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第2章
「どこが好き?」
しおりを挟む「あ、そういえば、ルカ」
「ん?」
ジェイがまっすぐルカを見て、一言。
「ソラの何がそんなに好きなの?」
「――――……」
あ。さっき、聞くって言ってたやつ。
……何て、言うんだろう。ドキドキ。
思いながら、オレを引き寄せてるルカを下からちょっと見あげると。
ん、とオレを見下ろして。
「――――……さあ」
と首を傾げる。
さ、さあって……。
無いのかな?? ひどい……。
と思ったら。
「――――……言葉で言えるようなもんじゃねえし」
じっとオレを見つめながら、そう言って。
そのまま、ふ、と笑う。
「それは、ソラにだけ分かればいいよな?」
「――――……っ」
言葉を失ってるのは、オレだけじゃなくて。
聞いたジェイまで、なるほどー、と言うだけで、次の言葉を言わない。
しーん。
は、ずかしすぎる……。
「まあ。ソラがここに居るだけで良いと思う程度には、好きだけどな」
ここに、居るだけで良いって。
……きっと、ものすごく、色んな意味が含まれているんだろうけど。
他の皆にはその意味が分からないから。
ただ、オレが側に居るだけでいい、なんて。
めちゃくちゃ、ただただ甘い言葉みたいになってて。
「…………」
なんか皆、もー特に何も言わず、へー、と頷いている。
オレはと言えば。
恥ずかしいから俯くのみ。
な、なんか。好きなとこ、いっぱいあげられるより。
恥ずかしい気がする……。
「ソラ?」
「――――……っ」
顎、掴まれて、まっすぐ、見つめられる。
「つか、何でそんな真っ赤な訳」
「……恥ずかしくない方が、意味分かんない……」
そう言うと、ぷ、と笑うとともに。
そのまま、唇が重なってくる。
「……っや、だよ!!」
「はー?」
「皆が居るからやだ」
ルカの唇の上に手を置いて、ぐいー、と離す。
「何で、見られんの嫌なんだ? 別にキス位普通じゃねえ?」
「……普通じゃないっ」
「普通だよな?」
ルカがオレの手を捕らえながら、そこの皆に聞くと。
「別に全然気にしねーけど。キス位」
「……さすがにそれ以上はちょっとあれだけど」
はは、と笑う男たち。
「オレ混ざるよ?」
アランがクッと笑いながら言う。
……し、んじられない。
「……んなとこ、見せるかよ」
ルカがオレを自分の腕の中にまた引き戻す。
ていうか、キスとかは平気で皆の前でしようとするくせに。
まったくもって、意味が分かんない。
ルカを、よいしょ、と引き離しておいて。
「そろそろ、リアのとこ、行く? ルカ」
引き離されて面白く無さそうな顔をしていたルカは、ため息とともに頷いた。
「……おう。いーぜ、いこ」
オレは立ち上がって、ジェイに目を向ける。
「ジェイ、ここ、このままでいい? まだ食べてるでしょ?」
「ああ、いーぞ。片付けとくし」
「お茶まだ残ってる? リアに持って行きたい」
「ある。ほら」
ほい、と放られて、咄嗟過ぎて、あわわわ、としてると、ルカが目の前で軽く受け取って。呆れたようにオレを見下ろす。
「……こんなのも受け取れねえの?」
「……ごめん」
だって、このボトルでかいし…いきなりだったし……片手にお菓子持ってたから、受け取って割りたくないなと思ったし。むむむ。
心の中で言い訳してると。
「またいじめてるし」
ジェイが笑う。
「こんなの取れねー ソラも、ほんと可愛いなあーって、顔してるくせにな」
「――――……」
そんな顔してなかったけど。呆れてる感じで見られたけど??
と、ルカを見上げてから、ジェイに視線を向けて首を傾げると。
「受け取れねえの?て言われて、お前が俯いた後だよ」
クスクス笑うジェイに「だまっとけ」とルカ。
「ほら、ソラ、行くぞ」
ぐい、と引かれて。うん、と頷いて、ルカについて歩き出した。
あ、と気付いて上を見ると。
ミウがオレの上をぷかぷか飛びながらついてきていた。
ふふ。呼ばなくてもちゃんと、ついてくるんだな。
かわい、ミウ。
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