよ」
「了解。ほら行くぞ」

 その声に応じて、ミウがフワフワとルカの後をついていく。


「――――……おっかしー」

 リアがそう言って、楽しそうに笑い出す。

「ミウ、ソラに張り付いてるけど、でもなんだかんだ、ルカにも懐いてきてるよねぇ」
「そだね」

 オレも、やっぱりクスクス笑ってしまう。

「ソラとミウが一緒にいると可愛いんだけど……ルカと居ると、なんか笑っちゃうね」

 リアの言葉に頷くと。

「ルカって、聞いてた話と、イメージが全然違うんだよな」

 と、アランが笑った。

「噂って当てになんねえんだろうな?」

 そう言って笑ってるアランに、リアとオレは顔を見合わせて、それからアランに視線をを戻す。

「どんな噂だった?」
「遊び人」

 はは、と笑ってしまう。

「それだけなの?」
「もちろん、皆感謝してるから。王子としての評判は、言うまでもないだろ」
「……そうなんだ」

 ああでも、それは、分かる気がする。
 ずっと、皆がルカを見る目を、態度を、見てきたから。

「モテるし、適当に遊ぶけど、本気にはならないって聞いた。いずれ王になるし、王妃を探してるんじゃねーのって聞いた事もある」

 王妃。かあ。なんか、その話したなあ……。
 ……一緒に居るのはオレでいいようなこと……なんか言ってたような。

 ……居られるのかな、オレ。
 ふ、とそう浮かんで、少し黙っていたら、アランはまた笑い出した。

「……本気にはならないとか、誰が言ってたんだろうな? すげえ本気だよな? オレ、ちょっと触るとすげー怒られるし」

 アランがオレをみてニヤニヤしながらそう言うと、ふふ、とリアが笑い出した。

「ソラに会うまでは、それであってたかも。王妃をとかは考えてたか分かんないけど。本気になってるのは、見た事なかったな」


「ああ、じゃあ噂はあってた?」
「うん。あってたよ」

「ふーん、そっか。……あ、ソラ、この肉そっちのせて」
「うん」

 アランに言われるままお皿に並べていく。


「……最近ルカ、可愛くて笑っちゃう」

 リアがクスクス笑いながら、オレに向かってそう言う。

「ソラが来るまではさ、ほんと、ルカが可愛いなんて、思ったことないから」
「可愛いかなあ? ルカ」

 可愛い?
 ……うーん。どうだろう。

「可愛いよー、最近。なんか、笑っちゃうもん。最近ちょっとだけ年下に見えてきた」
「そうなんだ……」

 リアの言葉に、んー、と少し考える。

 ……まあ確かに、ミウと向かいあってるのは、可愛い気がしないこともない。
 ふ、と笑んでしまったところで、ルカとミウに連れられて、ゴウとキースも降りてきた。
 テーブルに広げた料理に、二人がぱっと嬉しそうな顔をする。

「うまそー」
「二人ともお疲れ、ありがと」

 ゴウとキースが言いながら近づいてくる。

「適当に座っていーよ」

 アランが言うと、皆テーブルの周りの椅子に腰かけていく。


「いつ戦うか分かんないから、酒は禁止な」

 アランが言うと、皆すごい嫌そうな顔。

 ……何で皆、そんなにお酒強いんだろ。すごい飲んでるからかな??

 オレが皆みたいに飲んだら、絶対倒れる。


 エプロンを外して、カウンターの上に置いて、どこに座ろうかなと思ったけど。ルカの横が空いてて、ミウがそこらでフワフワ浮いてる。



 もうなんか、そこに座るの決定な気がする。
 






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