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第2章

「ヤキモチとか」

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 そう、だなあ……。
 これでも、まあ……楽しいと言えば楽しいし、いいんだけど。

 でもなんか、違和感が。

 ……あ。やっぱり。
 リアとお茶タイムしたいなあ。リアとミウと、3人……2人と1匹で。
 
 これ可愛いーとか。きっともっと楽しみながら、食べれる気がするんだけど。


 まあ今のこのメンバーが、可愛い―とか言ってキャッキャッて言い出したら、びっくりだけど。

 なんて思いはじめたら、今の状況が、面白すぎて、1人、笑んでいると。
 またミウがオレの顔を見て、おんなじ感じで笑ってる。


 美味しい?と聞くと、みゃ、と返事。


 ……ああ、可愛い。
 もう1個クマさんのクッキーをあげちゃおう。


「ミウ、これ、クマさんだから、食べてね」

 なんか。
 ミウとしゃべる時、どうも、赤ちゃんと話すような口調になってしまう。

 はっと気づくと、ちょっと恥ずかしい気もするけど。
 ……可愛いから、しょうがないよね、うん。


「あんまりミウばっかり可愛がってると、王子が拗ねるぞー」


 またジェイがアホなことを言ってる。
 ジェイをちら見してから、そんな訳ないし、とルカを見上げると。
 顔が、笑ってはいない。

 ん? ……うそでしょ?


「……そ、んな訳ないよね?」
「……あるけど?」

 言いながら、ぷ、と笑うルカ。笑うから冗談なのかな。でもルカだからな。ちょっと怪しいぞ。

 そんなオレ達を見て、アランとジェイも可笑しそうに笑ってるし、そのやりとりを不思議そうに見てる周りの人達にまで、説明しだすし。

 いやいや説明しなくていーから……と思いながら、腕の中のミウを撫でつつ、ルカを見るけど。


 本気なのか、冗談なのか、やっぱりいまいち分からない。
 謎だ、ルカ……。

 悩んでいると。


「ソラ、それは? リアたちのか?」

 ルカが、オレの前に置いてある3つの包みを見ながら言う。


「あ、うん。そう。ここで食べたらリアのとこ行っていい?」

 そう言うと、ルカは、ふ、と笑う。


「いいよ。オレも行く」

「キースとゴウは、大丈夫かな」
「大丈夫だろ」
「即答だね。心配、してない?」
「まあ。2人、強いからな」
「そっか」

 信じてるんだなあ、迷いなく。ゴウたちも、そうだろうし。
 そう思うと、なんか、ほんと、カッコいいなあと、思ってしまう。

 ――――……居なかったしな、こんな風に戦う人達。

 
「何だよ? じー、と見て?」
「……ううん、何か……自分より大きなのと、身一つで戦うとか、ほんとすごいなあと思ってて」

「惚れる?」
「……今はゴウたちの話だし」

「ふーん」
 
 ルカはクスクス笑ってる。


「ルカ王子は、この子とそういう仲なの?」

 さっき、ジェイ達から妙な説明を聞いてた3人が、そう聞いてくる。


「そー。名前、ソラだよ。 ……ソラにちょっかいかけると、すげー怒られるから」

 アランが、ニヤニヤ笑いながらそんな事を言う。


「ルカに飽きたら、オレとしよって誘ってるんだけどな……っいった!」

 またアホなこと言い出してると思った瞬間、突然アランが叫んで。


「蹴んなよ、ルカ! いってー」

 テーブルの下で、ルカがアランの足を蹴飛ばしたらしい。


「ああ、当たった?」
「――――……こいつ……ほんと毎回……」

 いってーな、もう、とアランがブツブツ言って、ジェイに、お前ほんとにやめときゃいーのに、と笑われている。


 ――――……アランて、なんか、色々懲りないな……。


「ソラ、こんな奴やめてオレにしときな、優しいよ、オレの方が絶対」
「――――……お前、もーソラに話しかけんな」


 オレはルカに引きずり寄せられる。


「ああ、ルカ王子がこんな感じってことが、よく分かった」
「今のやりとり、わっかりやすいなー。アラン、よくやった」

 そこで見てた3人も、ジェイと一緒に笑ってる。



「別にオレ、そんなつもりでやってたわけじゃねーけど」

 アランは苦笑いで、そう言う。



 ほんと、ルカって、ヤキモチ、なにひとつ隠さないな。
 普通、「嫉妬」って感情って……もーちょっと隠すよね?? 

 やっぱり、ちょっと醜いっていうか。恥ずかしい感情な気がするし。



 こんなに分かりやすい人、初めて見た。



 なんかそんな風に思うと、抱えられてるのすら、面白くてしょうがないんだけど。

 いっそこんなに清々しいと、ちょっと嬉しくなるものなんだろうか。

 よく分からないけど。



 一緒にルカに抱えられてるみたいなミウを撫でながら。
 まだ続くルカとアランのやりとりに、ちょっと笑ってしまった。





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