【ドS勇者vsオレ】オレ様勇者に執着&溺愛されてるけど、ドSだから大変。

悠里

文字の大きさ
上 下
165 / 299
第2章

「この世界」

しおりを挟む

「……誰にでもそんな事、言わないだろ?」

 ふ、と笑ってルカはオレをまっすぐに見つめる。
 それは、絶対、言わない。

 だから、うん、と頷くと。
 ルカはオレの頭をまた撫でる。


「そういう事じゃねえの? 多分、オレもそれと同じだ」
「――――……」

 何だか何も言えなくなって、ただ、食事を続けていると。


「――――……お前さー」
「……?」

「……この場所に心当たり、ある?」
「――――……この場所?」


「この世界。元から知ってる?」

 オレは、何も言わずに後ろを振り返った。


「――――……」

 ルカの瞳と見つめ合う。


 ゲームとか言わない方がいいかなとか、色々今まで思ってきたけど。
 調べてくれるのに隠すのもどうかなと思ったり。

 でも全然分かんないし、長い夢なのかもしれないし。


 はっ。
 なんか、オレ、あの時ゲームが爆発して、意識不明とかで、病院に居たりするのかな。そのせいでものすごく深い、長い夢だったりなんかして。

 ……なんかそんな話、聞いた事もあるような。



「オレ……全然、分かんないんだよ、ルカ」


 もう、気持ちそのままに、そう言った。


「最初にここに居た時は、知ってる所なのかと思った、けど……」
「――――……」

「……その知ってる、ていうのは、作り物の世界だから――――……」
「――――……」

「……例えば……本の世界、みたいな……それと似てると思ったんだけど」
「――――……」


「ルカ達は生きてて、自分の意志で動いてるし。もうその時点で知ってる世界じゃないんだよ」

 まっすぐ。
 全部見通されそうな感じの、視線。


「だから、知ってるって言えるのか、分かんない」

 そう答えたら。
 ルカは、ふ、と笑った。


「……なんかお前、最初から、すんなり状況受け入れてるからさ」

「――――……」

 頬に触れられて、そのまま見つめられる。


「全然戦いも知らないで育ってるのに、魔王とか魔物とか簡単に受け入れてるし。魔法もない世界だっつーのに、リアやキースの魔法を良く知ってて、喜んでるし。……まあ最初は何も考えないでぽわんと受け入れてるだけかとも思ったんだけど…… お前、何も考えてなさそうだし」


 ……な、なんて失礼な。
 む、とすると。


 ルカは、ぷ、と笑った。


「ほら。すぐそーやって全部顔に出る。単純でアホで、深く考えねーだけかなとも思うだろ」



 ……マジ、失礼すぎる。
 むむむむむむ。


「まあ、冗談だけど」

 どこから、どこまでがだよ!! 絶対本気だったし。
 
 言わずに怒ってると、クックッと笑ってるルカに、抱き寄せられて。
 ルカの胸に背が当たって。太い腕に抱き込まれる感じ。


「――――……そんで?」
「え?」

「今はお前は、ここは何だと思ってんの?」
「――――……長い夢、か…… じゃなかったら、向こうもこっちも世界があって、オレは、何でか、飛ばされちゃった、か」
「――――……ふうん」

 ルカがぎゅー、と抱き締めてくる。


「お前の夢、ってことは、お前が目覚めたら、オレ達消えるのか?」

「――――……」

 ええええー? 考えてなかったーーーー。

 目が覚めたら、オレは元どおり、ていう方ばっかり考えてて、残ったルカ達がどうなるかまで、全く。




しおりを挟む
お読みいただき、ありがとうございます♡
楽しんで頂けましたら、ブクマ&感想などよろしくお願いします♡
(好き♡とか短くても嬉しいです♡)

匿名ツールでの感想もお待ちしています💕

【匿名メッセージ送信サービス・マシュマロ】
【WEB拍手👏絵文字とコメントで応援サービス】

感想 270

あなたにおすすめの小説

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」  洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。 子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。  人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。 「僕ね、セティのこと大好きだよ」   【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印) 【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ 【完結】2021/9/13 ※2020/11/01  エブリスタ BLカテゴリー6位 ※2021/09/09  エブリスタ、BLカテゴリー2位

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

処理中です...