【ドS勇者vsオレ】オレ様勇者に執着&溺愛されてるけど、ドSだから大変✨奨励賞受賞

悠里

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第2章

「書物庫へ」

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 悔しいけど反撃も出来ず。
 結局何だかかなり無駄に、イチャイチャさせられながら、食事を食べ終わった。

「もう食べないか?」
「うん。おなかいっぱい」

「じゃおしまい。レジーんとこ、行くか」
「うん」

「全部これにのせて、ソラ」
「うん」

 食べ終わったもの全て、タイヤのついたワゴンにのせる。
 大きな窓に鍵を掛けて閉めると、ルカがワゴンを部屋の前に出す。

 ちゃんと靴の紐も結んで、身なりを整えて、立ち上がる。

「用意できたか?」
「うん」

 ドアの所で待ってるルカの隣に並ぶと、ルカが大きな扉を閉める。

 ルカが小さく何かを唱えた瞬間。
 キン、と空間から音がするような気がして。


「――――……???」


 ルカを見上げると。「結界」と笑った。


「誰も入れないようにな」

「これって、ずーっと、頭の中で唱えてたりするの?」
「いや。これに関しては張っちまえば寝てても勝手に続いてる。破られたら、分かるし」

「どーやって分かるの?」
「どーやって……ああ、破られたなーって感じる」
「何それ。すごいねー便利! 泥棒とか入れないじゃん!」

 便利だなー、と笑ってると、ルカもクッと笑った。

「……ソラってほんと、魔法とか好きだよな?」
「うん、好き。使いたい」

 ゲーム上は使ってたけど。
 どういう仕組みなんだろう、ほんと魔法って。


 オレが集中すれば使えるの?


 ……ていうか、そもそもミウが飛んでるのかも魔法とか言ってさ。
 全然集中してるように見えないんだけど。
 ほわほわのモコモコで可愛くて。あれで集中してんの??

 むーん、ミウ、謎。可愛いけど。


「城に本格的に帰ったら、魔法を学ぶとこがあるぞ。出たら?」
「出る出る、絶対出るね!」
「……まあ、まわり、子供が多いけど」

 クックッとルカに笑われる。


「まあ違和感ねえだろ」


 頭掴まれて、めちゃくちゃヨシヨシされる。

 もう。撫でたってムカつく事言ってんのには変わりないけど。


「ソラが炎出せたら――――……」
「ん?」

「祝ってやるよ、盛大に」

 クスクス笑うルカ。
 むー、祝わせてやるー! と思いながら、ルカの隣を歩く。


「――――……」

 やっぱり全く道が覚えられない。

「オレもう、ルカの部屋戻れないよ」
「あぁ。わざとそうなってる」
「え?」

「オレの部屋にそう簡単にたどり着けないような作りになってる」
「そうなんだ……」

「そう。さっき料理運んできた奴とかは、毎日決まった道をひたすら通るから覚えてる感じ」
「――――……それって」

「まあ、いきなり襲われたりしないように、て感じだな」

 ルカが死んだら、この世界が大変なんだもんね。


「魔王さえ倒せば、こんな結界や戦いも要らなくなるはずだから」
「……うん」

 オレがそれ、邪魔したんだよな……。
 はー……。

 ちょっとため息を付きたい気分に陥っていると。


「こっち、ソラ」 

 ルカに手を引かれて曲がった先に、とても大きな扉。ルカの呪文で、開く。
 中に入ると、おびただしい量の本。

 圧倒されている間に、後ろで扉が閉まった。

 天井がやたら高い。

 シン、とすごく、静か。


 ああ、なんか。
 書物庫……って図書館のことだよね。

 どこの世界も同じような、特殊な静けさなんだな……。


 不思議。
 なんて、思いながら、中を見渡す。


 


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