【ドS勇者vsオレ】オレ様勇者に執着&溺愛されてるけど、ドSだから大変✨奨励賞受賞

悠里

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第2章

番外編◆バレンタインss 4

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「と、とにかく、オレ、裏で待ってるから、ちょっとしたら、来てね」
「ああ」

 ルカが頷くのを確認して、オレはダッシュでそこを離れた。


 つか。今の好きな人発言。恥ずかしかった……。
 逆に何も考えないで言ってしまったから余計に恥ずかしい。

 店の裏は、良い感じで、校舎裏みたい。
 いいなあ、これ。
 オレが告白されたのも、こんなとこだったかも。
 良い思い出。

 ……そして、なぜオレは、こんな知らない世界で、男を呼び出して、
 バレンタインなどをしなくてはいけないんだろうと、ちらっとは思う。
 しかも、まったくバレンタインデーでもない日に……。

 しかもなんか、ルカが来るのを、ちょっとドキドキしながら待つとか。
 意味が分からない。

 でもまあ。……いっか。
 ――――……喜んでくれれば、嬉しいし。


 そこに。
 ……イケメン王子、登場。

 ちょっと学ランとか、着てほしい感じだなあ、ルカ。
 って少女漫画か。オレ、完全に、女子側じゃん。


「来たぞ」

 ……うん。偉そうだなあルカ。
 とても、少女漫画のノリじゃないや。ちょっと可笑しくなってきてしまう。


「……ルカには、これ、あげる」
「――――……」

 箱に、でっかいハート型のチョコクッキー。
 チョコが無いからクッキーだけど、もう、王道のハート型。 

「――――……特別なのか? これ」
「これね、形に意味があって」
「ん」
「ハートって形なんだけど。ハートってね、「心臓」の形から来てるの。「心」とか。大事でしょ? それを、あげるっていう、意味だから――――……とっても、特別、なんだけど……」

「――――……これ、ソラの心臓なの?」

「……えーと…………」

 んんん。何か、違う……。

「心とか……気持ち……とか?」
「とにかく、ソラの大事なとこ?」

「――――……うん。そう、かな」

「ふーーーーん……食べちまって、いいのか?」
「――――……? 食べないの?」

「無くなるじゃんか」
「――――……」

 無くなる?
 ――――……心が? 食べたら、 無くなっちゃうから?


「なんか割るのも嫌だけど」

 ……何、その心配。
 めちゃくちゃ――――……。


「――――……」

 ハートのクッキーを見つめて、んー、と考えてるらしいルカに。
 
 ルカの服を掴んで引っ張って。
 少し近づいた唇に、そっと、キスした。

「――――……ソラ?」

 ふ、と笑顔でルカがオレを見下ろす。


「……食べていいよ。ていうか、食べてよ」

 ――――……なんかもう……ルカ、可愛いんだけど。 


 ハートの形とか意味とか知ってたら当たり前の形だから、誰もそこ、食べていいのとか、何も言わないだろうし。

 知らないからこそだとは、思うんだけど――――……。


 大事だから食べていいのとか。
 急に可愛い事言うから、つい、キスしちゃったじゃんか。


 オレを見下ろして、じっと見つめていたルカは。クッキーを持ってない方の腕で、ぐい、とオレを腕の中に引き込んで。


「――――……後で食う」

 言って、オレにキスしてきた。


「――――……ソラ……」
「……?」


「……特別って事で、許してやるよ」


 唇の間で囁いて、オレがうん、と頷いて笑うと。


「朝までするってのは許してやるけど」
「え」

「……でも、するけどな」
「――――……いつもじゃん」

 もー、と思わず膨らんでしまうと。
 ルカは、クッと笑って。


「いつもだな」

 笑いながら、唇を重ねてくる。
 舌先が触れてくるから、オレからも応えて触れさせると、すぐに深く絡んでくる。


 その時。


「おいって、押すなって」
「ゴウ、しーっ」


 ――――……何やら背後から声がする。
 キスを解いて、パッと振り返ると。

 3人が、校舎の陰……もとい、お店の陰から、ひょっこり現れた。
 ……キースまで……。


「面白そうじゃんか、告白とかいうから。なあ?」

 ゴウが言う。

「ごめんね、ソラが好きって言うのかなーって」
「告白とかじゃなかったねえ」

 リアとキースがそんな風に言ってる。

「皆、いつから……」
「オレがここ来てすぐから居たぞ。気づかなかったのか?」

 オレの質問に、誰より早く、ルカが答える。

 つか、分かってんなら言ってよ!!


「オレはルカと違って気配なんて、分かんないから!」

 オレからキスしたとこ見られた―!! わーん!!
 いつも嫌がってる感じなオレなのにー!

 何だ見てないとこだと、ソラからもキスするんじゃん、みたいなこと思われてそうで嫌だ―ー!!
 うわーん。


「――――……何だよ、その顔」


 ルカがクスクス笑ってオレの頬を摘まむ。


「分かった、見られたくないなら、部屋行こうぜ」
「……っ」

「それが良いだろ?」
「………………っ」


 もうなんでもいい……。


 否定しないので、了解と取ったらしく、ルカに腕を掴まれて、3人の横を通る。


「また明日ねー」

 リアの声。


 まだ夜というよりむしろ夕方なのに、また明日ねと言われてるし。
 はー、もう。どこまでも恥ずかしい……。








◆ ◆ ◆ ◆ ◆


このページ、書いてみたら長すぎちゃったので、2話に分けます♡
次ページにもうちょっと追加して、出来たら夜までにアップします。

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