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第2章
「やる気」
しおりを挟むジェイに、色々教わるのは、すごく楽しかった。
なんか、こっちの世界にしかない食べ物もたくさんあって、味見したり、調理の仕方を教わったり。いっぱいあって覚えきれなくなってきた頃、「基本は焼くと煮るさえ覚えとけば良いだろ」と、かなり大雑把なアドバイスももらった。
確かに。そうだな。それでいいや。
うんうん。
それで頷いてたら、アクセサリー屋から戻ってきてから、オレとジェイが色々やってるとこを見学してたルカが、呆れたように笑い出した。
「何だ、それ。ソラ、ちゃんと覚えろよ」
「いーじゃん、全部なんて無理」
「お前なあ……」
苦笑いのルカに、ジェイも笑う。
「ソラの顔がどんどん険しくなってくから、ここらにしとく。アランに聞きながら、実地で覚えろ」
「はーい」
「あ、でも調味料だけ説明しとくか」
「うん」
色んな調味料の味とか使い方とかを更に説明されている所に、リアとゴウがやって来た。
「お、ソラ、勉強中か」
ゴウが近づいてきて、そう言って笑う。
「うん。一応」
「船の間のご飯、ソラなんだもんね~頑張って~」
「うん」
にっこり笑って頷いてると、そこにキースも入ってきた。
「店の方に居ないから、まだなのかと思った。ソラ、教わってるとこ?」
「うん」
頷くと、ジェイがオレを見つめて、笑う。
「まあでももう終わりにしよっか。飯食ってから行くんだろ?」
「まあそうだな。店行くか」
ルカの言葉に、皆がそれぞれ頷いて、店の方に向かって歩き出す。
「ああ、アランの分、適当に包んでくれ。持ってくから」
ルカが振り返って、そう言うと、ジェイは頷いた。
「店で、何か選んで、持って帰りたいって注文すれば大丈夫。アランはまだ何かしてんの?」
「船の最終チェック」
「そっか。いよいよだな」
ジェイは、少し背を伸ばして、腰に手を置いた。
「――――……気を付けてな」
皆の顔を見て、ジェイが言うと、皆、笑顔で頷いてる。
「オレらの海のことだし、本当はオレらがやらなきゃいけないんだろうけど」
ジェイの言葉に、ルカが「戦うとか、無理だろ」と少し呆れたように笑う。
「こういうのは、出来る奴がやればいいだろ。倒してくるから、お前らはその後、漁を頑張れよ。そっちはオレらには出来ねーし」
ふ、と笑うルカに、ジェイも、笑って頷いてる。
――――……ああ、なんか。……カッコいいな、ルカも。
その横で笑ってる皆も。
よし、オレも、手助けになるように頑張ろ。
誰にも見えないけど、気分はすっかり、ごおお、と炎を出してる気分で燃えていると。
「とりあえず食事済ませてくる。行くぞ、ソラも……って、何面白ぇ顔してんの?」
ルカがクックッと笑って、オレの頭をポンポン、と撫でる。
「面白いんじゃなくて、やる気になってたんだよっ」
「ああそーなのか?」
面白そうに笑いながら、まだよしよしと、撫でてくる。
「もー、さわんなー」
やっぱりさっきのカッコいいとかなし。
からかってばっか。もう!
「お前、ほんと面白ぇな?」
しつこく笑いながらオレをからかって撫でるルカと、嫌がるオレとで、わあわあ騒ぎながら、店に移動することになった。
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