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第2章

番外編◆バレンタインss 3

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 ふっと思いついて、ジェイに聞いてみる。


「ねー、ジェイ、ハート型、てある?」
「ん?」

「こーいう形」
 水でテーブルにハートの模様を描く。

「んー? 無い、と思うけど」
「え。無いの。じゃあ、このマークって、何か分かんないの?」

「ん。分かんない。これ、なに?」
「心臓に似てるとこから来た、愛のマーク……?」
「ふーん…………?」

 ジェイはいまいち、納得できないみたいで、首を傾げている。
 まあ分かる。オレだって、心臓に似てるとか言われたって、よく分からないし。

 ハート型、無いのか…………てことは。


「――――……ジェイ、決まった、作るもの」
「おお、何つくる? 材料はどーする?」

「クッキー作る。チョコの実が欲しいなあ」
「ええ? 良く作るやつじゃんか。特別じゃないと、大変なんじゃないのか?」

 そう言って、

「……多分、特別、だと思うから」

 とりあえず、頑張って作ってみよう。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 夕方になってリアが迎えに来てくれて、ルカを含むいつものメンバーで夕飯を食べて、皆にデザートの気分で、バレンタイン。

「これは、皆にね」

 まあるいチョコチップクッキーを、綺麗な色の布で可愛く包んで、皆にそれぞれ渡した。

 ルカがちょっと仏頂面をしてる事に気付いて、ん?と首を傾げた。


「何でルカ、怒ってるの??」

 オレが聞くと。

「オレにだけで良いって言ったろ」

 ――――……マジか。
 ヤキモチなのかな? これは……?

 さっきの遠い過去へのヤキモチと言い。
 ――――……ルカ、ヤキモチ妬きすぎ……。苦笑しか浮かばない。


「だって皆にお世話になってるから、こっちは友チョコって言って、友達に、感謝の意味を込めてあげるものだよ?」
「――――……」

「……だから良いでしょ??」
「――――……オレのは?」

「えーと……ここで渡すの恥ずかしいから……この店の裏で渡す」
「あ? ここで渡せばいいだろ」
「だめ」

 ていうか、恥ずかしいから、無理。


「何で――――……」
「バレンタインはそーやって、好きな人を人気の無い所に呼び出して渡すものだから」

 文句を言いかけたルカに、もう、うるさいなーと思いながらそう言ったら。
 少しして、リアが、「好きな人だって」と笑う。

 ん? とリアを見つめて。
 言われた言葉を考えて。

 それから、自分の言葉を思い返して。はっと気づく。


「っあ……ち、ちがくて、バレンタインは一般的に好きな人を呼び出してって事で……」

 あわわわわ。すっごい恥ずかしい。
 オレ今咄嗟に何を……。


「ふうん……」

 ルカが超ニヤニヤしている。


「ち、ちがくって……」

 ルカ以外の3人もとっても面白そうにオレを見て。

「もう諦めろよ、ソラ」」
「今言っちゃったからねぇ……」
「だってもともと好きなんでしょ?」

 ゴウとリアとキースが、口々に言う。



 くっ…………。口、滑った。
 全然意識もしないで言ってしまった。








(あとがき)
◇ ◇ ◇ ◇
次回で終わります。
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