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第2章

「出航準備」

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 朝食を終えて、ジークに調味料のセットを貰い、ざっと説明される。
 それをしっかり持たされて、ミウを抱っこ。リアの周りに皆で集まった。

 ジークとレジーが、オレ達を見送る。

「お気をつけて」
「ああ。行ってくる」

 レジーの言葉にルカが頷くと、リアが移動魔法の呪文を唱えて、いつもの光に包まれる。ふわりと体が浮いて、オレがミウをぎゅっと抱き締めると、オレの背中にルカが手を置いてくる。

 光の中を浮いてる感じがなくなって、ふっと気づくと、シャオの町。アラン達の町の入り口についていた。


「とりあえず、アランのとこ行くぞ」
「うん」

 町に入って、アラン達が船を修理している地下へつながる階段を、下りていく。


「アラン」

 ルカが呼ぶと、「おー」と声だけが響いてきた。

「船ン中。入ってきてー」

 アランの声がする方へ歩いて、中に進むと。


「おかえり。どーだった、城は」

 腕まくりをしたアランが、笑顔で近づいてくる。
 こーして見ると、なんか、アランがめちゃくちゃモテるっていうのが分かる気がする。 チャラチャラしてるけど、結構鍛えてるみたいで逞しいし、顔も、やっぱり良いしな。まあ。ここの人達、皆、顔良い気がするけど……。

「変わらずだった」
 ルカの言葉に、アランは、二ッと笑う。

「何よりだな」
「まーな。――――……船、どうだ?」
「最終調整中と片付け中。昼過ぎには出れる。今日出るだろ?」
「ああ」

「じゃあ今のうちに、準備しとけよ」
「分かった。手伝うことは?」
「無い。ああ、そうだ、寝る部屋基本個室だけど、ルカとソラは一緒でいいのか?」

 ………なんか、めちゃくちゃ恥ずかしい質問なんですけど……。
 いくら皆が平然と聞いてて、誰も今更、そんな事で何も言ってこなくても。

「つか、それ当たり前だろ」

 と言ってるルカの返事も、だよな、と言ってるアランの返事も、やっぱり恥ずかしい。

「まあ別にソラはオレの部屋でもいいよ?」

 クスクス笑うアランを、ルカが睨む。

「もー、オレ、ルカのその反応が面白すぎて、やめらんないんだけど」

「そろそろ、攻撃するけど」
「それは無理」

 アランの苦笑いに、ルカもため息をついて。
 
「――――……じゃあそれぞれ準備して、ジェイの店で集合にするか」

 ルカの言葉に、会話を聞いてた皆が、笑って頷く。

「アラン、飯は?」
「あー。何か持ってきてくれる? 船を出したら、食べる」

「分かった。あと、出航してからの食事は?」
「ジェイに頼んで、色々運び込んで貰うことになってる」
「作ったりとかは、ソラもできると思う」

 ルカの言葉にアランがオレを見つめる。
 頑張る、と頷くと、アランもニッと笑って頷いた。

「オレ、船の事に集中したい時もあるから、料理してくれんのは助かる。結構任せられる?」
「うん。とりあえず今からジェイのとこ行ってくるね」

 オレが言うと、アランは「ん、頼んだ」と笑う。
 何だか嬉しくなって頷くと、横でルカが、ふ、と笑ってから。

「じゃあ、後でな。――――……ソラ、ジェイんとこ行く前に、お前の服買う」
「ん? 服?」
「ちょっと足りねえかもだから、行こうぜ」
「あ、うん」

「じゃあな、アラン。頼んだ」
「おー。昼飯頼んだ」
「ああ」

 アランと別れて皆で地上に出た所で立ち止まると、ルカが三人に「お前らどーする?」と聞いた。

 皆は必要なものをそれぞれ買い物に行くと言うので、一旦別れて、オレはルカと一緒に服の店に向かって歩き出した。


「何でオレの服?」
「船の上、結構暑いからな。上下とも、もっと涼しそうなの買っとこうぜ」
「あ、うん」

 服のお店に入って、店員に涼しい物をと、ルカが頼んでる。
 この台の上ですと案内されて、あとは、サイズと色で選ぶだけ。

「どれくらい?」
「上下、3着位あればいいよ」

 言われて、服を持ち上げてみると。
 薄いノースリーブのTシャツみたいな感じの服。もっと、なんか、サラサラして、柔らかい、かなあ。

「この生地、気持ちいいね」
「――――……」

「何色がいいかな。ズボンは短い方が涼しそう……?」

 選び始めた所で、ルカがオレの手を掴んだ。


「ん? 何?」

「それ、下短いのやっぱやめろ」
「え?」

「こっちの少し長めのにしとけ」
「だって暑いんじゃないの?」

 ルカの言う、「短い」は日本で言うショートパンツみたいなので、「長め」は膝上位の長さ。

「オレは別にどっちでもいいけど……こっち?」

 長めの方を自分に当てて見せると、ルカは、そっち、と頷く。


「短い方が涼しそうなのに」

「――――……短いの、お前がはくとエロいからダメ」

「――――……」


 恥ずかしい発言にびっくりして、は?と、ルカを見上げてしまう。


「オレの前だけではくなら買うけど。皆の前ではくなら、長い方」

「――――……短いのはいても、誰も気にしないと思うのだけど……」

「絶対ダメだ」


 絶対、ルカ以外、誰も気にしないのに。


 ていうか。
 ルカは、オレが短いズボンはいてると、エロいって思うの??


 うーん……。
 ……意味が分からない。


 上は3枚。下は、長めのを3枚と、短いのを一応ってことで1枚買う事になった。

 何で1枚買ったかと言うと、ルカがオレの前でだけならいいとか、言って、持たせたから。



 うーんうーん……。
 ……マジで、意味わかんない。
 





 

 

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