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第2章

「心を読むとか?」

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「ルカ」

 振り返ると、楽しそうなルカの笑顔。

「ルカ、酔ってる?」
「んー、結構飲まされてるけどな。酔ってはない」

 ルカが隣に座ると、キースが立ち上がった。

「オレも、もう一度向こう行ってくる」
「うん」

 キースが、ふ、と笑んで言うので、頷いて、その後ろ姿を見送りながら。

「ルカはいいの、皆のとこ居なくて」
「ソラを補給」

 肩を抱かれたまま。超至近距離でルカが笑う。

「補給……」

 なかなか、言われないよな。男は。
 って、オレ、女の子にも言った事ないけどね。

 ソラを補給、とか。補給って何……。
 悩んでると、視線に気づいて、ふとルカを見上げると。
 なんかすごーく、楽しそうな顔でオレを見ている。

「お前の顔ってさ」
「……うん」

「見れば見るほど、可愛く見えてくる」
「――――……」

 んー。……うん。
 ルカって、目がどうかしてるんだと思う。

「オレ、男に可愛いって言われた事、自慢じゃないけど、無いよ?」

 そう言うと。ルカは、クッと笑い出して。

「自慢ではないな。……つか、まあ、男だから可愛いとは普通言われないだろうけど」
「――――……ルカの目がおかしいんじゃない?」
「そう思うか?」
「うん、思う」

「――――……目がおかしいのか」

 とか言って、なんか考えてるし。
 ちょっと吹き出してしまう。

「まじめに考えないでよ」

 言うと、ルカも、クッと可笑しそうに笑う。

「――――……そういやさ」
「うん?」

「オレの事はどう見てんの?」
「――――……」

「オレの顔。お前にはどう見えてんの?」
「…………」

 えーと。
 どう見えて……。

 イケメンではあるけど。
 ――――……確か、ゲームのキャラデザインで見た時は、うわー。なんか強気なイケメン……。王子でドSで? ひー、苦手。

 ――――……とか。思ったっけ……。あれでも。これはルカに言ったらだめなやつだな……。なんて思ってたら。

 ぶに、と頬をつままれて、ルカの方を向かされた。
 
「……お前今、言えないような事、思ってたろ」
「えっ。そ、そ、んなこと、無いよ」

「――――……」

 何で、どもるかな、オレ。
 ルカは、ふうーーん、とニヤニヤして。


「……何思ったか、言ってみな?」

 そんな風に聞かれて。

「えっと。 ルカって……すっごく、カッコいいなーって」

 ああ、オレ。絶対棒読み。
 いや、カッコいいとは思ってるよ。
 ズルいと思う位、カッコいいと。

 でも。さっき思ってた事を言わないようにって思うと、何故か、棒読みに。
 ああ、怒られる。

 と思ったら。ルカは、ぶ、と吹き出して。

「もう、お前、いいよ。何も言わなくて」

 そのまま引き寄せられて、キスされる。

「……っ……ん、……?」

 キスされながら、じっと見つめられて。
 ドキ、と胸が震える。


「……ン……?」

 何で見てんの。
 ――――……目を閉じれずに、見上げてると。

 キスを離して、頬に触れたまま、ふ、と笑む。
 
  
「――――……ソラは下手に喋らない方が、素直だよな」
「…………」

 ここの人達って、皆、心を読むとか???
 やっぱり、あんまり文明に頼ってないと、研ぎ澄まされて……。

「ほんと、全部顔に出るっつーか……お前ほど分かりやすい奴、居ないよな」
「――――……」

 あれ?
 顔に??


「近くで見つめると、ドキドキする?だろ?」
「……」
「てことはオレの顔、好きだろ?」
「………………好きじゃないし」

 悔しいから、そう言うけど。

「分かりやす……」

 クスクス笑うルカに、ぐりぐりと頭を撫でられてしまう。




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