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第2章

「やる事」

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「魔王が現れた時に、同じような光があった、って話があるらしい」

 ルカがそう言うと、3人は、え、と固まる。


「ソラ、魔王と接点があるってこと?」

 リアが首を傾げてる。


「オレ、接点なんか、無いと思うんだけど……」

 ゲームで倒そうとしてたっていう……それって接点って言うのかなあ?


「魔王は、あの時、ソラの事を知らないって言ってたしね」

 キースのセリフに、皆、ん?と顔を見合わせた。


「そんな事言ってたか?」

 ルカがそう聞くと。
 キースが、忘れたのか、と笑う。

「ルカが聞いたんだろ、ソラの事を、魔王の助っ人か?って。魔王は、そんな者は知らないって言ってたよ」

 キースのセリフを聞いて。
 ああ、そういえば、そんな事も言ってたなあ、と皆、曖昧に頷く。


「――――……王子、色々正確に話してくれませんか」
「ああ……そういやそんな事も、言ってたかも。悪い」

 レジーの言葉に、ルカは苦笑い。

「魔王は他に何か言ってませんでしたか?」
「言ってないと思う……よね?」

 キースの言葉に、皆も、うん、と頷いた。

「分かりました。じゃあ何か思い出したら言って下さい」
「分かった」

 ルカが頷いて、ん、と背伸びをしてる。

「……ここ来ると、疲れるのは何でだ?」


 ――――……図書館が苦手だからじゃないだろうか。

 ぷ、と笑ってしまいそうになる。皆もきっとそう思ったんだろう、それぞれ面白そうな顔をしていたけど、何かを言う前に、ルカが続けた。

「あ、レジー。シャオの町から、海にいる何かを倒しに行くつもりなんだけど、何か情報入ってるか?」
「波が高くて船が出せないという噂だけですね」

「ああ。――――……何かは分かんねえか、やっぱり」
「海、ですからね……」
「まあ……出られなくなってから誰も見てねえだろうしな」

 ルカがふ、と息をついて。

「どっちにしても行くから、そっちはいい。ソラの方が知りたかったけど」

 そう言ってから。

「――――……まあでも、その光って事しか情報がねえなら、どっちにしても、早く魔王の居場所突き止めて、そっち行くしかねえか」


 そう言い切るルカ。


「てことで、魔王の情報を集めるのが最優先で頼む」
「分かりました」

 レジーが頷く。


「どっちにしてもって、魔王に光のこと、聞くつもりなの?」

 リアが笑ってる。

「まあとりあえず聞きたいよな。答えるかは知らねえけど」
「答えるかなあ?」

 苦笑いのリアに、ゴウとキースも同じ感じ。


「……まあ、何にしても、やる事は決まったな。今まで通りだ。強い魔物が居るならその情報をこっちに送ってもらう、それを倒してる内に魔王の場所がおのずと分かるだろうから、魔王を倒しに行く――――……で、光の事も、聞く」

 以上、だな。と、ルカが言い切って、皆に視線を向ける。


「最後が出来るか微妙だけど――――……了解」

 キースが笑う。

「まあ、色々動いてる間に、ソラの関連も何か情報が入ればいいし」
「他にも、他の世界から来た人が居ればいいのよね」
「ソラ来てから結構経ったし。魔王もそうだとすんなら、かなり長いことこっちに居るし。そう簡単に、居なくならないんじゃねえの?」

 キースとリアとゴウ。
 それぞれの言う事を聞きながら、ルカはふ、と笑って、オレを見た。

「まあ、動きながら、色々考えようぜ。少しでも繋がりそうなら調べる。って事で、よろしくな、レジー」

 最後にレジーを見つめてルカが言うと。
 レジーは、頷いた。


「――――……で。オレ、今からソラに城案内するから、出るけどいいよな?」
「はい――――……あ、夕食は、また大騒ぎですか?」

 「また大騒ぎ」??
 オレが首を傾げていると。レジーがオレに、ふ、と笑んだ。


「このメンバーが、長く出る時や、帰ってきた時、よく町の人達と、祭りみたいに騒ぐので」

 ああ。なるほど。
 ――――……またか? 好きだなあ、こっちの人達。「大騒ぎ」の宴。


「ああ、そうする。久しぶりだしな」
「用意させます」


「じゃあ、後でな」

 ルカが皆にそう言うと。
 オレを振り返った。



「よし、ソラ、行こうぜ」

 楽しそうに言うルカに、手首を掴まれて、ぐい、と引かれる。



「一番見晴らしいいとこから連れてってやるよ」

 何だか見惚れる位鮮やかに笑って、ルカがオレを見て、瞳を緩める。



「うん」



 何だかすごく――――…… 嬉しくなって。
 ひかれるまま、ルカについて歩いた。






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