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第2章

「宝物?」

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「……なんか、思ってたのとちがーう」

 そう言ったら、ルカはおかしそうに笑いながら、オレにぽい、と何かを投げた。

「なにこれ?」
「魔物の爪」

「えええ、宝なの?」
「さあ。 まあここには、色んなとこから、珍しい物が集まってくるから」

 多分ここらへんの、指輪とかも宝なんだろうけど。
 なんか、こう……綺麗じゃないんだよねー。
 日本のアクセサリーは、綺麗だったなあ。

「このいっぱいある石は、何?」
「鉱石。工程守って磨けば、宝石になるぞ。頑張ってみる?」

「ううん。良いや……」

 くす、と笑ってルカは鉱石を箱に戻す。

「ソラは何を求めてたんだ?」
「なんかこう……豪華でキレイなもの?」

「ああ。何か分かった。珍しい物が集まってくるところだから、綺麗なものは少ないんだよな。でもどっかにあるはず」

 言いながらルカが別の箱を覗いてる。


「ふーん……あ、うちわだ」

 箱の上に大きなうちわが乗ってる。
 天狗のうちわみたい。でっかー!

「なんでこんなにデカいの? 誰が使うの?」
「え?」

 言いながら、扇ごうとした瞬間。振り返ったルカに、叩き落された。

「いっ……いった、手、痛い、ルカ!!」
「――――……あぶねー……」

「あぶねーじゃないよ! めっちゃ痛いー」

 今絶対本気でオレの手、叩いたー!
 ひりひりする手首をスリスリしてると、ルカは、はー、と深く息を吐いて。

「見てろ、ソラ」
「なんだよ! 痛いんだよっ!」

「いーから、見てろ」
「…………っ」

 まずごめんだろー!!

 そう思いながらも。ルカがさっきの箱から鉱石を1つ、床に置くのを首を傾げながら見てしまう。

 何してんの??


「――――……」

 ルカが、ほんの軽ーく、そのうちわで、その鉱石を、そよ、と扇いだ瞬間。


「え」

 鉱石がものすごい一瞬でぶっ飛んで行って、壁に当たって。
 ていうかオレには見えなかったから、オレが確認できたのは、壁に当たって粉々になったところだった。


「……え、なに――――……」
「これ、魔物の扇。倒したんだけど、まだ魔力が消えねえみたいで、ものすごい風を起こす。お前、顔扇いでたら、ふっとんでたぞ」

 ぞっとして、思い切り強張ってしまう。

「そんな危険な物剥き出しで置いとかないでよう……」
「ここ、そもそも、オレとレジーしか入らないから。あぶねー、油断してた。危険な物だけ、隔離しとく」

 言いながら、ルカがいくつか持って行って、奥のデカい箱に全て詰め込んだ。

「これで良いぞ。あとは触っても大丈夫。つか、さすがだなー。一番危険なものに即、触るとか」

 ルカは苦笑いで言うけど。
 そんなの知るかーっ!

 あー、でも、さっき、ルカが止めてくれなかったら、オレ、さっきのうちわで吹き飛ばされて……。
 ひー、こわ。

 ルカが近づいてきたと思ったら、手首を掴まれる。


「赤くなってる」
「……痛かったし」
「悪かったな、驚きすぎて、加減無理だった」

 すりすりと、赤くなった所を指で撫でながら、ルカが苦笑い。

「いいよ。ていうか、ありがと……痛かったけど」
 最後、苦笑しながらルカを見上げると。
 ちゅ、とキスされる。


「は。……焦った」


 しみじみ言われて、ルカを見上げた。

 
 まあ確かに。オレが思い切り扇ごうとしてたのを見た時のルカの気持ちを思うと。相当びっくりしたんだろうなーと。笑ってしまうけど。


「お前、笑い事じゃねーぞ」
「だって」

「ほんとなんか、色んな意味で目が離せねーな……」


 苦笑いで言いながら、ルカがオレの頬を摘まむ。



 
 
 
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